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異世界放浪記~ここは異世界テラフォーリア~  作者: ai-emu
【よこみち】チートな〇〇と万能聖女様(その1)
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(1)雄大な大自然に俺たちは落下した

気が付いた時俺たちは、真っ逆さまに落下いしていた。


4人掛けとなったバスの最後部の席に、腰を固定するタイプのシートベルトで固定された状態で。前方には、雄大な大山脈に沈みかける巨大な太陽が上下逆に見えており、視界の上部にはこれまたどこまでも続いている巨大なジャングルが横たわっている。

そして、ありえないほどのGがかっているが、この時ばかりは上下逆に落下している事をに、何かの神様に感謝の祈りを捧げたくなってきたほどだ。通常の正位置?のまま落下していれば、こんなちゃちなシートベルトでは簡単に抜け出してしまい、ここに座っている4人全員がバラバラになって紐なしバンジーを体験していた事だろう。

今の状態だと、レールに固定されていないフリーフォールで、さらにパラシュートのないスカダイビング状態なので、紐なしバンジーとあまり変わらないような気がするが・・・・・。


そんなどうでもいい事を考えながら現実逃避をしていると、いきなり視界の端っこに巨大な何かが飛んできているのを発見する。

それは、飛行機並みに巨大な鳥?だった。そのありえないほどの大きさの巨鳥が、悠々と大空を飛んでいたのだ。

そして、すぐさま理解する。

大空を落下しているいる俺たちと、その巨鳥の飛行するコースが重なっている事を。そして、運がいいのか悪いのか、このままの速度でいれば、そのまま衝突コースだという事を即座に理解してしまった。

それも、もうすでにあまり時間がない。何も制御装置のない俺たちは、このまま落下していくだけだが、あの巨鳥は気が付けば回避行動くらいとれるだろう。視界運の悪い事に、俺たちは巨鳥の死角から衝突するらしい。


そして、その時がやってきた。


”ガキンッ!”


金属同士が激しく衝突する音が何処までも澄み渡った空に響き渡る。

ありえない衝突音と、ありえない衝撃。そして、高速落下しているはずの俺たちには、傷1つ付いていないという謎仕様。何がどうしてこうなっているかなど、全くと言っていいほど理解していない中、今度は巨鳥の背中を高速で滑り上がっていく。

滑り上がっているのは、ただ単純に巨鳥を衝突した場所が、ちょうど巨鳥の頭部だったからだ。そして、その衝撃で巨鳥が気を失ってしまい、そのまま自由落下を始めているからだ。

巨鳥の頭に当たり、そのまま背中を滑るように駆けあがっていく俺たち。その滑り上がっていく過程で、巨鳥にあったなにかの突起物の衝突。


その影響で、今度は高速の横回転運動が加わった。

俺たちと衝突し、意識を手放した巨鳥とは、弧を描きながら高速回転する俺たちとは、の祖距離が徐々に離れていく結果になる。

強烈な横回転がかかったまま、俺たちの座る座席は大きく弧を描きながら自由落下を始める。先ほどのフリーフォール状態よりも、さらに恐怖心が植えつけられそうだが、俺たちは何もできずにそのまま状況に流されていくだけ。

そして、回転しながらグルグル回る景色に移ったのは、巨大な湖だった。このままでは湖に衝突すると解り、瞬時に現在の角度を計算してみる。すると、現在の落下していく角度とこのスピンしている速度を鑑みれば、これは運が良ければ助かるかも?っと思ってしまう。


先ほどから不思議なんだが、こんなパニックになって何も考える事など普通できないはずなのに、何故か頭の中は冴えわたり、どうでもいい事から重要なことまで瞬時に考えが纏まっていくんだよね。


まあ、そんな事は後でも考えれるからいいとして。

先ほど計算した通り、ベストな角度を回転が加わっている俺たちは、湖に着水すると、そのまま勢いよく湖の上をはねていく。所謂水切りなんだが、これまた生身でやるとはだれが想像しただろうか。

そして、対岸まであと十数メートルといったところで、何かに鳥突してそのまま対岸の岩場にジャンピングシュートを決めたのだ。


そうして現在。


真っ逆さま状態のフリーフォールと、高速スピンでのブーメラン、そして生身での水切り体験という、通常では考えられない未曾有の体験を、連続で休みなく体験してしまった俺たち。

その俺たちの前には、大地に沈みゆく巨大な太陽と、その態様を飲み込む大山脈。大山脈の足元にはどこまでも続く巨大な森が広がっている。

俺たちは、そんな雄大な大自然を見渡せる断崖絶壁の崖の上に佇んでいる。こんなところにいるのは、生身水切りしたあの湖ののぼり、2㎞程太陽に向かって歩いていたら辿り着いただけだ。

足元の断崖絶壁を見下ろせば、グランドキャニオン並みの断崖絶壁の谷底には、盛大に血潮を谷底にまき散らして挽き肉が鎮座している。多分あの挽き肉の塊が、俺たちと衝突したあの巨長だろうとその惨状から理解できた。

なお、その巨鳥が落下している谷底は川になっているため、巻き散らかされた挽き肉や血潮などは、川の流れによって流されており、大量の血潮で下流側が真っ赤に染まっている。

上流側を見れば、モクモクを見ず煙をまき散らしながら”ゴーゴー”という水が大量に落下している音が聞こえているので、この先には巨大な滝がアrと推測。たぶん、俺たちが水切りしたあの湖から流れ落ちているんだろう・・・・この高低差的に。


「最近のアトラクションは、・・・・・すごいリアリティを追及しているようだな。・・・・まさか、あそこまで再現できるとは驚きだ。VR内にある遊園地でも、ここまですごいものはなかった気がするが・・・・。」


目の前に聳え立つ山脈(目視なので実際はわたらないが、数千メートル級の山々が連なっている感じだ)に沈みかけている巨大な夕陽を見ながら、俺事『椋橋康泰くらはしこうた』はそんなありえない事を呟く。

目の前に見える壮大な大自然の前では、『人間なんてものは、地面に這い蹲っている蟻と同じだ』なんて、哲学的な叙事詩を言いたくなってくる。


ああ~~~~、空気がおいしいな。


そんな現実逃避的な事を考えていると、先ほどの俺の呟きに、俺の右腕をしっかりと握っている女の子?・・・・・・いや、俺の親友で幼馴染で・・・・といった感じのテンプレをこれでもかと詰め込んだ男の娘である『松林真琴まつばやしまこと』がこう返してきた。

この俺の隣で座る幼馴染で腐れ縁の女の子?・・・・いや、とある2人組のせいで、男の娘という性別?に転換してしまった松林真琴は、自他ともに認める男の娘である。

そんな真琴の現在の服装は、鷺宮学園の女生徒が着用するセーラー服である。ちなみに、学校以外の服装は、真琴が働いている今宮家の侍女が着用しているメイド服であり、今宮家でメイドとして働いていたりする。なお本職は一応今宮家の執事見習いであり、メイドの方は今宮家のご令嬢である光莉ちゃんの部屋という名の一軒家の中にいる時だけである。

さらに言えば、いつも俺の隣をキープしており、どこからどう見ても美少女の容姿(整形も何もしていない)なため、いつしか俺の彼女?としての立ち位置を自他ともに認められた強者でもある。

なんか、近々性転換手術を受けて女の子になるうわさも聞くが・・・・。


「そうだね・・・・。特にあの、安全装置が腰に巻き付けたシートベルト1つだけの状態で、上空ウン千メートルからの紐なし、レールなし、パラシュートなし。・・・・ついでに言えば、落下する道中になんかの巨大な鳥?に当たってそこに大回転が加わった急降下ダイブなんかは・・・・・・。ボク、マジで死ぬかと思ったわ。」


ああ、確かに、そんな事があったな。隕石のように落下する俺たちの進路上に、飛行機並みに巨大な鳥?がいたんだったけ。そしてその巨鳥?の頭に当たって、そのまま背中を滑るように流れていく過程で、巨鳥にあった突起物?によって、高速の横回転運動が加わったんだっけか。

そして今度は、その横回転のまま大きく弧を描きながら落下していったんだよな。

なお、その際俺たちと衝突したその巨鳥は、意識を失って何処かに落下。というか、現在俺たちのいる岩場・・・・というか、グランドキャニオン並みの断崖絶壁の谷底に落下。先ほどちらっと見たら、盛大に血潮を谷底にまき散らして挽き肉になっていた。


「私は、・・・・あれかな。

巨鳥?に体当たりした影響の横回転しながら、巨大な湖に突っ込んだときかな?まさか、生身でで水切り?をするなんて思わなかったわ。何十回水の上をはねていったのか、・・・・数える気も失せたわね。」


クラスで上位を争う美少女(ちなみに一番は、満場一致で真琴である)である寺岡真奈美てらおかまなみちゃんが、谷底に落下して現在挽き肉になっている巨鳥?を見ながら先ほどの体験を語っていた。


「・・・・・なに現実逃避してるんだ?康泰に真琴の真奈美。それよりも、これから先の事を考えようか?」


俄漫才にわかまんざいを繰り広げていた俺たち三人を現実世界に引き戻したのは、高校に入ってから友達になった中条健二なかじょうけんじ。ちなみに真奈美ちゃんとは、お付き合いしている仲らしい。


「そうだね、漫才はこれくらいにしておいて。

ここが何処なのか?どうしてボクたちは、こんなところにいるのか?あの、アトラクションみたいな出来事は何だったのか?

そんな事は後でも考える事が出来るけど、今早急に決めないといけない事があるね。」

「何を決めるんだ?真琴。」


俺は、真琴の発言に驚きを感じ、こう質問する。現状把握は大切だろうと、ほかの2人も疑問に思っているみたいだ。


「まず、ここが何処なのかよりも、目の前の光景を見て思いつかない?」


真琴がこういうので、改めて目の前の光景を確認してみる。


目の前に聳え立つ山脈には、沈みかけている巨大な夕陽。

足元を見れば、どこかの崖の上に鎮座する俺たち4人が座っているバスの座席。

その崖の先には、どもまで続いているのか判別つかない広大な大森林。

遠くには、かすんでよく見えないが、悠々と流れる大河と、街らしきものがうっすらと確認できる。


「そうだね・・・・・。あそこに見える真っ赤な夕陽を鑑みるに、今晩の寝床の確保かな?それに付随して、安全な場所を探さないといけないね。」


こう答えたのが真奈美ちゃん。確かに、安全を確保できる寝床は大事だろう。


「そうだね。安全な寝床ももちろん大事だけど・・・・。

それよりも、安全な食べ物を確保しないと、何もできないと思うよ、ボクは・・・・。水の確保は、湖まで戻ればなんとかなるけど、食べ物まではどうしようもないからね。食べ物の宝庫である森までは、ここからだと結構な距離があるし、何よりもこの断崖絶壁を下りないといけない。そして現状ボクたちのいる場所は、枯れ木1つ無い広大な岩場だ。」

「そうだよね。あの湖に釣り糸たらせば、何か釣れるかもしれないよね。さっきの生身水切りの最後の方で、何かに当たって進行方向が変わったみたいだし?何かがいる事は確実だよね。」

「そうそう、その何かを捕まえる事ができれば、塩焼きにして食べれそうだよね。ほら、この岩場の所々が真っ白だし。まだ試してないけど、あの白い部分が岩塩だと思われる。」


真奈美ちゃんの答えに、こう付け加える真琴。そして、この2人で食べ物の確保についての話し合いが行われていく。

真琴に指摘されて気が付いたが、確かに真っ白に変色している岩がある。・・・・というか、岩の層があるといった方が最適な言葉かもしれない。

白くなって固まる岩の成分は多々存在するが、水辺もしくは元水辺だった場所において、白くなっている層があるとするならば、そこは岩塩になっている確率は高いと言っていいだろう。確認にし言った真琴と真奈美ちゃんも、その地層を少し削って舐めてみた感想が「しょっぱい」だったので、これはもう岩塩だと断定していい。


「塩は何とか確保できたな。あとは、焚き木にする枯れ木と、せめて今晩の食料だけだ。さて、それじゃあ、各々が取れるだけの岩塩をここで採掘してから、いったん湖に戻ろう。」


俺が、今後の予定をサクッと決め、その場のノリ?で岩塩採掘を始める。あの感じだと、あと2時間も経たないうちに太陽が沈んでしまうので手早く岩塩を回収し、そそくさと湖まで戻ろ俺たち。その道中で、少し離れた場所に灌木があったので、もちろん回収していくのも忘れない。回収の方法は、健二がありえない力で蹴り折ったんだが・・・・・、これもまた不思議な事である。

湖畔まで戻ると、先ほどはなかった大きな物体が、湖畔に流れ着いていたのを発見。よくよく見てみれば、対朝が5m近くある巨大ぎょだと判明。

これで今晩の食料が確保できた。


「真奈美ちゃんは、解体できる?ボクは、光莉ちゃんに叩き込まれたから大丈夫だけど。」

「解体?私も、光莉ちゃんに叩き込まれたからできるよ。まさか、これで解体しようと思っている?真琴君?」


そう取り出したのは、何時も首下に駆けている光莉ちゃん特製の十得ナイフとサバイバル工具セットだ。

光莉ちゃん・・・・・俺たちの大親友で、総元締めのボスである女の子、今宮光莉ちゃんと付き合っていると、唐突にアフリカの未開のジャングルとか、日本国内の何処かの山奥とかでサバイバルごっこを行う事がある。それに付き合わなければ、光莉ちゃんの大親友にはなれないし、(いろいろな意味で)お付き合いする事も困難である。

そうして、光莉ちゃんが親友だと認めている者たちには、何故か知らないけどこの特性の十得ナイフと小型サバイバルセットが送られ、常に身につけているようにと厳命される。厳命されるのは、唐突に始まるサバイバルごっこがあるためであり、最低限身につけておかないといけないのがサバイバルの知識である。

もちろんここにいる面々は、光莉ちゃんの大親友なので、全員が十得ナイフと小型サバイバルセットを持っているのだ。

さて、そんな十得ナイフとサバイバルセットを用いて、巨大魚の解体が始まっていく。こうして今晩の夕食を確保した俺たち4人だった。

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