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4.ある意味、あっという間の一回戦。







「な、なんで私がリーダーなんですか!?」

「いいじゃない、記念よ。記念」

「うぅ、記念って……」



 登録後のこと。

 私は二人にそう抗議をした。

 すると彼らは笑いながら、こう説明する。



「今回のイベントで好成績を収めると、リーダーには特別な装備が与えられるんだ。非売品で、とても強力なやつがね」

「せっかくだし、マキナちゃんにそれを貰ってほしいって思ったのよ」――と。








「それでも、荷が重すぎますってぇ!!」



 私は広場の特設ステージに上がってもなお、そう悲鳴を上げていた。

 特別な装備というのは嬉しいけれど、こうやって人前に出ること自体得意ではない。そんな私が開幕試合のチーム、そのリーダーだなんて……。



『えっと、それじゃ。リーダーのマキナに、話を聞いてみようか!』

「――――――」



 そうこうしているうちに、なにやら妖精さんがマイク片手にやってきた。

 え、なに? そんなのあるの……?



「…………」



 会場が静寂に包まれる。

 その中でマイクを手にした私は、頭の中が真っ白になった。

 しかし、何か言わないといけない。そう考えた結果、出てきたのは――。



「が、がんばりまひゅ」



 震えた、そんな声だった。



「ん、噛んだ?」

「噛んだね」

「でもあの子、可愛いね」



 会場がざわつき、最前列からはそんなやり取りが聞こえてくる。

 顔から火が出るようだった。



「ふ、ふわぁ……」



 頭がふわふわした。

 そうなって、どうなったかというと――。



「あ、倒れたぞ!?」

「大丈夫なのか!?」



 そこから、一回戦の記憶はない。







「あはは、まさか気絶するとはね?」

「うぅ、恥ずかしい……!」

「大丈夫かい? ごめんね。こっちも少し、調子に乗りすぎたよ」

「だ、大丈夫です。あの場が特殊だっただけなので……」



 目が覚めたのは、試合が終了した時だった。

 結果は二対三の戦いながらも、ダリスさんたちの圧勝。私たちのパーティーは、二回戦へと駒を進めることになっていた。自分でも気絶したことはビックリだけど、このあがり症は昔からなので、二人を責める気にはならない。


 とにもかくにも、ある意味で足を引っ張らなくて良かった。



「ところで、二回戦はいつなんですか?」



 気持ちを切り替えよう。

 そう思って、私はダリスさんに訊ねた。



「あぁ、それなら三時間後だよ」

「えっと、いまが朝の八時だから十一時から、ってことですね」



 それなら、と。

 私はひそかに楽しみにしていたことを提案した。





「あ、あの! お買い物、行っても大丈夫ですか?」――と。




 


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「聖痕の魔剣使い」新作です。こちらも、よろしくお願い致します。
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