【04-03】コロラド王国における身分制度について
パーティ内では主に魔術師となる2人とコトリ以外のミオ・ナオミチ・ヨシナリの3人が魔力感知の訓練を行っている間、私はこの世界での市民権を得た際にもらった4冊の中の『コロラド王国六法全書』という本を開いている。そういえばまだしっかりと、ここコロラド王国にある法関連を調べていなかったと思う出したからだ。
ちなみに4冊の冊子は『コロラド王国六法全書(憲法・民法・商法・刑法・民事訴訟法・刑事訴訟法)』・『コロラド王国総合地図帳』・『コロラド王国の郷土料理全集』・『コロラド王国語修練教書』である。何処からどう見ても、異世界人が調べたい事をあらかじめ分かったうえで手渡されている感じがするモノばかりのあれだ。
現状、最も気になっているのが、この六法全書の中に記されている『身分』の項目である。そのページをペラペラとめくり、どんな身分があるのかを確認していく。なお、ここに示す身分はコロラド王国独自の身分制度であるため、他の国家では通用しない場合もあるし、そもそも地球にあった身分制度とは、その名称は同じでも根本的に異なっている。
【国王(女王)・王妃(王配)】
まずは、身分上では最高位となる『国王』もしくは『女王』。
この国の最高権力者であり、国家の支配者でもある国王陛下。コロラド王国では、絶対王制が敷かれているため、国王が国家の最高権力者であり、国家の主権者でもある”表の顔”である。
一応男子優先で王位継承権は定められているが、国母との子供が女性の場合は、その女性にも継承権が与えられている。
で、裏の(ある意味)内政と外交の顔となるのが、女性側の最高位となる『国母』。
ここでいう国母とは、一夫多妻制であるこの国においては『第1王妃』となる。別に一夫多妻でなくてもよく、生涯入りの身を王妃とする場合も歴史上では存在している。
なお、国王が女王だった場合は、その配偶者は1人のみとなり、生涯一夫一妻を維持していく事になる。
第2王妃以降は、国母を補佐する役目を負い、他の王妃たちとは仲良くしないといけない。その補佐的な役割は多岐に及び、『権力抗争をしている暇等あったら国家のために働け!』と言わんがばかりに、仕事が増やされる傾向にある。そのため、優雅に暮らしていきたいのなら、他の王妃たちと仲良くやっていくのが得策である。
所謂政争などによって、国母や周囲の王妃たちを貶めた場合は、発覚した時点で厳格な処罰が下され、その範囲は彼女らの実家及び親族家にまで及ぶ事になる。
もちろん王妃になった時点で、その実家や親族家の権力が制限されてしまうため、権力を笠に強引に何かを行う事は出来なくなる。なお当然だが、親族が王妃に面会できる事は、同性であっても特定日を除き許可されていない。また、親族との面会時には、いろいろな手続きを踏み、指定された環境でのみ許可されている。当然、普段の生活場所は男子禁制の後宮であり、王妃たちが表に出てくる場合は、寝所のない建物のみである。
【王族】
身分上で王族と呼ばれている人々は、ここコロラド王国において『王位継承権が発生している者』となっている。そのため、例え現在の王の親族であっても、王位継承権を持っていない者は王家ではない事になる。
ちなみに、王位継承の順位は、次に示す条件に合致していないといけない。
なお、王位を壌渡した元国王やその王妃も王族として数えられているが、権力は王族と同等となると定められている。
(1)国王(女王)における、直径の子供である事。性別は問わない。なお、子供が王位継承権を持たない場合は、直径の孫に継承権を与える。
(2)継承順位の選定は、国母の子供から優先順位を選定していき、第2王妃以降の子供に関しては、産まれた順に継承権を与えていく。
(3)王位継承の順位は、成人年齢に達した子供もしくは孫に対し、(王としての在位期間を長くする目的で)年齢の若い順に継承権第1位を与える。
(4)継承権の持つ者が満30歳を超えた場合は、その継承権は剥奪され臣下に下る事とする。
(5)王位を継承する際は、基本は男子優先で王位を継承していく。ただし、国母の子供が女性のみだった場合は、女王として即位する場合もある。
【貴族】
貴族とは、その爵位を持つ者とその家族の事を指す。なお、爵位を名乗る事ができる者は、爵位を持つ現当主とその爵位を継承する嫡子のみとなる。
ちなみに爵位継承順位は、王位継承の順位に倣っているため、貴族位を持つ者が女性の場合ももちろん存在している。
そのため、その爵位に付随する権力を持っているのは、現当主と次期当主のみであり、それ以外の家族がその権力を持つ事はない『名誉貴族』と呼ばれ、基本的には特権階級の平民と同じ待遇を受ける。
爵位を持つ貴族は、国王が行う政治を補佐する立場であり、たいていの場合は与えられている職種と爵位を世襲している事が多い。しかしながら、実績を伴わない者が世襲した場合は、容赦なく切り捨てられる事になる。
また、平民から集めた税金や各種賦役を適切に管理・運用を行う事を仕事とする。また、国が定めた税金や税額を超えたものを課す事は出来ない。それらを行った場合、統治する領地に対し様々な神罰が下される場合もある。
これらの事を理解できずに権力を振りかざした場合、最悪の場合は神からの神託を受けてお家取り潰しになる事もある。
一部の国家では、一代限りで世襲制を行っていない国もある。また、ごく一部の国家では、国王と王族はいるが、貴族という身分はなく、貴族・平民・自由民を含めて『平民』となっている国もある。
王座や爵位を継承する際、その国土や領地を統括する神々に対し、定められた制約をしないといけない。この制約を反故した場合は、その理由と問わずに神罰が下る事になる。
公爵・・・・王の家族や親族の内、王位継承権を持たない者たちが叙爵する身分。基本的には、爵位を賜った者とその嫡子までが名乗る事を許されているが、大きな功績を残した場合は、永代公爵の身分を得ている家もある。
辺境伯・・・・国境沿いに領地を持っている貴族が叙爵する身分。基本的には永代貴族になる。国境沿いは未開の大地が広がっている事が多いため、その祖先は、その地を開拓した元冒険者である事が多い。なお諸々の事情で、領地が国境に接しなくなった場合は、侯爵位として改めて叙爵される。
侯爵・・・・公爵位だった子孫たちが叙爵されている身分で、もともとの家系は王家に連なっている事が多い。もしくは、何かの功績を得た伯爵が叙爵される場合もある。実績を伴わない者が世襲(特に3代目以降)した場合は、容赦なく爵位が剥奪される事になる。
伯爵・・・・領地を持つ貴族が叙爵されている身分。基本的には永代してその身分を保証されているが、実績を伴わない者が世襲(特に3代目以降)した場合は、容赦なく爵位が剥奪される事になる。
男爵・・・・次に示すどれかに該当する貴族が、叙爵される身分となる。基本的には1代限りとなるが、大きな功績を残した場合は、永代その身分を保証される事もある。
(1)領地を持たない貴族の内、ある一定範囲内を代理統治している貴族
(2)伯爵以上の身分を持つ成人した子供で、嫡子でない者たちに叙爵される身分
(3)法衣貴族の内で、一定以上の役職についている者たちが叙爵されている身分
子爵・・・・法衣貴族が叙爵される際の身分。基本的には1代限りとなるが、大きな功績を残した場合は、永代その身分を保証される事もある。
士爵・・・・騎士としてその身を主人に捧げた平民が叙爵される身分。基本的には1代限りとなるが、大きな功績を残した場合は、永代その身分を保証される事もある。
【平民】
王侯貴族と奴隷身分以外の、すべての者が属している身分。平民の身分には、定住民・自由民・害市民の3つの身分に分かれている。また、定住民と自由民を合わせて『市井民』と呼ばれる事もある。つまり、定住しているかどうかの違いだけであり、身分上では同等の扱いを受ける事になる。
また平民は、家名(苗字)を名乗る事は禁じられている。これは、家名を名乗る事が王侯貴族の特権としなっているためである。
平民が持つ(神から与えられた)権利として、害市民を除き、各種税金や賦役を含め、国が定めた税金と税額以外は、どんな理由であろうとも領主や貴族の独断で課される事はない。また、一番上に立つ国家に対しても、自分たちの私利私欲のために、必要以上の税金を貸す行為は認められていない。
そんな事をすれば、居住地を移動する自由が保障されている平民(貴族になると、賜った土地に封じられるためこの権利はなくなる)が、その土地から逃げていく事になる。そのため結果として、自分で自分の首を絞める事になる。
(1)定住民
それぞれの町や村に定住している者たちの総称。そのため住んでいる場所に応じて、職人・商人・農民などの呼び方で呼ばれる。国法に定められている様々な賦役に就く事と、各種税金(町中に住む者のみ)や年貢(農村などに住む者)を納めるが義務付けられている。
(2)自由民
町や村を転々と移動する冒険者や旅商人、旅芸人を纏めた総称。この身分が追っている各種義務は、定住民とは内容が異なっている。自由民は定住民とは違い、その町に住んでいるわけではなく、町や村を行き来して生活している移動民族である。そのため、町を統治する領主から課せられる賦役に就く義務は持っていない。
そのため、土木工事などの公共事業はともかく、兵役に関しては、有事以外ではほとんど課さないのが暗黙のルールとなっている。緊急依頼という形で、自由民は有事の際、強制徴収される事もあるが、あくまでも依頼であるため、働いた分の報酬も高額となっている。
また自由民には、賦役が課されない代わり、町や村に収める税金が、門を通る通行料として毎回かかってくる事になる。そのため、通行料という名の税金以外は、基本的には徴収されない決まりになっている。
なお、何処かの町に定住している場合においても、その街に市民権がない限り自由民とみなされている。そのため、定住した自由民に対し、各町や村では市民権の移動を促す目的で、様々な優遇処置をとっている。
(3)害市民
町に入る事ができない盗賊や山賊、海賊たちの事を言う。
害市民に(書類上で)分類されると、あらゆる義務がなくなる代わりに、あらゆる権利も同時に剥奪される。そのため魔物と同様に討伐対象となり、全世界に対し報奨金付きの指名手配犯(生死不問)となる。
また、基本的に生死不問の賞金首となるが、生きたまま捕まった際は、公開処刑となって晒し首にされる運命にある。
【異界からの来訪者】
違った世界から迷い込む者は多く、その者たちの事を『異界からの来訪者』と呼んで、見つけ次第いろいろな意味で保護されている。
保護された際は、行政府が設置されている最寄りの町や村の出生者として、この世界の市民権を得る事が出来る仕組みになっている。なこの際の身分は、元の世界の身分に関係なくすべて平民の身分が与えられる事になっている。
ただし、ごく一部(町や村に辿り着く前に盗賊などに捕まった場合)では、この異界からの来訪者の保護が機能しなくなり、この場合は奴隷として売られる事になる。また、直前に起こった災害などの犯人として奴隷落ちさせられる場合もある。
【奴隷】
生きながらにして鬼籍(死んだ人の名や死亡年月日を書きしるす過去帳の事)に入り、人でありながらモノ扱いされている者たちの総称。そのため、奴隷身分に落とされた者は、この世界に戸籍がない事になる。また、奴隷身分になった時点で、それまでの家族の関係も当然なくなってしまう。
しかし、戸籍がないと管理ができないため、奴隷身分になった時点(奴隷隷属の首輪が填められた時点)で、奴隷ギルドが管理する『隷籍』と呼ばれる奴隷専用の戸籍に自動登記される事になる。
ここで登記されるモノは、奴隷内の身分を示す『奴隷区分』となる。
基本的に奴隷身分になると、主人から解放されない限り一生涯その身分となる。ただし、一部奴隷区分においては、特定条件を履行しない限り解放される事なく、一生涯奴隷として暮らしていく事になる。
奴隷身分においても、必要最低限度(奴隷区分により異なる)の生活は保障されており、市井で暮らす奴隷は、伝染病等の発生を防ぐ目的で不潔にしてはならないと定められている。
なお、各奴隷区分ごとの詳しい解説は割愛する。
(1)一般奴隷
『有期借財奴隷』・『無期借財奴隷』・『有期戦闘奴隷』・『無期戦闘奴隷』の4つの区分がある。
なお、奴隷が持っている権利は、主人によって大きくその自由度は異なっているが、①衣食住に関わる必要最低限の権利②身分買い戻しのための賃金獲得の権利③職業上達のための訓練を行う権利を、主人及び周囲の者たちは侵害できない事になっている。
本人もしくは親類縁者が作った借金の抵当として奴隷落ちした者たちの内、戦闘経験のない者たちが落ちる奴隷区分が、有期借財奴隷と無期借財奴隷であり、戦闘経験のある冒険者や兵士・騎士などが落ちる奴隷区分が、有期戦闘奴隷・無期戦闘奴隷である。
借金自体は、購入した主人が立て替えて支払うため、『借金の総額=奴隷となった際の購入金額』となる場合が多い。そのため、購入された金額に5割をかけた金額を主人に完済できれば、奴隷身分から元の身分に戻る事ができる者たちを『有期借財(戦闘)奴隷』と呼び、できない者たちを『無期借財(戦闘)奴隷』と区分分けする。
基本的には、本人及び(借金申し込み時に)同居していた家族が奴隷落ちする。なお、借用書にある連帯保証人にサイン及び魔力捺印されている場合は、その連帯保証人とその同居する家族も奴隷落ちする。なお、奴隷市場で売られる場合は、家族ぐるみで売られる事は稀であり、基本的に家族がその場で離別していってしまう事が多い。
借金を完済する事が奴隷となる目的なため、主人となる者は、その職種に応じて決められた最低賃金以上を支払いと、必要最低限の衣食住を与える義務がある。戦闘奴隷に関しては、戦闘方法に則した武器・防具を与えるのも、主人となった者の義務となる。また奴隷側は、与えられた賃金の7割以上を借金返済に充てないといけない義務がある。また、残った賃金については、奴隷自身の判断で自由に使用してもよい事になっており、その使用方法を主人側は強制してはならない事になっている。
(2)犯罪奴隷
『囚人奴隷』・『連座奴隷』・『軽犯罪奴隷』・『重犯罪奴隷』・『追放奴隷』の5つの区分が存在している。ちなみに、各国の定める刑法において、ここに定める奴隷刑を言い渡された者がこの区分奴隷に落とされる。
ちなみに、刑法において刑罰は、(国によってその呼称は異なっているが)下から軽い順に『私財没収刑〇割』・『鞭打ち刑〇〇回』・『枷拘束生活刑〇〇日(着衣拘束もしくは全裸拘束)』・『追放刑(〇〇㎞四方処払い)』・『遠島刑(有期もしくは無期)』・『奴隷刑(有期もしくは無期)』・『前線刑』・『検体刑』・『公開処刑』となる。
なお、奴隷刑よりも上位の刑罰は、基本的に死罪としての扱いになる。所謂『非人道的な刑罰』として非難される行為だが、この世界では犯罪者に対しては公開処刑として見せしめにならない分『人道的死罪』と言われている。当然公開処刑の場合は、最低は10日から、最高は死体が朽ちるまで(骨になるまで)の間、死体晒しの刑が付加刑として付いている。なお、斬首刑の場合は、胴体側はともかく首の方は、骨になるまで獄門台で晒されるのが常識である。
なお、どの刑罰においても、『市中引き回し刑』が付加刑として付いている。
引き回しの際の罪人で、着衣拘束で引き回すのか、全裸拘束で引き回すのかが決まる。また、引き回しを執行する際も、執行者の独断で引き回し方法も決定される。
(3)戦争捕虜奴隷
2カ国以上の戦争によって、敵対国家に占領された地域に住む住民が、その敵対国家の戦費補充の目的で奴隷狩りに遭い、その後奴隷身分に落とされてしまった者たち。そのため、平時ならば奴隷落ちにはならない神官身分も、容赦なく奴隷に落とされる事になる。なお、奴隷を購入するのは地元の奴隷商であり、しいては奴隷ギルドとなる。
基本的に奴隷身分となっても、住んでいた町や村を出る事はなく普段通りの生活を営む権利を持っており、占領側もその権利を剥奪してはならない事になっている。なお、強制的に住んでいる場所を移動させ、奴隷市場で売買した場合は『違法奴隷狩り』をみなされ、戦争の勝敗に拘わらずそれをした国家・組織は、戦後に激しく断罪される事になる。
基本的に戦争期間中の三奴隷身分となっているため、戦後は敗戦国家側がその身分を買い戻す事によって、戦後賠償の代わりとする事が国際法で決まっている。
(4)D級奴隷
あらゆる権利・人権を剥奪されてしまった者たち。奴隷刑の一環として課せられる場合もあり、姿勢で暮らす奴隷の中では、最も身分が低いとされている。




