(1)聖女様はやっぱり聖女様でした
『汝、マナミには、改めて治癒神『メディサリーヌ』の権能を守護する『治癒神の聖女』を与え、我の寵愛をその身に受けた聖女に任命する。今後も与えられた職能及び、我の名代としてその使命を全うするように』
やっぱり・・・・・・というかなんというか。当然の結果をマナミちゃんが叩き出して、あたまを抱えるしかない俺たち3人とテレサちゃんとアマルーダさん。
閑話休題。
テレサ様と侍女であるアマルーダさんを命の危機から助け、その後テレサ様の兄上が領主を務めているペンタストへと転移。なおこの時、テレサ様の治療を担当したマナミちゃんは、ついでにテレサ様を苦しめていた病気(テレサ様が患っていた病気は、心室中隔欠損(VSD)という全先天性心疾患)を治癒し治してしまった。
その後、本格的にテレサ様の病後回復を始めて10日が経った今日は、NMDC23667年7月22日である。今日から本格的に、この世界で動き出そうとしている俺たち4人である。
ちなみに、テレサ様たちと合流した日は、NMDC23667年7月11日であり、この日を基準に俺たち4人の(この世界での)誕生日を決めている。
ちなみに、俺たち4人の誕生日はこうなっている。ちなみに年齢については、現状の年齢にした。
コウタ・・・・・NMDC23650年6月6日(17歳)
マコト・・・・・NMDC23652年9月8日(15歳)
ケンジ・・・・・NMDC23650年5月15日(17歳)
マナミ・・・・・NMDC23652年1月4日(15歳)
さて、本来ならばこの世界・・・・・・というか、ここペンタストに来た翌日にでも、冒険者ギルドと神殿に来る予定だった。しかし・・・・ね。
「私がマナミ様たちの身元引受人になったのだから、いろいろな登録作業の案内は私が行いたいんです!」
という、テレサ様のたってのお願いで、テレサ様がなんとなく歩く事ができる今日まで待っていたのだ。テレサ様も、必死になってリハビリに励んでいたしね。
ちなみに、俺たち4人の(この世界においての)身分証は、このお屋敷に来たその日に手に入れている。身分証を発行するのが、ここペンタストの領主であるテレサ様の兄上であるマルコネル様で、現在俺たちがいるのは領主様のお屋敷である。そのため、簡単に『コロラド王国カスタード辺境伯ペンタスト』出身の平民(異世界人)の身分を得る事に成功した。ちなみに異世界人の身分は、便宜上初めて登録した町や村出身となるらしい。
なお、私たちの身元引受人は、本来は領主様であるマルコネル様の予定だったが、(テレサ様たってのお願いで)テレサ様が身元引受人の名前に登録されている。
何故か俺たち・・・・・というか、正確にはマナミちゃんに懐いてしまっているテレサ様である。その関係でテレサ様が身元引受人になったのかもしれない。
まあ、テレサ様が嬉しそうにしているからね。
その笑顔を見れるのなら、誰が身元引受人でも俺たちには関係ないのかな?
なお、件のテレサ様はと言えば・・・・・。
ペンタストに到着した翌日は、さすがにベッドの上の生活を余儀なくされていたテレサ様だったが、2日目になると部屋の中を何とか歩き回れるまでに回復。元々歩く事自体は問題なかっただけに、骨折した影響で筋力や体力が落ちていただけだったのだ。そして5日目には、お屋敷の庭の散策もできるほどに回復してしまった。これは、一緒にリハビリをしているアマルーダさんも同じである。
また、ペンタストに到着した日こそ流動食で済ませていたが、翌日の朝には少し固形物の入ったスープとお粥という朝食だった。その後、徐々に固形物が増えていき、パンタストに来て7日後の晩餐の席では、柔らかく煮込んだ肉を食べれるまでに胃袋の方も回復する。
ちなみに、このテレサ様の回復の様子は、領都・テアステリアにいる両親のもとに、通信魔導具によって毎日報告されている。
なお、この魔導具、名前を『地点間指定手紙転移鏡』と呼ばれており、手紙のみを送る事が出来る転移系統の魔導具だ。
実際は、転移装置となっている鏡の部分(5㎝×20㎝)の大きさのモノならば、どんなモノでも送る事が出来る便利な魔導具で、起動魔力も送るモノの重量比例で使用者が支払う仕組みになっている。
使用する魔力も手紙程度の重さならば、市販されている魔導具の中で最も多く消費するモノの1割増くらいとなっているため、ある程度の人口のある町や村には、必ず1つは設置されている(たいていの場合は国家運営の郵便局と呼ばれている役所)魔導具でもある。
閑話休題。
そして10日後、テレサ様は事故に遭う以前以上に回復してしまう。そして、今日を迎えたわけだ。
町の中を(見かけ上は)護衛もなしに歩くテレサ様と俺たち4人とアマルーダさん。もちろん身バレをなるべく犯さないため、全員そこらにいる町娘風のワンピースやら、男物の服装で歩いている。
まずは、冒険者ギルドへ。
冒険者登録は、普通に終わった。本当に呆気なく終了したのだ。
唯一の問題と言えば、テレサ様とアマルーダさんが冒険者登録をして、俺たちのパーティに加入した事くらいか。元々テレサ様は、マナミちゃんと別れるのが嫌だったらしく、常に一緒にいるにはどうしたらいいのかを真剣に考えた結果、『そうだ!冒険者になって、同じパーティで活動すれば、離れ離れにならずに済むではないか!』という考えに至ったらしい。
何処まで、マナミちゃんラブなんだろうか、・・・・・テレサ様は。
ちなみにこれには、マルコネル様も、領都にいる両親も、少し呆れてモノも言えなかったらしい。
まあ、今まで心臓の病気で苦しんできたのだ。元気な事はいい事だと、しばらくの間はテレサ様の自由にさせるみたいだ。
そして俺たちは、テレサ様のお守りという役目を、密かに両親から依頼されてしまっている。
一応ギルドを通した指名依頼扱いにしてくれているので、Bランクに上がるための事と諦めて頑張る事にする。ちなみに、スキップ申請によって、俺たちは全員Cランクになっている。テレサ様とアマルーダさん、あとアマルーダさんの旦那様も含めて・・・・・。
アマルーダさんはともかく、病弱だったテレサ様にも、戦闘力があったのには屋敷にいた者全員が驚いたモノだ。どうも、保有している魔力量が(マコト曰く)結構な量あるらしく、少しマコトが指導しただけで大火力の魔術を結構な数放つ事に成功したのだ。
「パーティ名、何にしようか?」
「・・・・・本当に、どの名前が、私たちに一番ふさわしいパーティ名なんだろうね?」
なお、唯一悩んだのが、これから俺たちの代名詞となるパーティ名だ。いろいろと悩んだ結果、(いろいろな意味で)皆さんリア充だという事で・・・・・。こう決まりました。
『り・あ・じ・ゅ・う』
ここペンタストにいた10日間で結婚した俺とマコト、ケンジとマナミちゃん。
でも、驚いたよ、・・・・この世界の結婚方法。まるで、平安時代のような結婚方法だったんだから。
マナミちゃんラブなテレサちゃん。
ちなみに、冒険者として・・・・ではなく、こうやって貴族として振舞っていない時は、ペンタスト出身の何処にでもいる街娘のテレサちゃんだ。もちろん家名も名乗っていない。
ちなみに、テレサちゃん、アマルーダさん、マナミちゃん、マコトは皆15歳で同い年だ。しかし何故か、マコトは俺・ケンジ・マナミちゃんからはマコトと呼び捨て(テレサちゃんとアマルーダさんは、マコトちゃんと呼んでいる)にされ、テレサちゃんとマナミちゃんは、皆からちゃん付けされており、アマルーダさんは皆からも(それこそテレサちゃんからも)アマルーダさんと呼ばれていたりする。
なお、マナミちゃんとマコトは(貴族としてふるまう事になる)公式の場では、テレサちゃんとアマルーダさんからは様付けで呼ばれている。たぶん、2人の命を救った恩人だからだろうと思うが、俺とケンジは呼び捨てにされるんだよな・・・・・。ちなみに俺たち4人も、公式の場においては、テレサちゃんの事は様付けで呼び、素助祭侍女として振舞うアマルーダさんは、さん付けもしくは呼び捨てになる。
マナミちゃんを、とことんサポートしているアマルーダさん。
テレサちゃんの専属侍女で、幼馴染で同い年。実際、テレサちゃんとは乳母姉妹でもあり、同じ屋敷内で共に育った大親友でもある。両親ともに平民であるが、母親がセンダレス家の侍女として働いており、たまたま同じ時期に子供を産んだためこうなったらしい。
そんな俺たちは、そのまま道を挟んだ向かい側にあるペンタスト神殿へと向かう。ここでは、俺たち4人のバティスティア聖国の身分『信徒』を得るために、神殿に祀られている神々に誓願を誓う『洗礼の神事』を行うのだ。
ちなみに、次に示す3つの神事を併せて、『洗礼の神事』と呼ばれている。
(1)初禊の儀
専用の沐浴着に着替え、禊の間にある聖水が満たされた聖泉に入水する。そこで穢れを聖水で祓い、身を清める神事の事。
(2)初誓願の儀
バティスティア聖教の信徒となる事を、神々の前で誓い、聖書に謳う『従欲の誓願』・『非権の誓願』・『純教の誓願』の3つの誓願を立てる神事の事。
(3)神賜の儀
誓願を神々に誓った者は、神々者の1柱から祝福を受ける事になる。この祝福を受けるための神事の事。
そして、3つの神事を問題なく3人が終え、(たぶん大きな何かを起こしてくれるだろう)マナミちゃんの番になって、冒頭の事が起こったのだ。
『汝、マナミには、改めて治癒神『メディサリーヌ』の権能を守護する『治癒神の聖女』を与え、我の寵愛をその身に受けた聖女に任命する。今後も与えられた職能及び、我の名代としてその使命を全うするように』
やっぱり・・・・・・というかなんというか。
当然の結果なのかもしれないが、マナミちゃんが治癒の女神『メディサリーヌ』様から、偶然なのか必然なのか知らないが『聖女』の加護を賜って、その結果『治癒神の聖女』様になりました。それも、冒頭に『改めて』という言葉があるように、『今日任命したわけではない』と、すでに聖女に任命されていた事を皆に知らしめる内容になっている。
ちなみに神から賜る加護には、上から『聖女(女性のみ)』・『聖人(男性のみ)』・『寵姫(女性のみ)』・『寵君(男性のみ)』・『神子』・『守護』・『依代』・『加護』・『祝福』・『慈愛』・『神赦』となる。その上で、特に神から賜る加護が『聖女』・『聖人』・『寵姫』・『寵君』・『神子』だった場合、その加護と賜った神の名を取って『〇〇の聖女』とか、『〇〇の神子』といった特殊な称号を神殿側から得る。そしてこの称号自体が、神殿組織の中の身分となる。ちなみに『〇〇の聖女』は、神殿組織の中の身分の中では上から2つ目であり、実質的には最高位の聖位(バティスティア聖国の身分の名称)である。
「・・・・・・・。えっ!聖女様?・・・まさか?本物?」
司祭様も、何が何だか解らずに混乱している模様。
そして、この場にいた者すべてに、混乱の渦にたたき込んでいる小悪魔聖女様こと、涼しい顔で佇んでいるマナミちゃん。
当然の結果だと思っている節があるね、・・・・・・あの顔つきは。まあ、俺ですらそうなるかという確信はあったわけですが・・・・・。
そんなまさかな事態が、今目の前で起こっているんですよ。
これは再起動までに、もう少し時間がかかるみたいだ。何とか声が出せた司祭様の精神は、尊敬できるほどに(神経が)図太いみたいだ。
マナミちゃんは、こんな状況下でも平然として・・・・・、いや、それどころか、楽しんでいる雰囲気もある。そういう俺やマコト、ケンジも言える事だが、皆この状況を何処か楽しんでいるのだ。
俺たち4人は、とある人物の影響で、心臓は鋼鉄製でしかも金属製の毛まで生えているのだ。もちろん神経は図太く、へし折れるなんていう状況が思い浮かばない。
まあ、それはいいとしてだ。
そろそろ皆さん、現実逃避から戻ってきてもらいたい。そうしないと、いろいろと話が進まないので。
そんな事を頭の中で考えていると、治癒の女神『メディサリーヌ』様から、またもやありがた~~~~いお言葉が・・・・・・。
『我が愛しき聖女、マナミよ。
汝は治癒神・メディサリーヌの化身であり、また依り代である事をここに神託する。よって、聖女としてではない普段の言動はともかく、聖女として活動している際の言動は、そのすべてが我を代弁し、我と表裏一体であり、またそのすべてが我の現身である事をここに宣言する。』
治癒の女神・メディサリーヌ様。また、とんでもない爆弾を落としましたね。
とうとうマナミちゃん、神様の仲間入りをしてしまったんだね・・・・・。そんな感想しか出ない、俺たち3人(俺とケンジとマコト)だった。
なお、そう考えているのは俺たちだけであり、新たに投下された爆弾は、核爆弾並みの威力があったみたいで・・・・・・。
せっかく再起動しかけていた皆さんが、石化攻撃を受けたかのように全身ガチガチに固まってしまっていまおました。
これはしばらく、再起動しないね。




