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異世界放浪記~ここは異世界テラフォーリア~  作者: ai-emu
【第2章】彷徨える森の中
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【02-08】第1世界人発見?・・・・・したと思ったら保護されました

「落ち着いた?」

「・・・・はい。ご迷惑をおかけしました・・・・・。光莉ちゃん。」

「ああ、私達事は、ヒカリ・コトリと読んでね。その代わり君たちの事もそう呼ぶから。」

「えっ?何でですか?苗字呼びをしないのは、なんとなく理由がわかるけど、名前をわざわざそうしようとする理由は?」


私の胸で泣き出してから数十分。

あれから緊張に糸が切れたのか、女の子組は急に泣き出し、男の子2人はアタフタとなっていたのは軽く吹いてしまった。何とか落ち着いたハルナさんたちを加えて、熊の瞬殺現場から2時間ほど歩いた場所で本日は野営する事になった。理由は?と彼らの中の1人、ナオミチ君に聞かれたので・・・・。


「野営する場所を瞬殺現場から話すのは、血の匂いにひかれてやってくる、動物たちとの無駄な戦闘を避けるため。名前の方は『ここが異世界だから』という理由で、日本風の呼び方は避けた方が無難だからだね。」


そんな会話をしながら暗くなった街道を進んでいく。

で、街道沿いにある広場に到着すると、私とコトリを含め、この世界に来てから初めてとなる現地人グループを発見。


「こんばんわ~~~~~。」

「ああ、こんばんわ。盗賊かと思ったが、君たちきみたいだったんかい?」

「ああ、それは驚かせてしまってすみませんでした。あのう、私達、この格好からわかるように、異世界から先日ここに飛ばされてきて、途方に暮れているんですが・・・・・・。」


私たちにとってこの地は異世界だが、彼らにとっては私たちの方が異世界人である。どちらがどうともいえない状況の中、私はられらからの見方で話を進めていく。私たちを発見した彼らは警戒して、誰何してきたので、素直にこう答えていく。


「君たちは、『異界からの来訪者』か。大変な目に遭ったな。・・・・・まあなんだ。こっちに来て座れ。晩飯はまだだろう?何か食わせてやる。」

「ありがとうございます。」


先に野営をしていた彼らにご相伴する形で、私達も野営をする事にした。

それにしても、全く問題なく会話ができているので、言語解読スキルはしっかりと働いているようですね。周囲をちらりと見てみれば、首を横に振っている者と縦に振っている者とに別れている。要するに、先ほどの私とこの男性との会話を理解できたかできないかだね。

ちなみに、私とコトリ、ハルナちゃんとマキさん、マキさんの彼氏であるヨシナリ君は言葉が理解できている人で、それ以外のナオミチ君、ミオさん、の2人は理解できない人とだった。あのゲームはやっていたらしいが、まさかここにきて言語解読スキルの重要性が理解できたようで悔やみきれない顔をしている。たいていの異世界転移モノだと、文字の壁はともかく、言葉の壁はない事が多いからね。


すでにあのゲーム事『リアルメーカー』と、ここ『テラフォーリア』の世界概念同士が融合しており、ゲーム内にあったすべてのスキルや魔術が使用可能である事は、ここに来るまでの道中で話してある。

その中で、この2人がよりにもよって生活系や知識系のスキルをおざなりにしていた事が判明。なんと、ファンタージー色溢れていたスキルを育てていて、こういったスキルは育てる事もしていなかったらしい。

私ならすぐに解決できる問題だけど、ここは戒めも含めて体験してもらう事にしたんだ。

あのゲームのスキルは、頑張れば現実世界でも使えるようになるんだから、『戦闘関連のスキルよりも、生活に根差したスキルを重点的に育てないと』という事を、ここで実体験してもらっていたのだ。


「今からでも遅くないから、生活に根差したスキルを育てていくようにね。とは言うものの、ステータス画面を視れないから、何がどうなっているのかは解らないけど・・・・・。」


これについてもすでに全員が確認済みなので、「ああ、そういえばそうだったな」という感想しか出て着ない問題であり、別にあってもなくてもどうでもいい問題だったりする。確かに、あればとっても便利なんだけどね~~~~~。


「【習得技能付与スキルエンチャント

対象個体:ナオミチ、ミオ

対象スキル:言語解読/レベル50%・文字解読/レベル50%。」


しっかりと反省したところで、2人には必要最低限のスキルを付与する。50%あれば、ここいら周辺で現在使われている言語と文字は問題なく理解できるからね。別に、歴史学者になるわけでもなく、世界中をくまなく走破する事もないので、ここいら一体で現在使われている言語や文字が分かれば、普通の生活はしていく事ができるとの判断である。


で、改めて自己紹介をしていった結果、彼らはこの近くの町(近くといってもここからだとあと1日半ほど歩かないといけないらしい、あの湖畔にあった町だ)サクラピアスを本拠地として活動している冒険者パーティ『鮮血の雷ブラッディサンダーズ』である。

メンバーには、彼らのリーダーで熊人族である、大剣使いのガイストさん。戦斧バトルアックス使いで、ドワーフ族のリュートさん。双剣と弓使いで彼らの斥候担当である、猫人族のミュートさん。彼らの所有する馬車の御者であり、戦闘時には光・風・水系統の魔術で、彼らを支援する純人族の魔術師サムさんの計4人パーティである。


彼らは、ここから10日ほど魔境側に入った最前線の開拓村であるオークド村に、生活物資を送り届けた帰りであり、現在馬車の中にはオークド村から買い取ってきた物資で山積み状態だという話だ。

なお、彼らは全員、冒険者であり商人でもある。

商人の資格も持っているのは、ただ単純に資格がないと物の売り買いができないから。それぞれ売り買いする商品によって、取得する資格が異なっているのが商人ギルドらしい。

なお現在地であるここは、ムハマルド辺境伯領にある未開拓地、『コロラド王国ムハンマド森林魔境』と呼ばれているところで、垂直に聳え立つあの崖によって、大きく5つに別けられているそうだ。で、現在地が第1層と呼ばれており、階層数が上がるほどに、そこに棲んでいる魔物が強くなっていくという話である。まあ、所謂フィールドダンジョンみたいな構造になっているらしい。


でここで出てきた人族国家、コロラド王国についても聞いてみた。


コロラド王国は、パンゲニア大陸(テラフォーリアで一番大きな大陸)の中央あたりを東西に横たわる、総延長約5万㎞の大山脈であるピタゴラ=スガハド山脈と、パンゲニア大陸を南北に縦断するジャポニ=アススペイ山脈が横たわっている。この2つの山脈に連なる山々の標高は平均で5000~6000mで、最も高い山は2つの山脈がぶつかる場所に聳える標高10000mを超えるセント=ガイアスト大霊山である。

なお、東西南北にそれぞれ縦断、もしくは横断するこの2つの大山脈だが、当然ながらその稜線はウネウネとしており、2つの大山脈を挟むように十数にも及ぶ大小の山脈が連なる大山岳地帯を形成している。そして、この大山脈の事を、別名『テラフォーリアの背骨』とも言われているなだ。

そして、その谷筋からそれぞれの山脈を構成する山々の頂上までが、所謂魔境と呼ばれている人跡未踏の暗黒空間となっているのだ。


さて、コロラド王国の話に戻るが、コロラド王国と隣接する各国家の山岳地帯における国境は、この2つの大山脈の稜線となっている。もちろん一番最奥となる国境は、セント=ガイアスト大霊山である。


北側の平野部における国境は、ピタゴラ=スガハド山脈に連なる各山脈の谷筋を源流とした大河、トーマヘーヤ川が、河口域から中流域にかけての国境となり、河口部は幾重にも枝分かれした大三角洲地帯を形成し、それぞれの三角州ごとに小規模な国家が乱立している。なお、コロラド王国と乱立する各国家との国境は、最も南側を流れている河川であり、トーマヘーヤ川の本流というわけではない。


西側の国境は、すべて大陸を南北に縦断するジャポニ=アススペイ山脈となっており、東側は大洋・デンバーシスコ海の海岸線地帯と、海岸線から200㎞程先まで散らばっている小さな島嶼群である。


南側の国境は、ジャポニ=アススペイ山脈を中心に南へと延びているキャラファルニア半島が途中で最も細くなっている地域・デラルウエアを貫いているデラルウエア運河となっている。なお、このデラルウエア運河は、標高400m付近にあるピクシイ湖を水源とする東デラルウエア川と西デラルウエアの3つを跨いだ自然形成型の運河であり、ここを国境としている3カ国によって共同運営されている。なお、このピクシイ湖は、ジャポニ=アススペイ山脈の南端とされている。ここより先の南側は、巨大な台地形状の土地がひたすら広がっており、乾燥した大地が続いているだけの土地となる。まるでインドのように、綿花栽培が盛んであり、また茶の葉の一大生産地でもある。


で、現在私たちのいるこの場所は、ムハマルド辺境伯領にある未開拓地、『コロラド王国ムハンマド森林魔境』と呼ばれている魔境地帯だ。

ピタゴラ=スガハド山脈の奥地を源流とするは、ナルトス川の上流部分とでもいおうか。このナルスト川は、この先山脈の稜線を離れていく感じで、コロラド王国の中心部へと流れていき、フィラ=デイル大平原の中心河川となって、王都・ロンドリアの西側を通りアンドロイド海に流れ込んでいる。

ここムハマルド辺境伯領の約8割は大魔境・ムハンマド森林魔境となっており、この魔境から出るあらゆる産物が、辺境伯領の資産となってコロラド王国各地へと流れて行っている。


閑話休題。


「で、私達はこれからどうなるんですか?場合によってはここでお別れして、独自にいろいろとやっていく事になりますが・・・・・。」


この先の私たちに対する対応次第では、ガイストさんたちをこの場で殺して雲隠れもやぶさかではない私。これは、最悪状況の「町に着けば有無も言わさず奴隷落ち」の場合の対応であって、この接し方ではそれはないと思っている。


「ああ、君たちは、俺たち『鮮血の雷ブラッディサンダーズ』が保護したからな。しばらくの間は、俺たちの保護下に置かれる事になるが、生活基盤がしっかりできた段階で解放される。俺たちはこの通り冒険者だから、君たちも冒険者になってもらう事になる。その方が、手っ取り早くこの世界の身分を得る事ができるからな。」

「冒険者ですか。それについては別に構いません。その前に仰っていた『保護下に置かれて生活する』といった部分について、具体的に教えていただけませんか?だいたいの予測は付きますが・・・・。」


だいたいの予測は付くが、この部分が発揮しりしない限り、ちょっと不安である私。なお他の面々は、ガイストさんとの交渉について、初めに話しだした私に一任しているようである。


「ああ、その事か。昔からの慣習みたいなモノなんだが、君たちのような『異界からの来訪者』は、たいていの場合、こういった町の外に現れる事が多い。町の中に現れるパターンもあるみたいだが、そういった場合はとんでもない大被害が出る。

こういった場合は、その被害の元凶である『異界からの来訪者』には、一切の罰則を与えてはいけない事になっており、積極的に保護し、個々の生活になれるように支援を差し伸べないといけない事になっている。これは、『不可抗力による大災害』であり、それを起こした本人たちには何の責任もないからだ。」


確かにそうだね。この場合、本人の意思で起こしたわけでもなく、完全に不可抗力だ。何処に落ちるのか解らないし、落ちていく際に、それをコントロールする術も持っていないのだからね。


「そして、町の外では、こうして初めて出会った者が、『異界からの来訪者』を保護し、この世界での暮らしが安定するまで面倒を見ないといけない事になっている。『何処まで面倒を見るか』という問題は、双方の都合によってまちまちだが、たいていの場合はある程度の生活基盤が整うまでだな。その後については、それぞれの道があるから、誰にもその選択を邪魔する権限はない。」

「つまり、保護されている終了期限は定まっていないが、今この瞬間から異界の来訪者の保護は発動しているわけですね。で、私達は保護されている期間、ガイストさんたちの指示に従い、ガイストさんは、保護者として私たちの安全を守る義務がある。そう受け取っても構いませんか?」

「ああ、その見解で大丈夫だ。」

「そういう事でしたら、何時まで続くか解りませんが・・・・・。私達がこの世界に慣れるまでの間、よろしくお願いします。」


私はこう言って、ガイストさんたち『鮮血の雷ブラッディサンダーズ』の保護下に入る事に決めた。他の面々も、私の意見には賛同であり、右も左も解らない環境に放り出されるくらいなら、目の前の人物に保護されて、いろいろと教えを乞うた方が得策であるとの判断の下、保護される事を選択したのだった。

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