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異世界放浪記~ここは異世界テラフォーリア~  作者: ai-emu
【第2章】彷徨える森の中
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【02-06】彷徨える森で街道を発見した

古代の町の跡からさらに10日。今日は、月経歴3月21日。この暦は仮のモノなので、正確な暦が判明すればすぐさま終了するようなモノであるが・・・・・。それまでに何日経過するのかが大いに楽しみである。現在の暦上ででは、1月が29日、2月が31日。で、暦を仮に作るまでに15日経過し、3月が現在21日目なので、・・・・・この世界に来てから合計で96日目となるわけだ。

こう考えると、私達ってすごいよね。

いくら安全な寝床を何時でも作れるとはいえ、そろそろサバイバル生活を始めて100日経過するんだもん。異世界転移モノで、転移してから現地人と遭遇せずに過ごした日数では、最高記録ではなかろうか?

こんな記録でギネスに載っても仕方がないが、現在ギネス記録は絶賛更新中である。


まあ、そんな事はどうでもいいとして。


あの遺跡から数えて、さらに10日も道なき道を歩いているわけだが、未だに山小屋どころか、人が歩いた形跡すらないのはどういったわけがあるのだろうか?

あの遺跡の範囲は、川との段差が少なかったが、現在はすでに100m近く下を川が流れている。なお、川の対岸は、100mは離れており、対岸もまた100m以上の崖になっている。そして、あの大森林は、5日ほど前に抜け、現在はグランドキャニオンみたいな大渓谷を歩いているのだ。

そして現在の服装はわりかし兵端だった山歩きから、岩場や崖の上り下りに代わっているので、巫女服からバスで拝借したジャージに着替えている。


さらに、壮大な大渓谷を歩く事10日。予定日より1日遅く生理が始まる。つまり、月が替わるという事であり、この場で10日間の停滞となるわけだ。

つまり、今日から4月1日、この世界に来てから106日目の朝が来た事になる。

なお、生理になる事は事前に分かっており、さらに森を抜けた段階で岩場が続いている事もあり、事前に森の中で2ヶ月ほどの食料は確保済みである。確保するのに3日ほどかかったが・・・・。


「でもさあ・・・・・。」

「何?コトリ?」

「軽いと思っていた生理なんだけどさ。まさか魔力的な意味で、重くなるとは思わなかったわ~~~~。」

「ああ、その事ね。私だって思いもしなかったよ。ゲームの中じゃ、生理なんてなかったからね。まさか、魔力の質が変化して、魔術が思い通りに使えなくなるなんてね。これって、私達だけの個人的な現象なのか、それとも、世界で認知されている生理と魔力の相互関係?的な事なのか。どっちなんだろうね?」


やる事がないので、先日遺跡でもらってきた本を読みながら、そんなくだらない?話題に華を咲かせる私とコトリ。

崖の一角に穴を掘って、でっち上げた寝床の中で本を読んで暇つぶしをしているが、寝床の外は土砂降りの飴である。昨日この寝床を作った時は、まだきれいな星空が見えていたのに、朝起きたら土砂降りの雨だったのだ。ゴロゴロと轟音を立てながら雷も鳴り響いている事から、急激に天候が変わって嵐になったんだと思う。

どうせ生理で動けないので、外が嵐だろうが何だろうが関係はあまりないんだけどね。寝床にした場所も高台であり、少し上の崖が張り差しているので、水は入ってくる心配もなし。


「しかし、遺跡から本を持ってきて正解だったね。いい暇つぶしになる。」


元々読書も大好きな私。わけも解らない文字で書かれていた本だったが、目次らしき場所を眺めているうちに、文字が読めるようになった。さすが文字解読スキルがカンストしているだけの事はある初見の文字ですら問題なく読めるのは素晴らしい事である。おかげで、生理中でさらに外は嵐で身動き不可能な状態でも、問題なく暇つぶしができる。


「あたしも暇だから何か読みたい!でも、この文字読めないの・・・・。ヒカリちゃん、なんとかして!」


コトリも暇を持て余しており、私のように目の前にある本を読みたいらしい。しかしコトリの文字解読スキルは約3割の成長。全く読めないわけではないだろうが、すでに使われていないだろうこの文字は全く読む事は出来ないだろう。ない、普通なら3割あれば、現在使われている文字に限れば、(何処の世界にいようとも)周辺でもっと使われている文字を問題なく読み書きする事が可能である。

つまり、ここテラフォーリアにおいても、コトリはこの近辺の町に行けば、そこで使われている文字ならば読み書き可能という事になる。ちなみに言語の方は8割なので、(何処の世界にいようとも)世界中の言語を習得しているようなモノだが。


「ちょっとインチキだけど、しょうがないか。

習得技能付与スキルエンチャント

対象個体:コトリ

対象スキル:言語解読/レベルMAX・文字解読/レベルMAX。」


私は、付与魔術の中の習得技能付与スキルエンチャントというモノを使い、コトリに直接文字解読スキル〔LV.MAX〕を付与する。本来はあまりやりたくはなく、ゲームの中でもこれを行うためにちょっとしたクエストをしていたほどだ。

簡単にスキルを付与すれば、そのスキルを習得するために頑張っている人たちをバカにする行為になる。そのため、お友達フレンドであろうがなかろうが、習得クエストと同等の設定課題クエストを与え、それをクリアーした者のみスキルを付与していた。

なお、あのゲーム内であっても、この付与魔術の中の習得技能付与スキルエンチャントができたのは、特異体質持ちの中でもさらに1割ほどしかいなかったのだ。もちろん全員がフレンドなので、私が行ったクエストがそのまま採用されてしまった。


「さっきも言ったけど、本来ならばやりたくはないのだよ・・・・・これ。」

「うん、わかっている。わざわざあんな設定課題クエスト用意するくらいだもんね。ちなみにこの文字解読スキル、ゲーム無内で付与しようとしたら、どんな設定課題クエストをクリアーしないといけなかったの?」


コトリが、モノのついでにこんな事を聞いてきた。


「まあこのスキルは言語解読とセットだったけどね、・・・・・・付与する場合は。で、設定していた設定課題クエストなんだけど、ゲーム内世界の指定された場所にいる特異体質持ちを8人以上探し出して、スタンプカードにハンコを貰ってくるだけだよ。その際、そのハンコを貰う人物に対して、その人の国の言葉で、『スタンプカードにハンコください』と頼むだけだから、設定した設定課題クエストの中では簡単な部類に入るかな?」

「それだけやっても、道中でいろいろなスキルが手に入りそうだよね。」

「確かにいろいろと、目的外のスキルも手に入るね。実際、それが目当ての人たちもいてね。そういった人物は、皆のオモチャ(暇つぶし)として楽しんだよ。おもちゃにされた人も、世界中の人物とコネが作れるからね。ギブアンドテイクの関係だったな。」


懐かしい思い出である。なお、実際にこれを行っていたのは、私の専属執事であり侍女でもあった松林真琴君だ。この世界に来ていれば、今はたぶんマコトと名乗っているはず。今名乗っているだろう名前でいえば、マコトに連れられてコウタとケンジもやっていたかな?

そういえば、マコト君たちは、元気にしているだろうか?


無事に文字解読スキルをカンストさせた(ついでに言語解読スキルもカンストしている)コトリは、私の隣で適当に書架から取り出した本を読みだした。

ちなみに私が詠んでいる本は、『魔術師と〇〇の関係』というタイトルである。

魔術師の観点から見た、あらゆる自然現象や月経や妊娠などの生理現象、精神的情緒や理数系知識などの有無によっての影響等、今の私たちお疑問点とドンピシャでつついてくる内容の本で、数々の実体験や実験、聞き取り調査等による推察や実験結果などがまとめられているレポートだった。

どうでもいい事からすごくためになる事まで、実験の推察やその結果などが詳しく書かれており、これはこれで面白く読み進める事ができた。

コトリが手にしている本は、『クレコニア世紀(KNDC)3200年代の社会情勢』というタイトルである。

この本が書かれた当時の社会情勢が詳しく書かれている本で、歴史学者が手にしたら、きっと歓喜に打ち震えるだろう内容の本だ。私達にとっては、ただの歴史のお勉強(そもそもこのクレコニア世紀というのが、何時の時代の事をさしているのかも私達には不明である)でしかなく、『こんな事があったんだ~~~~。』くらいにしか感想は出てこない。

こんな本を皮切りに、書架にあった本を暇に任せて読み進めていく私たち。結局、生理期間中は何処にも出ずに引き籠り(本の虫)しておりました。

なお、寝床の外で荒ぶっている嵐は、結局私たちの生理が終わる10日後まで続いていた。すごく長く続いた嵐だけど、俺がこの世界では普通なのかどうかは、(調べればすぐにわかるとは思うが)調べていないので私達には分からない事である。


嵐も生理も終わった月経歴4月10日、この世界に来てから116日目の朝が来た。

台風一過ともいえる、澄み渡った青空の下、元気に下流へと進んでいく私たち。大渓谷の一番端っこまで来て、眼下を見下ろす。

眼下に広がっていたのは、何処までも広がる大森林で、森の中を幾重にも枝分かれしては合流を繰り返す流れる川。真横を見れば、落差200mはあろうかという巨大な瀑布・・・・そう、ナイヤガラの滝よりも広く、対岸を見る事ができないほど。・・・・・・二重の意味で。

そして、10日間続いた嵐の影響なのか、あちこちの川が氾濫しており、大きな湖みたいになっている場所もある。


地球ではありえないこの風景を見ると、本当にここは異世界だと改めて感じてしまう。


感傷に浸るのはこのくらいにしておいて、まずは眼下の景色から今後の予定を立てていく。


「まずは目測で、100㎞くらい先にあるあの大きな湖のほとり。そのほとりの一角にあるのが、町になるのかな?」

「・・・・・たぶんそうだと思うよ、ヒカリちゃん。あの湖にほとりの町を起点にして、放射状に小さな集落が散見できるよね。」

「という事は、集落同士を結ぶ街道が、あの森の中に敷かれているという事だね。


私が発見した、湖のほとりにある大きな集落。

たぶん、この辺り一帯の中心的な町なんだとは思うけど、ここからでは遠すぎて全体像がぼんやりとした確認で見ない。距離にしても目測だし、そもそも100m以上の高低差があるので、はっきりとした距離感がつかめないので、実際はもっと距離なないかもしれないし、あるかもしれないのだ。

それにしても・・・・・・。

この世界に来てから、なんだか視力がよくなったような気がする。コトリに確認しても、「そういえばそうだね」という返事が返ってくるあたり、コトリもあまり気にしていなかった模様。たぶん、視力関連のスキルの何かが、視力の回復に貢献?してるんだと思うが・・・・・。


ふと、眼下にある滝壺という名の、巨大な湖に目をやる。そこだけ川の氾濫の影響のない場所があり、その場所に小さな集落らしきものがある。まあ、この巨大瀑布の影響がないようなので、この瀑布からは50㎞前後は離れているは感じだが・・・・。


「コトリ・・・・・。」

「なに?ヒカリちゃん?」

「眼下にある、湖といった方がいい滝壺なんだけどね。」


私の言葉をうけて、眼下に視線を移すコトリ。そこで、私と同じ物を発見したようだ。


「・・・・・なんか、集落っぽい何かがあるね、・・・・あそこ。」

「コトリも見つけた?取り合えず、あそこに行こうか。ここから、1番近い事だし。」


とりあえず、瀑布に一番近い集落を、第一目標に定めるが・・・・・・。


「問題は、あそこまでどうやっていくかだよね?」

「そうだよね・・・・・。まあ、無難に10㎞以上離れた場所に転移した後、トコトコと歩いていくのがいいかな?見た感じ、あの集落を起点に、3方向に街道が伸びているからね。」

「あっ、本当だ!街道が3本伸びている。たぶんそのうちの1本は、その先にあるあの大きな町へと続いているとして、残りの2本は何処に続いているのかな?」

「何処に続いているのかは知らないけど、この崖沿いの下を沿うように敷かれている感じだよね?」


そして、崖の下を沿うように走っている街道の近くに一気に転移した私たち。ちなみに、私とコトリ、そしてハクトとコクトも一緒である。

街道の近くに生えた一本の大木近くにまずは転移。誰もいない事を確認して、少し獣道っぽい場所を通って街道にである。

そこから街道をのんびりと歩いていくと、突然騒がしい何かが湖の方から聞こえてくる。騒音の感じから察するに、十数秒後にこの先100m付近の藪から何かだ出てきそうだ。


「コトリ、ちょっと気を付けてね。十数秒後にこの先100m付近から何かが出てくるから。」

「戦闘準備、しておく?」

「そうだね。しておいた方が無難だと・・・・・。」


と話しているうちに、予測通りの場所から、5人の男女が走りながら出てくる。その後ろからは、5mほどの体格の赤毛の熊が現れた。それも5頭。


「助けようか、コトリ。私達なら一瞬だから。」

「そうだね、ヒカリちゃん。じゃあ、あたしが突貫してくるから、ヒカリちゃんはコクトのとこお願いね。」


そういうや否や、コトリは最速で熊と5人の男女に間に割り込むと、【アイテムボックス】から瞬時に取り出した剣で、5頭の熊を瞬殺してしまった。

私の出番、・・・・・無かったね。

まあ、熊の5頭や6頭くらい、コトリならば瞬殺だろうけどね。

私は、そんな事を考えながら、夕日で赤く染まる街道を5人の元まで歩いていくのだった。

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