出会い
生まれて初めて小説を書きました。難しいですが、書いてて楽しかったです!
「私、君が来るのを心待ちにしてたんだから!」
「え…、はい???」
誰かに強く揺さぶられ目を覚ますと、真っ白い世界にいた。雪景色や濃霧とも違う。俺はキョロキョロとあたりを見回してみる。本当になにもない。ただ白く、何もない世界が目の前に広がっていた。
「君は選ばれたのよ!このアリス様にね!」
「ちょっ、ちょっと待ってくれ。いったい何の話をしてるんだ???」
そして俺を揺さぶってたのは見たこともないような美少女。輝くような金髪に透き通るような青い瞳。間違いなく俺が出会った中で1番の美少女だ。回りの白さも相まってか、はしゃいで揺れている金髪がいっそう眩しい。彼女は興奮した様子で続ける。
「まぁ、だからちょちょちょいって任せたわ!そうね、まずは私の神殿を作りなさい!まずはお風呂ね!これは欠かせないわ!あとは私を崇める為のアレコレを…んー、そのへんは君のセンスに任せちゃうわ!」
「いや、だから待ってくれって!」
彼女は目をぱちくりさせる。いったいこの人は何を言っているんだろう?と思っているのがわかってしまうくらいには大仰に首を傾げた。
「あれ?私の言ってることわからない?」
「そもそもここはどこなんだ?夢か?夢なのか?」
「夢じゃないわよ。それにまだここには名前はないわ。」
「俺はなんでここにいるんだ?」
「私が召喚したからに決まってるじゃない。」
「召喚!?!?」
俺はこのアリスという女の子にここに「召喚」された!?なんで!?なぜ!?疑問が山のように頭を駆け巡る。そして俺は勢いそのままにアリスを問い詰めた。
「召喚したってどういう…」
「あれ?おっかしいなー?君、神託受け取ったでしょ?」
「…神託?」
何だろう、まったく身に覚えがない。というか身に少しでも覚えがあったらこんなに混乱してないわけだが。そんな俺の反応を見てアリスは困惑した眼差しを向けながら聞いてきた。
「神託がわからない?あれ?本当にわからないの???」
「わからない。」
アリスはさらに首を傾げる。首を傾げすぎてこれ以上傾けられなくなり、逆に傾げだす有り様だ。
「むむむ…」
「なにがむむむだ!」
「君、本当にわからない?本当の本当の本当に?」
「本当の本当の本当だ!」
そうだ、俺は今日は普通に学校に行って、そして録画してあったアニメを見ながらスマホゲーのデイリーを消化してたんだ。どうしてこんな訳のわからないことになっているんだ?
「そうか、夢か。」
「夢じゃないって言ったじゃない!」
「これが夢じゃないなら俺はこの異世界みたいな場所に召喚されたってことになるじゃないか!」
「その通りよ!わかってるじゃない!」
「………」
やっぱり夢だ、夢に違いない。そうか!これが噂に聞く明晰夢ってやつか。ふふふ、夢と解ればやることは一つ!なにをしたっていいんだ!夢だから!そう、夢だから!!!
「やっぱりそうか、やっとわかったよ。」
「やっと理解した?いいわ、私は寛大だから先程までの無礼な態度は見逃し…って!??」
俺はアリスのおっぱいを揉んだ。柔らかい、夢なのにめっちゃ柔らかい!数々の男がおっぱいに理性を奪われる気持ちを俺は今日初めて理解したと言っても過言じゃない!だって初めて揉んだから!柔らかい!温かい!やわあた!この触り心地、とても夢とは思えない!
「きゃああああああああああ!!!」
「はぐぅお!?!?」
殴られた。それもグーで。俺は殴られた勢いそのままに後ろに2回転転がり土下座のような体勢で倒れた。
「何すんだ!」
「こっちのセリフよ!!!」
アリスの顔は真っ赤だった。怒りでなのか恥ずかしさなのかはわからない。が、おそらくその両方だろう。
「信じられない!信じられない!私のむっ……胸を…」
アリスは涙目で俺を睨み付けた。あれ?おかしいぞ?夢なのに思い通りにならないなんて…いや、それに待て、痛い?殴られて痛かった…鼻血が出るくらいには…。ってことは、まさか…まさか!??
「あれ?やっぱり現実?」
「何度言えばわかるのよ!このすっとこどっこい!!!」
「とぅぐぉぉぉ!!?」
今度は蹴られた。渾身のローキック。今度は縦に回る俺。2回、3回転がりそのままうつ伏せに倒れた。
「痛い、やはり現実なの…ぬぐぉぉ!」
グリグリグリグリグリグリ。頭を踏まれた。それはもうチカライッパイ踏まれた。俺の頭を思い切り踏みつけながらアリスは冷静さを取り戻した声で話かけてきた。
「懺悔なさい。この女神、アリス様が聞いてあげるわ。」
「痛ててててて!ごめん!悪かった!悪かったって!」
頭を踏まれ痛さでジタバタもがく。これほど痛いということはやはり現実らしい。というかちょっと待て、今何か気になることを言ったような…。
「めっ…女神???」
「そう言えば自己紹介をしていなかったわね!」
そういうとアリスは俺の頭から足を退けた。そして後ろにピョンと後ろに飛ぶと、その場でクルリと1回転回り、俺を指差しながら笑顔でいい放った。
「私は創造の女神見習いのアリス!よろしくね!シュン!」
「…おっ、おう」
いきなり下の名前を呼ばれて戸惑ったのか、その前のよく分からない動きに困惑したのか、それとも眩しい笑顔に見とれたのか。俺はばつの悪い返事しか返せなかった。
「なによ!こっちから自己紹介したのよ!もっとちゃんと返すのが礼儀ってものでしょ!」
「はっ、初めまして、オオコシ シュンです。」
「うん!よろしい!」
アリスはニコッと笑って未だに倒れていた俺に手を差し伸べた。
「ほら、いつまで転がってるの?」
「……ありがとう。さっきはごめん。」
「いいわ、許してあげる!神様だからね!」
そう言って笑ったアリスは美しく、可愛らしく、そしてなにより神々しかった。この子が本当に女神かどうかはまだわからない。でも本当に女神なのかも知れない。俺はこの時、確かにそう思った。