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6.裏切りのマコト。








「見ず知らずのやつをパーティーに入れる。本当にお人好しのまま、だな?」

「………………」



 ダリスさんはマコトにそう言われて、唇を噛んでいた。

 拳を震わせて、怒りを必死に堪えるようにして。私とレインさんは物陰から、その様子を観察することしかできなかった。

 ここで飛び出して、揉め事を起こすのは得策じゃない。

 そう思えた。



「ったく、マコトのやつ。前のことを掘り返して……!」

「……前のこと?」



 レインさんが忌々し気にそういうので、私は気になってそう訊ねる。

 すると彼女は少し迷うような素振りをしてから、こう言った。



「半月前のイベントでのことだよ。あの時は、個人対個人、試合形式ではなくて野良形式の戦いだったの」

「野良形式、って……?」

「各地にランダムで飛ばされたプレイヤー同士の、バトルロイヤルだね。その時は、アタシとダリスは偶然一緒だったから途中まで協力してたんだ」



 でも――と。


 レインさんは、少し目を細めて続けた。



「ダリスは当時から名の通ったプレイヤーだった。だから、みんなが寄ってたかって袋叩きにしようとしたんだよ」――と。



 それは、とても怖いことだった。

 考えただけで背筋が凍る。



「それで、どうなったんですか?」

「しばらくは大丈夫だったんだけど、だんだんと押されてきてね。その時だよ、マコトが現れたのは」

「マコトって、あの人が?」

「そうだよ。アタシたちを助けに、割って入ったのさ」

「…………え?」



 それは意外なことだった。

 私は首を傾げて、少し考える。

 しかし、上手く話が繋がってこない。そんなことがあったのに、どうして二人はマコトと仲が悪いのだろう。

 それを訊ねようとした。

 その時だった。



「その油断、きっとまた命取りになるね!」



 マコトが大声でそう言ったのは。

 私がダリスさんたちの方を見ると、マコトは――。




「また、あの時のように後ろからグサッと! きっと、あのガキも同じこと考えているに違いないさ!」



 そう、断言した。

 その言葉で、私は理解した。

 彼がダリスさんたちに、何をしたのか、を……。



「ちょ、マキナちゃん!?」



 瞬間、私の身体は一直線に動き出していた。







「マキナちゃんを、馬鹿にするな……!」

「はん! 仲間なんて、信じる方が馬鹿なのさ! リアルを知らない者同士、何を考えているかなんて知れるわけがないさ。だから――」



 マコトは、鼻で笑ってこう言った。



「あのガキも、ラッキーだと思ってるに違いないさ」

「…………!」



 その瞬間、ダリスの手が動く。

 そして、思い切り振りかぶった時だった。



「馬鹿にしないで!!」



 そんな少女の声と共に、パシン、という乾いた音がしたのは。

 場が静寂に包まれ、しかしダリスがそれを破った。




「マキナ、ちゃん……?」




 マコトの顔を叩いた、少女の名を口にして。



 


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新作です(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾

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― 新着の感想 ―
[一言] いや、裏切り前提とか、ゲームといえど 限度があるでしょうに。 信用ほど積み上げ難い物はないんだが。 もしかして、通り名が裏切りのマコトなら もう笑うしかないけど。
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