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異世界放浪記~ここは異世界テラフォーリア~  作者: ai-emu
【第6章】国境の町へ向けて
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【06-05】国境の町『メニューザイ』

NMDC23667年10月20日の昼過ぎ。


国境の町『メニューザイ』に到着した私達『ご主人様とメイドさん』8人は、町の中に入ると真っ先に寝床の確保をする。確保した宿は、門番さんが教えてくれた『氷の女王アルサの息吹』だ。宿泊料金は、1泊2食付き(料理は選べない)で1人10万テラ。一番安い宿の料金は、素泊まり(それもタコ部屋での雑魚寝)で1000テラだから100倍の料金である。

何処でも構わないが、この宿は、セキュリティもしかりとしており、何よりもこの町の代表者からの返事を待つ私にとって、(ほぼ指定された)宿屋に泊まる事は義務みたいなモノである。

寝床を確保した私たちは、そのまま宿屋の1階にある食堂で少し遅めのお昼を堪能する。


ここで、国境の町『メニューザイ』について解説しよう。


ここは、セント=ガイアスト大霊山から、ほぼ東西に延びている『テラフォーリアの背骨』の1つ、ピタゴラ=スガハド山脈の山間にある自然にできた切通しに開かれた町である。そのため、町は切通しに沿う形で長細く、さらに国境となるメニューザイ砦を頂点になだらかな下り坂に町が築かれている。

町の名前は、この砦の名前からとられており、当初はただの門前宿場町だったのが、時代を経るごとに大きくなっていき現在に至っている。なお、この国境となるメニューザイ砦自体は、コロラド王国と国境の先にあるシベリアオス帝国が共同管理している。


このメニューザイという町は、メニューザイ砦を中心に両国にまたがって築かれているため、どちらの国でも同じ町の名称を使用している。しかし、両国の経済格差によって、それぞれの町の色合いが違っているのは致し方のない現実である。

ちなみに町の人口は、コロラド王国側が約3000人で、シベリアオス帝国が約2500人となっている。

なお町の構造は両国ともに、砦の周囲に宿屋街があり、その下に行政府と教会や各ギルド、国境から最も遠い場所に住居区が広がっている。

長細い町の構造故、住居区以外はほぼ一直線にメインストリートを挟んだ両側に並んでいるが、住居区だけは、結構路地が入り組んだ迷路のような構造になっている。


そして、(これを言ってしまったら、嫌なフラグを立ててしまうかもしれないが)この砦周辺にはダンジョンはないため、ちょっと前までのオークドカレッジの(当時はオークド村)のように、常に魔物大暴走スタンピートの脅威にさらされている事になる。


閑話休題。


昼食後、町の代表者から託があった場合は、代理で受けておくように頼んでから、商業区の冷やかしに出る私たち。

まずは、コロラド王国側の教会に赴き、軽く礼拝をおこなう。この町のある宗教施設は、神殿ではなく教会だ。理由は、教会の護り人である神父さんと修道女数名が暮らす建物はあるが、たくさんの神官さんが暮らす修道院がないから。修道院が設置されると、規模の大小にかかわらず、神殿と称されるのが決まりである。

ちなみに、孤児院は何故か教会の横に建てられている。規模が少し大きくなってくると、孤児院という施設は必然的に必要になるのだろう。

特にここは、魔境のど真ん中にあるため、何時何処で誰が死ぬのか解らない場所である。


隣に建っている冒険者ギルドは、とりあえずスルーする。どうしても指名依頼が終われば、嫌でも一度訪れないといけないのだから。

ちなみに私が受けているこの指名依頼は、オークドカレッジを境にここメニューザイまでと、サクラピアスまでの2段階になっている。つまり、前半戦と後半戦に別れているのだ。これは、私の神殿での立場が関係しているためだ。

年末年始は、私とコトリ、そしてぺニアの3人は、確実にサクラピアスにいないといけないのだから。ちなみにハルナは、オークドカレッジの聖女様なので、年末年始はオークドカレッジにいる事が決定していたりする。

とはいうものの、実はアサルトダンジョンで回収して来たお宝の中に、とっておき直孝らがあるので、それを設置すれば神事以外は皆でいられるのだけどね。


国境の町という事で、向こう側の品物もたくさん商店に並べられているので、見ているだけでも面白い。

国境の向こう側・・・・・、シベリアオス帝国の特産は木彫りの置物らしく、大小さまざまな木彫りの置物が並べられている。また、素材となっている木もいろいろとあり、真っ白なモノから真っ黒なモノ、石のように固いモノもあれば、逆に真綿のように柔らかい木もあって面白い。

おが屑状で柔らかいのではなく、原木の状態で真綿のように柔らかいのだ。さらに言えば、この木は繊維を割いてよれば、鋼糸でできたロープのように固いロープを作る事ができる。もちろん糸の状態でも丈夫である。


次のお店では、シベリアオス帝国の大地から出土した鉱石や宝石の原石が売られていた。

すべてを見てきたわけではないので詳しい事は知らないが、コロラド王国内(実際はサクラピアスが主となるが)で見た事のない鉱石や宝石の原石が売られている。


「あっ!これ、水晶魔鉱だよね?」


私はそんな石たちがたくさん並んでいる中から、無色透明の鉱石を発見する。

同じ物に水晶が存在しているが、この世界の水晶も地球にあるモノと同じく割れやすく扱いにくいモノである。しかしこの水晶魔鉱は、金属鉱石と同じ性質を持っているため、製錬して鍛える事も可能な水晶である。そして、鍛えられたモノは、魔術の媒体として利用できるほど魔力伝導性に優れているのだ。


「嬢ちゃん、その石を知っているのかい?」

「ええ、先ほども言ったとおり、これって水晶魔鉱ですよね。製錬方法が特殊で加工に難ありですが、魔力伝導性に優れているため、いろいろと便利な鉱石ですよ。それにしても、結構お安い値段ですね。」


店主とこの水晶魔鉱について、いろいろと話が弾んでいく私。

加工に難ありな鉱石なため、1㎏あたり500テラと格安の値段が付いている。シベリアオス帝国側でも、この功績を加工できる者が皆無らしく、現状ではくず石扱いなんだそうだ。それでも、一応磨けば水晶の代用となる事で、水晶の7割程度の値段で売られているんだとか。

というわけで、お店にあった水晶魔鉱はすべてお買い上げいたしました。シベリアオス帝国側に行けば、もっと大量に購入できるという事で、これから向かう事にします。

ちなみに、どちらの町にも同じモノが売られているが、コロラド王国原産のモノは、コロラド王国側の商店の方が品ぞろえがよく、逆にシベリアオス帝国原産のモノはシベリアオス帝国側の商店の方が品ぞろえがいいとの事だ。


そんなお店がいくつか並んだ、まるで観光地のような国境の町。実際、動きやすい夏場は、観光客で結構な賑わいがあるんだとか。


そんな観光地のような街道筋を登っていき、目の前の視界を塞ぐ巨大な壁の前に来た。

壁の厚さは解らないが、切通しを塞ぐ形で10mを超える高さに築かれている国境の壁。そんな壁の中心付近に設けられた楼門が、コロラド王国と、シベリアオス帝国の国境を隔てる門である。そしてこの壁自体が、メニューザイ砦である。

なお、犯罪者でなければ、(理由如何関係なく)自由に国境を超える事ができる。ただし、通行税がかかるだけだ。

その通行税がバカにならない値段で、1回1人あたり5000テラとなる。ちなみに、コロラド王国内の移動については、城壁に囲まれている町や村に入る際、1回1人あたり1000テラ~5000テラ(町の規模や周辺の治安状況によって異なる)であり、王侯貴族ですら例外なく徴収される。

つまり、国境を超えるには最高額の通行税がかかるのだ。

ちなみに、1回1回門を通るたびに課せられるわけではなく、一度門を通ると10日間までは通行無料の処置が取られている。

なお、手荷物については、持てる範囲ならばどれだけ持っていても通行税に含まれる。ただし、馬車などに載せている場合は、旅行者は1個あたり100テラ、商隊などの大荷物は1馬車あたり1500テラがかかる。もちろん、外に出している荷物が対象となるため、(私たちのように)【アイテムボックス】の中に入っていたり、アイテムバックの中に入っていたりする場合は、荷物に関しての徴収は一切ない。


通行税を支払って、シベリアオス帝国に入国。その足で宣言通りに水晶魔鉱を買い漁っていきます。

もちろん、せっかく入国したので、シベリアオス帝国側の教会にも参拝します。どちらの教会においてもそうでしたが、聖女様が4人もいたのにはさすがに驚かれました。

その後、コロラド王国側にある『氷の女王アルサの息吹』に戻ります。ちなみに、行政側から伝言があり、明日の朝、朝食が終わったころに迎えに上がるという話になっている。

そんな伝言を受けながら、夕食に舌鼓を打つ私たち。その後は、お風呂に入って就寝です。


翌日、朝食を食べた後の食休めをしていると、行政府のお役人様と衛兵数人が『氷の女王アルサの息吹』にやってくる。で、1階の食堂の一角をお借りして、除雪魔導具の設置作業の段取りを整えていく。その上で、次いでと言っては何だが、水道の整備も行ってほしいという。なおこの水道整備は、別途指名依頼を出すというので快く受ける。

あっ!そうそう。どうせ水道整備をするのなら、アレの事も伝えておこうかな。


「そういえば、この町の近くに温泉がありますね。知っていましたか?」

「温泉ですか?・・・いや、聞いた事はありませんね。どのあたりにあるんですか?」


温泉がある事は知らなかったらしい。

私は、この町周辺の地図を見ながら、温泉がある位置を指で指し示す。ちなみに自噴しているわけではないので、利用するのならこれから濠に行かないといけないのだが、そのあたりの事をしっかりと伝えておく。

その結果、温泉掘削もお仕事して受ける事になりました。温泉の掘削については、暇そうにしていた脳筋組に任せるとしよう。

私は、コトリたちを呼び温泉のある場所を教えてから、早速掘削に向かってもらう。場所的には、ここメニューザイから南に約3㎞ほど向かった崖の中腹にある洞窟の中だ。洞窟を200mくらい入った場所の地面を。約500mくらい掘っていけば、70度くらいの高温に熱せられた温泉が出てくる事を伝える。洞窟を掘っていく際は、ハルナから熱湯体制の補助魔術エンチャントをかけてもらってから行うように伝えておく。そうしないと大火傷を負うからね。

ちなみに、その洞窟からメニューザイまでの導管を設置する工事は、私が行うので、洞窟何に空いた導管にする穴と源泉を繋げる工事だけは行っておいてほしい事。温泉が噴出したら、蒸気が抜ける程度の煙突状の穴は開いていてもいいが、それ以外は入り口を塞いで、中に何も入れないようにしておく事。


その後、温泉の源泉が出てくる場所を選定してもらい、その部分に湯を溜めるための浴槽(ちなみに、私たちが泊まっている『氷の女王アルサの息吹』に造った浴槽)を造ってから、源泉となる洞窟に向けて出力を絞った(魔術で再現した)超電磁砲レールガンを放つ私。その結果、綺麗の表面が焼けてコーティングされた穴が穿たれた。

私以外のパーティメンバーを見送った後、私は、国境となる門の前にやってくる。

今回は、上から下へと順に除雪魔導具ゴーレムちゃんの設置と、水道管(温泉が通る導管とただの水が通る導管の2つ)の設置を同時に行っていくためだ。


そして衛兵の先導のもとに、街道の上に順に除雪魔導具と水道管を設置していく。

なお水道の水源は、山名お腹を通る地下水脈を魔法で探し出し、井戸を掘っていくところから始める。ちょうど場所的には、メニューザイ砦の壁の北側から10mほどコロラド王国側に入った場所にあったため、そこから水脈まで縦穴を掘っていく。

掘るといっても、地面から水脈の深さまでの縦穴を一気に刳り貫くといった方がいいかな?そのうえで壁をツルツルの石壁になるようにコーティングして完成である。

なお、井戸を掘りぬいた瞬間に、水圧が高かったのか結構な量の水は自噴してきた。ポンプの設置も考えていたが、自噴しているのでその心配がなくなった。

衛兵の先導のもとに除雪魔導具と水道管を設置していく事半日。町に入る城門まで設置した私の仕事はここでいったん終了となる。ちなみに水道管の方か、街道となるメインストリートのみ設置していき、俺以外は、1区画ごとに設置された井戸(私が指定した場所に造った)に導管を繋げる形になっている。なお、井戸に入った水が凍らないように、井戸自体はそういった魔術付与エンチャントを施してある。

ちなみに温泉水については、各区画ごとにある銭湯と各宿屋の浴槽に直結する配管を通してある。


さて、温泉の方はまだ来ていないので、とりあえず水道の導管と水源となる井戸を繋げて開通させる。

勢いよく流れ落ちていく水。上から順に、設置された井戸に水が溜まっていく様子に、住民たちからの歓喜が聞こえてくる。そして、1時間ほどで一番下の城門に設置された井戸まで水が届き、近くの小川へと流れ落ちていく。

その1時間後、洞窟から敷いた導水管から熱湯の温泉が浴槽に流れ落ちてきた。その浴槽から順に各宿屋や銭湯へと繋がる導管に流れていき、町中に温泉が行き渡っていく。

なお、『氷の女王アルサの息吹』においては、この源泉からくる温泉は、入浴に適さないほど熱いので、いったん適温に薄めてから各浴槽へと溜めていく感じだ。他の宿屋や銭湯も同じ感じになるが、下へ行くほどお湯が冷めていくので、一番下の先頭はたぶん水で薄めなくても適温くらいになっていると思う。

ちなみに温泉水も、下まで流れて行ったら近くの川へと垂れ流しになる。

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