2.仲間ができました。
ジャンル別表紙入り、感謝のおかわり!
追記:更新は12時です。
もしよろしければ、あとがきまでお読みください。
<(_ _)>
「えっと、ここがギルドでいいのかな?」
夕食にお風呂、課題を終わらせた私は今日もクロオンにログイン。
マップを確認しながら、スターリーのギルドに向かった。
「受付があって、掲示板があって……。結構、人いるんだね」
こちらと同じく、初心者と思しき子たちが右往左往している。
始まりの町のギルドということもあってか、飛び交う質問がどれも、私がミキにしていたような内容ばかりだった。その中を潜り抜けて、ひとまず受付へ。
呼び鈴を鳴らすと出てきたのは、年配の男性だった。
「はいはい、今日はなんのご用事かな?」
「あの。パーティーメンバーの募集って、きてないですか?」
柔和な笑みを浮かべる男性に、そう訊いてみる。
すると彼は帳簿をぺらぺらとしてから、首を左右に振った。
「残念ながら、いまは何もきてないね」
「そう、ですか……」
そしてそう答えられ、私は小さく肩を落とす。
僅かな希望もなくなり、ちょっとだけ残念に思った。これではイベントに参加できない。周囲の人たちも、自分のことで手一杯みたいだし、パーティーというには早いということかな……。
「うーん、どうしよう……」
やっぱり、諦めるべきなのだろうか。
ゲームを始めて一週間弱経ったけれど、初の壁を体感した。
そんなわけで、私が大きくため息をつきながら。仕方なしに外へ出ようとした、その時だった。
「ちょっとダリス! 今さら、他の町で募集している暇はないよ!?」
「分かってるって、今日こそ見つけ出してみせるから――」
「そう言って、昨日もダメだったでしょ!?」
「あれ、あの人たちって……」
先日の美男美女が、なにやら口論しているのに気づいたのは。
いったい、どうしたのだろう。私はほんの少しの好奇心を胸に、聞き耳を立ててみた。すると聞こえてきたのは、こんなやり取り。
「例の人を探すって、イベントはもう明後日でしょう! このままじゃ、アタシたち不参加になるわよ!!」
「そうは言っても、残り一人は妥協できないだろ? ――俺たち、仮にも前回のイベントで三位に入ったわけだしさ」
「だからって固執しすぎてどうするの!」
あれ、もしかして一人欠員が出たのかな。
「あの、すみませーん……?」
そう思った時、私はもう声をかけていた。
こちらの控えめなそれにも気づいてもらえたらしく、二人は私の方を見る。そして、男性の方が思い出したらしくこう言った。
「キミは、昨日の――えっと?」
「あ、自己紹介してなかったですね。私はみと――じゃなくて、マキナです」
「マキナちゃん、ね。俺はダリスで、こっちがレイン」
「どうしたのかな、アタシたちに用事?」
軽く名前を交換すると、そんな質問。
ダリスさんとレインさんが首を傾げているので、私は単刀直入に言った。
「あの、私をパーティーに入れてください!」――と。
すると二人は目を丸くして、顔を見合わせる。
そして、先に答えたのは――。
「あの、ごめんね。俺たち――」
「ちょうど良かった! アタシたちも、もう一人探していたの!」
ダリスさんだったのだが、それを遮ってレインさん。
彼女は満面の笑みで彼を押しのけ、私の手を優しく握ってきた。
「これから、よろしくね?」
「は、はい……!」
次いで、即決。
私はついつい嬉しくて、細かいことは気にならなかったのでした。
◆
「おい、勝手に決めるなよ……!」
「仕方ないでしょ? 今から別のギルドで募集してたら間に合わないかもしれないでしょ……! 連携とか作戦とか、一夜漬けじゃ無理だし……!!」
「うぐ、たしかに……」
悠然と歩くマキナ。
そんな彼女の後ろを進みながら、美男美女が小さく言葉を交わしていた。
「でも、これできっと上位はなくなったな……」
「アンタ、それをマキナちゃんの目の前で言うんじゃないわよ? 初心者だから馬鹿にしていいなんて道理、あるわけないから」
「分かってるよ……!」
肩を落とすダリスを叱責するレイン。
対してダリスはムッとするが、すぐに気持ちを切り替えたらしい。
「まぁ、俺たちがキャリーしてやれば良いだけの話か」
「そうよ。むしろ、参加できることを感謝しないとね」
「たしかに、な」
二人はふっと息をついて、マキナを見た。
無警戒に前へと進む姿はまさしく、ゲーム初心者のそれ。この時のダリスとレインは、マキナにこれっぽっちも期待していなかった。
だが、それは覆ることになる。
そのことを、彼らはまだ知らなかった。
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