時空のおっさん
扉を開いた(すり抜けた?)瞬間、辺りは真っ白になった。
「え、ここどこ?」
一瞬日本の街並みが見えた気がする。というか、秋葉原?
――と、その瞬間。
「おい、待て!! それ以上先に進むではない!!」
鋭い、厳格で低い怒鳴り声が、空気があるのかもわからない空間の中で鳴り響く。
やっぱり、時空を超えてるよなこの空間……。
てか、え、誰、この人。
怖い怖い怖い怖い。
え?
……って。
ただのおっさんじゃん。
何でこんな宇宙雨みたいな地球生命の住んでないようなところに警備服を着たおっささんがいるの?
もうすぐ完全に禿げそうな紙には二、三本だけ髪がポツリポツリと生えており、目はまんまる。恵○寿ビールでタイを抱えてそうな体型。
「おいこら、まちなさい。」
俺の腕を掴んで軽々と先ほどの日本のような場所から連れ戻したさっきとは打って変わって優しげで親しみのある声に変わった。
「あの、ここはどこですか……。」
「君の思考の範疇を超えた場所であるな。」
「では、日本に帰りますので先ほどの扉の先に戻ってもいいですか……。」
「いかん……!!」
先ほどの起こり狂った声が少し混ざった。
「あぁ、すまんすまん。取り乱してしまった。この扉の向こうには、君がいた世界とは別の世界が広がっているのじゃ。だからさっき君が除いたものは君のいた世界とは似て非なるものなんだよ。」
何を言っているのかさっぱりわからない。
「じゃあどうやって帰ればいいんですか?」
家に帰れなくなった子供のように半べそをかきながら『時空のおっさん』に尋ねる。
「あぁ、気にせんでいい。そのために私がいるのじゃ。さ、戻れ戻れ。二度と帰ってくるなよ。」
――あちょっと待ってください、聞きたいことがたくさんあっ……。
◆
気づいたら俺はもう自分の部屋のベットの上に戻っていた。あぁ、久しぶりに変な夢を見たなぁ。
俺が見る夢といえば、そこら辺の単多い回して愛知愛知なことをする夢か、受験に落ちる夢のどちらかと相場が決まっていた。畜生。
でも、それよりだ。
さっきの空間にいる感覚、全然夢っぽくなかったんだよな。普通に今生きているかんん書くととても近かった。
なんなら、今生命活動をしているよりも何か真理に近いような、そんな、世界に住んでいる感覚、よりは、宇宙に住んでいる感覚、があったような……。
でもまあどう考えても夢だよな?案内ような空間が本当に存在するとして、俺みたいな凡人は到底たどり着けないだろう。
てか、あの時空のおっさんが言っていたように、あれは俺の理解の範疇をはるかに超えるものだ。わかろうとする方が難しい。
でも、やっぱり気になる……。
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