神託
昨日初投稿したら、初!ブックマークされました!とても嬉しかったです!頑張って続きを書こうと思いました!ありがとうございます!
それにしても話が進まない。回りで書いてる方達は本当に凄いんだと思う、今日この頃です。
「アリス様、あの…」
「アリスでいいよ!私もシュンって呼ぶことに決めたから!」
「じゃあ…アリス、聞きたいことがあるんだけど…」
俺はここで言葉に詰まる。わからないことが多過ぎて、なにから聞いていいのか戸惑ってしまったのだ。
「えっと、アリスが俺をこの世界に呼んだのか?」
「正確には違うけど、概ねその通りよ!」
「なんでだ???」
「ちゃんと神託で伝えたはずなんだけどなぁ。」
そう言ってアリスは腕と肩を竦める。俺はなんとか思い出そうとして見るが思い出せない。神託、神託、うーん。ダメだ、やっぱり思い出せない。
「アリス、その神託ってやつ、本当にわからないんだけど…。」
「ちゃんとシュンの世界の連絡手段を使って伝えたはずなんだけど…」
「俺の世界の連絡手段?…もしかして電話とかメールのことか?」
「そうそう!そのメールってやつよ!」
そう言えば、最近メールで「神様と一緒に働きませんか?」とか「君は選ばれし者!」と言うタイトルの迷惑メールが携帯に届いていたような気がする。
「あっ、そのメール即効で受信拒否にしてた…」
「!?!?!?」
アリスは後ろに後ずさり、信じられないといった顔でこちらを見た。そしてみるみる涙目になり、シクシクと泣き出した。
「えっ、あっ、えっと…アリス?」
「あんなに頑張って書いたのに…。シュンは読んですらいなかったなんて…」
確かに読まない俺も悪いけど、あのタイトルに未登録のアドレスからの着信。読むか、読まないならまず読まないメールだ。でもアリスは泣いてるし、男としては謝った方がいいのかな。いや逆に男として謝ってばっかりなのも…。
アリスはそんな微妙な態度の俺を見て、もう一度聞いてくる。
「でも一回は読んでくれたのよね?」
「いや本当に………えっ!?」
突然アリスが俺の手をそっと握った。思わずドキッとしてしまったが、それを悟られないように必死に返答する。
「ごっ、ごめん。本当に読んでないんだ。」
「それじゃあ、なんで私と<契約>が完了してるの?」
「…どういうことだ?」
アリスはそのまま続ける。
「見て、今この瞬間も私とシュンの間には<契約>が成立してる。私の手、ボンヤリ光っているでしょ?」
確かに俺の手を握っているアリスの手はボンヤリと赤く光っている。
「これって…」
「ねぇ、シュン。本当に神託を受け取ってないの?神託を受け取らなければ<契約>は成立しないはずなんだけど…。」
神託には覚えはやっぱりない。だけど<契約>という言葉には覚えがあるような気がした。なんだ?どこかで見たような、聞いたような…。
「あっ…!」
「思い出したの!?」
「まさか、アレだったのか…?」
俺はアリスの送ったという神託、もとい迷惑メールをを読んだことはない。だが、開いてはいたのだ。繰り返し送られてきたメールをなんの気無しに開いてしまっていた。だが開いた瞬間…
おめでとう!<契約>が成立しました!
確かそんなことが書いてあるブラウザ画面に急に飛ばされ、思わずすぐにページを閉じたのだ。
「ってこれ!架空請求の手口と一緒じゃねぇか!!!」
女神との<契約>がまさかそんな形で成立したなんて本当にあるのか!?もっとこう、然るべき手順とかあるんじゃないのか!?あまりにも適当すぎないか!?でもこれしか心当たりがないのも事実だし…。
「どっ、どうしたのよ、急に大声だして。」
「いや、………なぁ、アリス」
俺はアリスに聞いてみることにした。
「アリスがあのメールを送ったのか?」
「私は神託を書いただけよ。送ったのは兄さん!」
「…お兄さん?」
「兄さんは私が困ってるといつも助けてくれるの!」
俺は「兄さん」について聞いてみることにした。俺の勘が、その兄さんが怪しいと訴えかけている。
「お兄さんがアリスの書いた神託をメールしてくれたのか?」
「うん!」
笑顔で頷くアリス。
「ちなみにお兄さんはその事でなにか言ってたりしたか?」
「えーとね…」
アリスはごほんと咳払いをし、兄さん(と思われる)の声真似を始めた。
「アリスはなんの心配もいらないよ。どんな手を使っても必ず神託は届けるからね。…って言ってたわ!」
「……」
このお兄さんが架空請求、もとい架空契約に関してなにか知っているのは間違いないと俺は確信する。アリスの言うことを信じるならば正式に契約は完了しているようなので、たちの悪さは架空請求の比じゃないかも知れない。
俺はため息をつく。
「…確かに俺は神託を受け取っていたみたいだ。」
「でしょでしょ!思い出してくれて良かった!」
「でもな、神託の内容はわからないんだ。アリス、悪いんだけどもう一度教えてくれないか?」
「えっ!?」
俺がそう言うと、なぜかアリスの顔が急に赤くなる。
「…………一度しかいわないからね。」
「わかった。今度はちゃんと聞くよ。」
ふぅ、とアリスが一呼吸入れる。すると急に回りの空気が変わった。只でさえ何もない空間なのに、さらに静寂が深くなり、厳かな空気に包まれた。
「オオコシ シュン」
「はっ、はい。」
アリスに名前を呼ばれ、思わず返事をしてしまう。
「汝、楽しい時も、苦しい時も、悲しい時も、病める時も女神見習いアリスのおっ……夫として共に素晴らしい世界を創ることを女神見習いアリスの名のもとに命じます。」
「えっ?…………アリスの夫???」
そう言うとアリスはビクッと反応し、みるみる顔が真っ赤になった。そしてモジモジしながら、俺から目を逸らす。
「と言うことでよろしくね、シュン。これから素晴らしい世界を共に創りましょ。」
まだわからないこと、理解できていないことは山程ある。ここはどこなのか、なぜ俺が選ばれたのか、そして世界を創るとはどういうことなのか。
しかしアリスの最後の一言で、俺の頭の中からその全てが吹き飛んでしまったのだった。