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第5話:許せない想い…

「ん…」

朝日が眩し過ぎて唯愛は眠たそうに目を開けた。

泣き過ぎて目は重く、なんだか体も重く感じた。

「唯愛!起きなさいよ。」

母親の声を無視して布団を被る。

軽やかに階段を上がる音がして部屋を開ける。

「ゆい。いい加減にしなさい。」

布団を取られて、嫌々ながら唯愛は学校へ向かった。


「唯愛?顔色悪いよ。」

秋華は唯愛の頭を撫でた。

「よく学校に来たね。」

唯愛は静かに涙を流した。

「嫌だよ…。本当は学校に行きたくないよ…」

「でも。よく来たね?」


秋華は優しい。

何時も甘えちゃう。

ごめんね?


「無理やり起こされたの。」

「やるね。唯愛ママ!」

秋華は楽しそうに笑った。


「はよっス。」

何もなかったように渚音は明るく教室に入って来た。

「天見、おはよ。」

「…おはよ……」


優しくしないで。

思いだしちゃうから。

だから、

私をほうっておいて。


唯愛は小さく挨拶をした。

渚音の鞄から見えた携帯には、女の子らしいストラップが見えた。

「あのことお揃いなんだ…」


もし

願いが叶うなら

少し前に戻りたい。

ゲームのようにリセットして。

でも、出来ない。

それは分かってる。

分かってるからこそ、辛い…


「もう、嫌になっちゃう。」

唯愛は机に突っ伏した。


授業はつまらなく、唯愛はぼうっとしていた。

ふと、渚音を見ると少し色素の薄いふわふわとした髪を靡かせ寝ていた。

「浅木。起きなよ。」

唯愛は冷たい目で渚音を起こした。

「んー?」

渚音は小さく伸びをし、起きた。

起こしたのは少しでも私を見てほしいから。

唯愛は呟くとグッと握りこぶしを作った。


諦めるはずなの。

だから

渚音は見てはいけない。


忘れなきゃ。

このままなのは絶対に駄目。強くならなきゃ。

だけど、諦める方法も足元も真っ暗なのにどうやって前を向くの?



「唯愛ー?お昼どうする?」

「購買行ってくるね。」

唯愛が購買に行くと、渚音と志乃が笑い合って歩いていた。

幸せそうに笑っているのを見た唯愛は、何時までも2人を見つめていた。


購買でパンを買い、教室にもどった。

「唯愛!」

秋華はあせったように唯愛を教室の端のほうに

連れて行った。

「秋華…?」

「唯愛…。落ち着いてきいてね?」

唯愛はしばらく秋華の顔を見つめてから

うなずいた。

「後輩に聞いたんだけど…。

浅木君と付き合ってる子……。」




唯愛は目を見開き、教室を飛び出した。

向かう先はあの子の所。


許せない。

渚音を利用するなんて…

私は許さない。

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