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異世界放浪記~ここは異世界テラフォーリア~  作者: ai-emu
【第2章】彷徨える森の中
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【閑話】或る日の鷺宮学園(その2)

今日は、鷺宮学園の衣替え。

衣替えといっても、女子については春・秋用の薄手の長袖セーラー服から、半袖セーラー服へと変わるだけだが。男子については、・・・・・割愛する。


まあ、こんな些細な事はどうでもいいとして。

4月の入学直後から始まっている、鷺宮学園高等部の特殊授業『社交パーティー』。


カリュキュラムは、3年間を通して行われており、1年生では基礎的な技術を教え込み、ダンスレッスンの際は男女のペアを組む事になる。別にペアは、男女でなくてもよいが、その際は完璧に断層もしくは女装する事が義務付けられている。

そして、年末に今宮家主催で行われるデビュタントボール(デビュタントの初舞台となる舞踏会)の出席(単位習得のため)を目指して特訓する。なお通常のデビュタントは、18~20歳の上流階級や貴族の娘で、初めて正式に社交界にデビューした者を言うが、この時期の日本は、受験や何やらで忙しいため、前倒しで16歳の時に行われる。


2年生では本格的なレッスンと、12月に行われる文化祭において、執事やメイドに扮して来場客をもてなしたり、学生主体のダンスパーティーをしたりする。なお、鷺宮学園の文化祭は12月23~25日と、他の学校よりも開催時期が遅く、また全日程を通して公開となっている。ただし、金・土・日といった週末開催ではなく、平日でも関係なく日付開催となっており、26日が終業式となり、その夜にデビュタントボールが開催される。


3年生では、本格的に毎週行われている、各地の社交パーティーへの出席が義務化される。パーティーへの出席は、前半は裏方のホール係として、後半はダンスなどを実際に踊る招待客として、パーティーに参加する事になる。なお、ダンスコンテストへの出席は任意であるが、ほぼ全員が何らかの形で出生をしており、中には優秀な成績を収めているペアもいる。


授業自体は週に2回あり、テーブルマナーを含めた礼儀作法が2時間。裏方として行われる、執事・メイド実習が2時間。この2つの授業は、6クラスある学級を2つに別けて、週の前半と後半で授業内容を交代させている。そして、ダンスレッスンが2時間の計4時間1コマとなる。

この授業は基本的に昼食も兼ねているため、4時限目からスタートし、7時間目まで通しで行われている。

基本的にこの3つはセットであり、1年生は、毎週月・木、2年生は火・金・3年生は水・土に行われる。なお、学校は土日休みなので、3年生の土曜日の授業は、基本的に各地で行われているパーティーの出席が授業の代わりとなっている。

また、執事・メイド実習の際は、学園中(高等部の校舎のみ)の掃除も授業の一環として行われているため、ダンスレッスンの時間帯に、執事・メイド実習のクラスが掃除を行う事が伝統となっている。つまり、掃除をさぼって行わない者がいると、その担当個所が非常に目立つ仕組みになっている。

なお、掃除個所は共用部分の身なので、各クラスの使用教室や特別教室は、毎日の掃除が各クラスに割り当てられている。


閑話休題。


2ヶ月間の基礎訓練が終了し、衣替えがあった6月1日以降の授業からは、ダンスの本格レッスンが始まります。我らが1年1組は、奇数クラスと合同で、毎週月曜日は執事・メイド実習を、毎週木曜日はダンス・礼節実習となっています。なお、基本的に祝祭日も普通通り授業がある代わりに、長期休暇などにその日数分(1週間単位で)余分にお休みとなるように調整されています。

それはともかく、今日は月曜日なので、我らが1組は執事・メイド実習の日であるため、3時間目が終了した後、急いで実習服であるメイド服に着替える私。


「本日の授業は、晩餐などの準備です。まずはテーブルのセッティングから行います。なお本日は、この後の昼食会お行うためのセッティング作業及び、接待の方法です。」


今日の授業は、ランチのセッティングです。

私達執事・メイド実習である奇数班(奇数クラスが集まっているためこう呼ばれている)は、4時限目が終了した後の昼食会の際、ダンス・礼節実習を行っている偶数班の皆さんの接待を行います。当然その後に、反省会を兼ねた昼食を行うわけですが。

現在、私たちがいる場所は、実習棟内にある高級レストランを模した研修室ホールです。ホールには、音を吸収する目的で、短い毛並みのカーペットが敷き詰められています。カーペットは60㎝四方に分割されている者で、現在は薄いグレー色と濃いグレー色のカーペットが交互に敷き詰められています。

なお、この部屋では主に洋食関連と中華関連の食事マナーを学ぶ部屋ですが、当然畳敷きの和室も準備されており、また個室になっている部屋もあります。その時々で使用される部屋は変わりますが、世界中の食事マナーに対応可能な作りになっています。


「今回のランチでは、2人1組で1つのテーブルを使用するため、60セットテーブルが必要となります。そして、上座には長テーブルを置きましょう。まずは60セットのテーブルと椅子を並べてしまいましょう。」


隣にある倉庫の中から、手分けして正方形の形をした2人掛けのテーブルと椅子を取り出して、ホールに並べていきます。テーブルを並べていく際も、いろいろと気を付けない事がたくさんあります。


「まずテーブルを並べていく際は、感覚に注意が必要です。あまり離れすぎてもいけませんし、引っ付きすぎていてもいけません。適度な距離は、『話し声が聞こえそうで聞こえない距離』ですね。また、隣り合ったテーブルに置かれているお皿の中身が、しっかりと確認できないようにセッティングするのも重要です。今回は同じメニューなので構いませんが、レストランではテーブルごとにメニューは当然異なっているわけですからね。他人が食べているモノをあまり見るのも失礼にあたる行為なので、そうならないように気を使う必要があります。」


そう先生からの指摘を受けながら、会場のセッティング作業を行っていく私たち。なお、どんな趣旨があるのか解らないが、テーブルを置く位置があらかじめ決められていた。テーブルの配置上、ある程度の予測は付くが・・・・・。

テーブルを並べ終わった後は、テーブルクロスを敷いていく作業になる。そして、テーブルの上に一輪挿しを並べていけば、セッティングの完了である。


「では、次が一番難しい作業である『席次』ですね。招待客の誰を何処のテーブルに案内するか。これを間違えてしまうと、少し問題になってしまう場合があります。」


確かに、これが最も頭を悩ませる作業なんだよね。そのパーティーの趣旨によっては、同じ招待客であっても、上座に座る人物がコロコロと変わってしまうからね。


「先生。今回は、どのような趣旨で開かれると設定されているパーティーですか?」


なので私は、先生にこう質問をした。


「とてもいい質問ですね、今宮さん。今回の設定では、『婚約者と共に招待された王宮での昼食会』となります。なお今回の国家名は、『鷺宮王国』となっており、招待客役である偶数班には、設定上の身分が存在していますので、来場された際にお聞きして、ご自分で判断してください。なお、君たち奇数組は、案内したペアを最後まで専属で担当していってもらいます。こちら側もまた、男女ペアでの行動となります。」


私たちは、この実習を行う際に、男女でペアを組んでいる。このペアは基本的に3年間同じであり、クラス替えが行われる年度替えにおいても、このペアが変わる事はない。そのため、2学年以降の実習では、クラスごとではなく男女のペアごとで執事・メイド実習とダンス・礼節実習に別れて行動していく。


閑話休題。


で、設定上の身分は、男性側において王族・公爵・侯爵・伯爵・男爵となっているが、その構成人数は不明である。なんせ、設定上のパーティ名が、『婚約者と共に招待された王宮での昼食会』であるためだ。なお、それぞれの身分においての上下はないとなっているため、少しは楽になっているが・・・・。そこの部分も上下があったら、さらに席次が大変になっていただろうしね。

ちなみに、招待客側の身分についても、直前に行われる籤引きで決まるため、誰がどの身分の設定になっているのかが分からないそうだ。

その設定になる本人たちも。

もちろん私たち接待側においても、先ほど行われた籤引きに置いた、案内順が決定される仕組みである。


「じゃあ、『婚約者と共に招待された王宮での昼食会』を始めましょう。」


4時限目の終了のチャイムと同時に、昼食という名の実習がスタートしたのだった。

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