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異世界放浪記~ここは異世界テラフォーリア~  作者: ai-emu
【よこみち】チートな〇〇と万能聖女様(その2)
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(5)旅立ちに向けて

時間は少し巻き戻って、テレサ様を無事にペンタストにある領主の館(この町の領主様は、テレサ様の実の兄上)の送り届けた翌日。

俺とマコトとケンジの3人は、テレサ様たちを助けたあの湿地帯の街道沿いに、再びマコトの転移で戻ってきたいた。なお、マナミちゃんに関しては、未だ予断を許さないテレサ様の主治医である事と、何故か知らないがテレサ様がマナミちゃんの顔を見ていないと、情緒不安定になってしまうため仕方なく置いてきている。


「冒険者登録やバティスティア聖教への登録については、私が回復するまで待っていてください。どうせ私も、冒険者登録をする予定なので。」


さらにテレサ様のこの一言で、俺たちの冒険者登録やバティスティア聖教への登録は、テレサ様が全快するまでお預けとなっている。そしてどうも、俺たちと一緒に冒険者として各地を放浪する旅をしたいそうだ。

そのためならば、どんな事も犠牲にするくらいの気概を持ち始めているテレサ様であった。


「これは、・・・・・あれだね。テレサ様、マナミちゃんに依存しちゃっているのかな?」

「・・・・たぶん、この感じから言えば、そういう結論に達するよね。私も行きたかったけど、テレサ様の事を考えれば、ここに残っておいた方がいいよね?」


ため息をつきながら、そんな結論に足した俺たち4人。そんな俺たちを知ってか知らずか、テレサ様はベッドの上からマナミちゃんの腕を絡ませて、ニコニコ顔で俺たちの方を見ていたのだった。


そんな感じで、テレサ様に捕まってしまったマナミちゃんだけをペンタストに置いてきて、こんな場所に舞い戻ってきた俺たち3人。ここで何をしようとしているのかと言えば、1BOXを見つけたここならば、他にもいろいろと墜ちているのではないかという希望的観測のもと、広範囲における探索を行うためである。


「それじゃあまずは、1BOXがあった場所周辺からの探索だね。湿地帯の上でも問題なく歩ける魔術を、どうせだから2人にかけるね。えいっ!」


と、かわいらしい掛け声とともに、俺とケンジの周囲を淡い光が包み込む。俺たちに魔術をかけた真琴は、浮遊の魔術?みたいなものを自身にかけて、俺の首を両腕で抱き込んでいる。どうも、自分の足で歩く気はないようだと悟る俺。

まあ、いいか。

そんな行動も、最近かわいく思えてくる俺だし?

まずは、1BOXがあった場所に跳んでもらい、そこから順に探索していく。探索開始から20分ほどが経過し、結構奥深くまで湿地帯を走破?した頃、車を満載したカーキャリアが湿地帯に半分ほど埋まっていた。取りあえずはその状態のまま【アイテムボックス】に放り込んで回収する。

そのまま日が暮れるまで湿地帯を探索した結果、10台前後の車を発見できたため、ホクホク顔になる俺たち。ちなみに、それらの車の所有者らしき者は発見する事ができなかったが、死体はいくつか確保できている。なお、どんな状態であれ、動物の死体はその場で焼却処分をしないといけないため、俺たちは街道脇に穴を掘って死体を灰になるまで燃やす事になる。

一応、墓標となるようなモノもないため、軽く灰の上に土だけを盛り、お墓のようなモノを作っておく。


こんなところで野営するのもなんだし、そもそも野営する気もない俺たちは、お墓に手を合わせた後すぐさまペンタストに転移で戻った。明日からは、街中にある倉庫みたいな広い場所を借りて、今日回収した車の部品を使って、ばしゃをかいぞうする予定を立てる。

まだ、改造場所とそもそも馬車自体手元にない状態なので、まずはそこから探さないといけないと予定を立てておいた。

その日の夜、夕食後にテレサ様の兄上でこの町の領主様であるマルコネル様に、馬車と倉庫の事を相談すると、あっさりとこの2つについては解決してしまった。ついでに、御者の訓練についても・・・・・。


まずは、改造を施す予定の馬車について。

どうせ改造する予定なので、中古のポンコツでいい。・・・・動きさえすれば。箱馬車が理想だけど、別に屋根の内に馬車でも構わないという事をマルコネル様に話していたら、たまたま隣で聞いていた(食後の食休めで話していた)テレサ様がこう言った。


「それでしたら、私が乗っていたあの馬車をお使いください。元々、私名義の馬車です。」


いきなりの提案に、俺もマルコネル様も目が点になった。長距離の旅行が可能になった際、あの馬車がなければここから領都に帰る事ができないのではないか?

マルコネル様も、そのあたりの事をテレサ様に問いただすと・・・・・。


「しっかりと動けるようになった後、私はマナミ様たちと共に冒険者となって、いろいろな場所に行ってみたいのです。『見識を広める』という”表向き”の理由もありますが、私の本音は『マナミ様からは、一生離れたくない』からです。何ならお父様に話してもらって、勘当してもらっても構いません!」


また、ぶっちゃけたモノである。さらに聞けば、マナミちゃんと一緒に暮らせるのなら、別にケンジと結婚しても構わないとまで宣言してくれましたよ。

このお嬢様は・・・・・・。さらに言葉を重ねて。


「どうせこのまま実家に戻っても、待っているのは政略結婚であり、何処の誰だか知らない男と結婚する未来しか待っていないと。本来は私のような貴族令嬢は、王都にある学園に通い、そこで結婚相手を見つけるのが仕事。病弱だった私は、その期間ベッドの上だったので、今から通ってもいい男はすでに誰かのモノになっているので出遅れている。

そうなった場合、父上が示した相手との結婚が待っているだけだ。それならば、この自由にできる時間があるのなら、思い切り自由に暮らしてみたい。」


・・・・・そういう事らしい。また、政略結婚自体にこれと言った難癖をつける気はないが、できるならば好きな男と結婚したいとも話してくれた。なおケンジについては、まだ出会って間もないので恋愛感情自体はないとの事だが、ここで登場するのがマナミちゃんの存在である。

テレサ様自身、この感情が何なのかを理解できていないそうだが、何故かマナミちゃんと離れる事を考えると、情緒不安定になってしまうらしい。考えるだけでこうなのだから、実際に離れ離れになると、どうなってしまうのか皆目見当もつかないんだとか。


このテレサ様のぶっ飛んだ思いを聞いた俺とマルコネル様は、少し遠い目をして、・・・・・何かを悟り・・・・・。そして、抱き合いはしなかったが、何か同じ事を考えて握手を交わした。

取りあえず、領都にいる両親にお伺いを立てる事で、今日のところは話を合える。

翌日、超特急で手紙のやり取りをして、返信されてきた手紙を見て、マルコネル様はその場で石化したらしい。その石化させた両親の手紙を見て、俺たちもまた石化した。


『テレサの好きなようにさせてあげなさい。

この数年間、何もできずに死を迎える事しかできなかった娘が、何かをしたいと頼んできたのです。

親としては、元気になった後に、しかるべき男と婚姻させたいところですが、、今は出来なかった事を全力でやらせる事がテレサにとって良い事と思っています。その過程で、何処の馬の骨とも知らない誰かと恋に落ちたとしても、それはテレサが決めた道であり、私たち家族は温かく迎えてあげないといけません。

ただし、期間は5年間です。

5年後までに、私達おお眼鏡に構う男を見つけてこなかった場合、テレサには私たちが指定した男と結婚してもらいます。それまでは、自由にさせてあげてなさい。』


何枚かに紙に書かれていた内容を要約すれば、こんな意味の手紙だった。つまりテレサ様には、5年間という期間限定だが、自由に動き回れる権利を勝ち取ったという事だ。その5年間に、両親に認められた男を連れてこれば、その男は何処の誰であろうとも、テレサ様を伴侶として迎える事ができるという事である。


「・・・・これはまた、すごいご両親ですね、テレサ様とマルコネル様のご両親は・・・・・。」

「ああ、辺境伯領を統治するには、これくらいの技量がないとできないのかもしれんな。俺には到底無理だ。俺は、このちっぽけな街を統治するくらいしか、力がないからな。

コウタ、ケンジ。テレサの事、俺からもよろしく頼む。できるなら、ケンジかコウタのどちらから、テレサを娶れるようになってもらいたいものだ。」

「どちらかというと、その仕事はケンジに任せるしかないかなとは思います。テレサ様の言動を見る限り、マナミちゃんの旦那であるケンジの方は適任でしょうから。」

「たしかに。」


俺とマルコネル様は、お互いの顔を見やると、フフフと笑いをこみ上げあった。

自傷する事はないと思うが、この位の技量と度胸がないと、1つの領地を統治する資格すらないのかも・・・・・。そういやヒカリちゃんも、なんやかんや言いながらも、懐が広かったなあと思い出す。

その後、手紙の内容をテレサ様にも話し、その結果、『どうせ行動を同じくするので、やっぱり馬車は差し上げます』という話に落ち着いた。


さて、次は馬車を改造するための倉庫を探さないといけない。

この屋敷の一角を貸してもいいとはマルコネル様の言だが、回収してきた乗り物を並べる空間も必要だし、何よりも汚れ作業が多々発生するので丁重にお断りをした。また、どうせなら改造中の馬車よりも、改造した馬車を見た方がインパクトがあるだろうとの思うもある。

その事を伝えれば、『確かにそうだな』と言を頂き、郊外にあるだだっ広い倉庫を、超破格値で借りる事に成功した。


翌日、俺とマコト検事の3人は、借りた倉庫を見に町の郊外へと足を延ばす。マナミちゃんは、当然のようにテレサ様に捕まっている。

仮受けた倉庫は、町の東側を流れている川から引かれた運河沿いにある倉庫群の一角に存在している。車や鉄道などの交通網が発達するまでは、地球でも川や運河は交通の中心に位置していたのだ。そういったモノが無いここテラフォーリアにおいても、水運が最も大量輸送できる手段である。そのため、倉庫みたいな建物は基本的に運河や港沿いに建てられているのが普通である。

そんな倉庫の中で、領主様が所有している倉庫群の一角に、俺たちが借りた倉庫はあった。それも、その倉庫群の中で一番大きな倉庫である。だいたい50m四方ほどの広さで、3階建てくらいの高さがある。

何でも、有事の際に大量発注したモノを、一時的に保管、分配するためにこんなにも広い倉庫が丸まる1棟空いているんだとか。


まずは回収してきた車を、壁際に1列に並べていき、中心付近に魔改造する予定の馬車を設置する。

その後、馬車をいったんすべてばらして、部品の状態を1つ1つ丁寧に確認していく。あの時はただ単純に動かせればいいとの考えで、足回りのみを重点的に修理しただけだからね。あの転覆地点から、ペンタストまで動けばいいとの判断で、重点的と言っても不格好な形で適当に部品を繋げていっただけである。

結局のところ、マコトによる転移魔術で、あの馬車が街道を走行する事はなかったが・・・・・。

現物から採寸して図面を引き、すべて部品ごとにばらしていく俺たち。もちろん各部品も1つ1つ採寸していき、何処に使われていたのかもあとで解るように、図面と部品に同じ記号をふっていく。壊れている部品を新しく作り直してはめ込んでいくので、書き込む記号は大きく解りやすい位置に記入する。

どうせ組み立てた後に、改めて塗装しなおすのだから、その前がどうなっていようとも、あまり関係ないのである。

とはいうものの、内装に関してはあまり変化しない感じで行くが、外装に関しては『馬車に見える別の物体』という感じで魔改造されていく予定である。


「どれだけの衝撃だったかは、この部品の破壊具合から見ても理解できるよね・・・・。」

「・・・・そうだな。内装に使われていたモノはあまり壊れていない。しかし、外装に使われているモノは、8割がた何らかの損傷を見て取れる。しかしながら、外装に関して言えば、『馬車に見える別の物体』になる予定だからな。現状部品が壊れていようが壊れていなかろうがあまり関係のない事だ。」


マコトの呟きに、作業の大部分を担当するケンジが、今後の予定を立てながらこう答えていく。


「それじゃあ、改造作業する前に、設計を決めてしまおうか。最終的には、たぶん大きくは変わらないにしろ、細かい部分は変わっちゃうとは思うけどね。」

「そうだな。現状の最終案くらいの設計図は必要だな。」


そんなこんなで、以前何処かで作ったテーブルセットを取り出して、マコトが汲んだお茶を飲みながら、週案を詰めていく俺たち3人であった。

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