6.裏切りのマコト。
「見ず知らずのやつをパーティーに入れる。本当にお人好しのまま、だな?」
「………………」
ダリスさんはマコトにそう言われて、唇を噛んでいた。
拳を震わせて、怒りを必死に堪えるようにして。私とレインさんは物陰から、その様子を観察することしかできなかった。
ここで飛び出して、揉め事を起こすのは得策じゃない。
そう思えた。
「ったく、マコトのやつ。前のことを掘り返して……!」
「……前のこと?」
レインさんが忌々し気にそういうので、私は気になってそう訊ねる。
すると彼女は少し迷うような素振りをしてから、こう言った。
「半月前のイベントでのことだよ。あの時は、個人対個人、試合形式ではなくて野良形式の戦いだったの」
「野良形式、って……?」
「各地にランダムで飛ばされたプレイヤー同士の、バトルロイヤルだね。その時は、アタシとダリスは偶然一緒だったから途中まで協力してたんだ」
でも――と。
レインさんは、少し目を細めて続けた。
「ダリスは当時から名の通ったプレイヤーだった。だから、みんなが寄ってたかって袋叩きにしようとしたんだよ」――と。
それは、とても怖いことだった。
考えただけで背筋が凍る。
「それで、どうなったんですか?」
「しばらくは大丈夫だったんだけど、だんだんと押されてきてね。その時だよ、マコトが現れたのは」
「マコトって、あの人が?」
「そうだよ。アタシたちを助けに、割って入ったのさ」
「…………え?」
それは意外なことだった。
私は首を傾げて、少し考える。
しかし、上手く話が繋がってこない。そんなことがあったのに、どうして二人はマコトと仲が悪いのだろう。
それを訊ねようとした。
その時だった。
「その油断、きっとまた命取りになるね!」
マコトが大声でそう言ったのは。
私がダリスさんたちの方を見ると、マコトは――。
「また、あの時のように後ろからグサッと! きっと、あのガキも同じこと考えているに違いないさ!」
そう、断言した。
その言葉で、私は理解した。
彼がダリスさんたちに、何をしたのか、を……。
「ちょ、マキナちゃん!?」
瞬間、私の身体は一直線に動き出していた。
◆
「マキナちゃんを、馬鹿にするな……!」
「はん! 仲間なんて、信じる方が馬鹿なのさ! リアルを知らない者同士、何を考えているかなんて知れるわけがないさ。だから――」
マコトは、鼻で笑ってこう言った。
「あのガキも、ラッキーだと思ってるに違いないさ」
「…………!」
その瞬間、ダリスの手が動く。
そして、思い切り振りかぶった時だった。
「馬鹿にしないで!!」
そんな少女の声と共に、パシン、という乾いた音がしたのは。
場が静寂に包まれ、しかしダリスがそれを破った。
「マキナ、ちゃん……?」
マコトの顔を叩いた、少女の名を口にして。
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