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異世界放浪記~ここは異世界テラフォーリア~  作者: ai-emu
【よこみち】チートな〇〇と万能聖女様(その2)
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(6)馬車を”魔改造”しよう(その1)

「まずは、足回りとベースを何とかしようか。何をするにも、そこがしっかりしていないと、他が良くてもどうにもならないからな。」


魔改造を主に仕切るケンジからの言葉。

確かに、どんなモノでも足回りやベースがしっかりしていないと、上物が良くてもすぐに壊れてしまう。


「それはそうと、タイヤはどうするの?今のように木で造ったフレームに鉄板を打ち付けるタイプ?それとも、馬車の革命を目指して、いっその事ゴムタイヤを履く?」


マコトからの質問。馬車の革命を狙っていくのなら、ゴムタイヤを履くのもいいアイデアだ。しかしねえ~~~~。


「ここは、今まで通りに木で造ったフレームに鉄板を打ち付けるタイプにしようよ。故障の事を考えると、そっちの方が利便がいい。」

「そうだな。替えがきかないモノは、使用しない方がいいと思うぞ。馬車に填まっている車輪の事を考えると、大型車のタイヤになるからな。ここを見てもわかるように、普通車サイズはたくさん在庫があるが、大型車はあまりない。ガタガタの道を走る事を考えると、ゴムタイヤはやめた方がいいだろう。

もっとも、鉄板の代わりに、ゴムを巻き付けるのはいいと思うがな。」

「・・・・ああ、そうだね。日本のように舗装路を走るわけじゃないから、常にパンクする事を考えないといけないね。」

「そういう事だ。車輪ついてはそれでいいとして、問題はどうやって衝撃を吸収するのかだな。そこを解決しないと、乗っている奴のお尻が痛くなる。」


俺の言葉に、ケンジが基本方針を意識して発言を重ねる。その発言に納得をするマコト。そして話は、サスペンションとベースフレームの方へと舵が切られていく。


「まずはベースフレームだけど。そこにあるキャリアカーセミトレのトラクターを使おうと思う。ちょうどテレサ様・・・・いや、テレサちゃんか。テレサちゃんからもらった馬車と、同じくらいの大きさだしね。上物のキャビンやエンジンは使えないけど、ベースとなっているフレームは使用できると踏んでいる。」


という事で、早速セミトレのトラクターを外し、上物をすべて取り外してベースフレームのみにする。

このトラクターは6輪式なので、タイヤが6個付いている。そのタイヤも外し、所謂固定部品であるハブだけの状態にしておく。なお、総輪エアサスの部品各種はそのまま外さずしていない。エアサスが故障した場合に修理できるかどうかは知らないが、衝撃吸収に対し発揮するため使用しない手はないのだ。

ちなみに繋がっていた胴体?は、後ほどほかのモノに使用するため、今のところ放置しておく。もちろん荷物である車も使用する予定だが、今のところはそのままの状態で放置しておく。


まずは、キャビンと呼ばれている運転席部分を取り外し、下に納まっている燃料電池式エンジン(俺たちの時代では、車の動力は石油燃料を燃やす発動機式のエンジンではなく、水を電気分解して得た水素を燃料とする燃料電池式のエンジンになっている)やその他付付属部品も取り外す。

ちなみにすべての車には、天井部分に太陽光発電パネルが付いており、巨大なバッテリーを積んでいる。これは、電気分解するための動力であり、またアクセサリーやエアコンを回す動力でもあるため、必然的に巨大化するのだ。

そうしてベースフレームのみになったセミトレのトラクター部分の前面を、前輪の操舵付近で切り取り、タイヤを填めた際に1/3くらい出るように加工する。なおここには、あとで馬車の前側(動力となる馬と接続する固定器具?)を接続するため、あえてこういった事をしている。なお切り取ったフレームは、後部に再度(マコトの魔術によって)溶接(いや・・・・・融合と言った方がいいかな?)して固定する。そのため、昔からそうなっていたかのごとく、強度的にも何も問題がない状態になっていたりする。


次に手をかけるのは、車輪部分である。

基本的に馬車の車軸は木の丸棒であり、木の丸棒の両端に大きな車輪を取り付け、馬車の底面前後にある軸受けに固定していた。これが高床式の馬車で、重量物を運搬する荷馬車に採用されている方式である。

旅客用の場合は、軸受けが座面の下に来るように設計されているため、基本的には対面式のボックスシートが1れるないし2列並ぶ事になる。ちなみにテレサちゃんからもらった馬車は、対面式のボックスシートが1列並んだ高床式の馬車である。


低床式の場合は、基本的に車輪の大きさを変更する事ができない(規格化する事で、製作コストを抑えているため)ので、ベースフレームの下部に車輪を固定した軸を通すのではなく、ベースフレームの上側に軸受けを構築して軸を固定する方法と、1つ1つ独立した車輪をベースフレームから構築してきた壁面に固定する方法がある。

どちらの方法も、サスペンション(この場合は板バネ方式になるのかな?)を構築するスペースがないため、乗り心地は最悪との事。そのため、この方式を採用している馬車は、犯罪者や奴隷を移送するための護送馬車のみらしい。


そして高床式・低床式問わず、ここで問題になるのは、この軸受け部分がベアリング方式ではなく、潤滑剤代わりの油を塗りたくった軸受けだという事だ。

この潤滑剤代わりの油を塗りたくった軸受け方式だと、どうしても回転抵抗が高いためそれが乗り心地の悪さに直結する。潤滑剤代わりの油が乾燥した場合は、激しい摩擦音と共に乗り心地が悪化する。場合によっては、摩擦熱で火災を引き起こす事もあるそうだ。


閑話休題。


さて、俺たちが魔改造する馬車は、ベースフレームは木製ではなく、トラックに使われている丈夫な鋼鉄製となる。C形鋼やH形鋼を組み合わせた軽量鉄骨のフレームなので、同じ大きさの木製フレームに比べると、たぶん重量的にも軽くなっているのではなかろうか。

家でも、木製で梁や柱を組むよりも、軽量鉄骨で組んだ方が重量が軽くなるからね。

そんなベースフレームに着ける車輪だけど、どうするんだろうかとケンジが行っている作業を何なしに見学する俺とマコト。

ケンジはまず、外したホイールからタイヤを外し、ホイールのハブとリムとの間にある木製のスポークを取り外した。そうして既製品のだった馬車の車輪(外側のみ)を、そのままホイールにはめ込んでいく。


ちょっと車輪の方が大きい(直径にして5㎝程度)ようだけど、どうやってフィットさせるんだろうか?

そして、もともとはタイヤのホイールなので、その形状は凹凸があるんだけど、そのあたりの処理はどうするんだろうか?


そんな事を考えながら、ケンジの作業を見続ける俺とマコト。すると、ケンジからマコトに、とあるお願いがやってくる。


「マコト。ここにある材木を、この6本のホイールに隙間なく、継ぎ目なく巻き付ける事は出来るか?

ついでに言っては何だが、ホイールから全周3㎝出るくらいにして、表面は鏡面磨きのようにもできたらうれしい。あと、こっちの車輪の内径部分も、鏡面加工をしてくれるとありがたい。」

「それくらいなら簡単だね。」


そう言うや否やマコトは、(解体されてそこらに放置?されている)テレサちゃんの馬車のベースに使われていた材木を、魔術で適当に6つに切り分け、6本のホイールにケンジの注文通りに巻き付けた。

完成したそれは、『初めからそうなっていました!』と言わんがばかりに仕上がりであり、注文したケンジも驚いていたほどだ。


「・・・・魔術って。・・・・イメージさえしっかりしていれば、どんな無茶な注文でもできてしまうんだな。」

「そうだね。それが魔術、・・・・しいて言えば、魔法の長所でもあり、また欠点でもあるね。」


・・・・ああ、”イメージ”できなければ、名のもできないし、”イメージ”さえしっかりしていれば、どんな事でも可能だ。たとえそれが、物理法則や化学の法則を、思い切り無視した行為でも・・・・・。

その後、意識を取り戻したケンジは、マコトが作ったホイールに、車輪をはめ込んでいく。ホイールの直径の方が気持ち大きいらしく、はめ込んでいくのに少し力を使ったが、それぞれの方面が鏡面のように滑らかなため、少しの力で簡単にはめ込まれていくのは、・・・・・見ていて面白かった。

その後、釘を使って車輪をホイールに固定すると、その表面を元々のタイヤを加工したゴムで覆っていく。最後の仕上げとばかりに、マコトにタイヤのリム部分とホイールをはめ込んでもらって一応の完成となる。


超扁平になった、大型トラックのタイヤと言った見た目だ。タイヤの中には空気エアーではなく木の車輪が入っているので、パンク等の心配は皆無である。

ガタガタ道を走るためにあるような、理想的なタイヤの完成である。衝撃吸収には、少しばかり不安が残るが・・・・。ちなみにこの世界、ゴム製品は普通に存在していたりする。ただし、天然ゴムだが。

そんなタイヤを、再びベースフレームに填めて、もともとあったナットで固定する。大型トラックとしては、低すぎる車高になったが、馬車の車高としてはちょうどいい車高である。


「これで、ベースについては一応の完成だな。次はキャビンの製作に取り掛かろうか。」


まずは、テレサちゃんの馬車から、馬との接続部分をもってきて、同じ形に組み上げていく。ここの構造自体は(3人とも)あまり知らないので、そのままパーツを流用して設計していく。まあ、軽くするためにアルミなどの軽い金属部品を流用していく。

この時、俺たちは失念していた。

地球にある一部金属や産業素材とこの世界にある魔法金属やファンタジー金属が、同じ組成(組成自体は同じという意味で、実際その金属にするにはさらなる加工が必要となる)である事を・・・・・。

有名どころでは・・・・。


オリハルコンは、真鍮(銅と亜鉛の合金)

ミスリルは、アルミニウム

ヒヒイロカネは、ステンレス

オモイカネは、タングステン


閑話休題。


まずはアルミで造った馬との接続部分を取り付ける。この部分のみは馬車のそれと同じで、固定される場所は前輪の駆動部分と直結である。そして、(元々形状的に見ても)取り外し可能である。

次は、マコトに(魔術で無理やり)加工して作った軽量鉄骨でキャビンのフレームを組み上げていき、大まかな箱型のキャビンを作り上げる。

なお、細かく修正する部分は魔術があるのでたぶん地球でやる事に比べればとても簡単な作業である。その証拠に、車の事をあまり知らない俺たちでも組み上げていく事が可能なのだから。


前輪の駆動部の真上に御者が座る席を置き、形状的に横からの出入りができないので、キャビン内からの出入りになる配置に変更。両サイドは視界を確保するために全面ガラス張りにする。なおこのガラス自体、マコトが何やら魔法付与術エンチャントスキルで強化しており、物理的・魔術的に対する強化ガラスとなっている。ちなみに基本的にこの馬車の窓ガラスは、すべてこの強化ガラスがはまる事になっている。

こうなるとやっぱり、動力となる馬の防御を考えたくなるよね。


「マコト、この馬車の動力となる馬なんだけど、やっぱり見た目は馬同然のゴーレムに出来ないか?

馬車に対する防御力は今回の魔改造で上がるが、動力の馬たちは野ざらしで防御力皆無だろ?

いくら馬具によって強化されるといっても、限界はあるだろう?」


俺は、馬に対する攻撃の懸念を示し、生きた馬ではなくゴーレムみたいなモノを動力にしたらと提案する。


「・・・・・それもそうだな。動力である馬を攻撃されたら、どうにもできなくなるな。マコト、生きた馬に限りなく近いゴーレムの馬って、創る事は出来るか?」

「ん~~~~。ゴーレムだって魔術の1つだからね。イメージさえしっかり持てば、生きた馬に似せる事は朝飯前だよ。それを創ろうとするならば、目の前に現物があった方がイメージしやすいね。」

「それじゃあ、ゴーレム馬の製作は、屋敷に帰ってからにしよう。本物そっくりに創るなら、そうした方がいいからな。」


という事で、動力源となるゴーレム馬については後回しという事になり、今日のところはキャビンの製作に時間を当てる事になった。

なお、動力が生きた馬で亡くなった事で、馬と繋がる手綱は『ただ御者の意志を伝える道具』というモノになり、手綱に似せた何かが御者席から延びる事になった。そのため、御者席の全面も、下面部は金属板による板張りで、上面部はガラス張りとする事が決定。馬車自体の動かし方においても、従来ではないアプローチで動かす事になった。


その後、キャビンのフレームに鉄板とガラスをはめ込んでいき、乗降口となるステップ部分を取り付ける。なお、このステップは、走行時は格納されて全くないように見えているが、ドアを開閉に合わせてステップも自動で展開・収納する仕組みになっている。

こうして、外回りと御者台を完成させる頃に夕方となり、本日の作業が終了した。

明日は、内装と電装品・空調関係と取り付け、あとは動力となるゴーレム馬の製作だな。

という事で、倉庫全体に誠による結界を施して、屋敷に帰還する俺たちだった。


屋敷に帰ると、夕食時にテレサちゃんに馬車の魔改造について根掘り葉掘り聞かれる事になったのは、予定調和・・・・・なんだろうか?

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