【02-02】ヒカリとコトリの異世界転移日誌(その1)
ウサギさんを利用して、戦闘訓練・・・・という名の手加減訓練を行いながら、森の中を彷徨う歩く私とコトリ。すでに私もコトリも、生理自体は終了しており体調も万全である。ちなみに2人の生理は軽い方で、生理中でも普通に動き回る事は出来る。
しかし、生理中はとある理由でたまたま整理になった場所から動く事ができなくなっていた。
その理由とは、『生理中は魔力の質が変化し、うまく魔力を放出する事ができなくなる。その結果、魔術の使用に制限がかかる』というものだ。ゲームではこんな事はなく(そもそも生理自体無かったが)、この世界独特のルールみたいなモノなのかな?後、気のせいかもしれないけど、月の満ち引きでも、魔力の質が変化しているような気もする。生理中よりかはひどくはないが、この辺りは検証課題の最優先項目に設定しないといけない。魔術師としては、そういった魔力に関する事は知っておくべき事なのだから。
コトリの生理が終わり、さらに森の中を当てもなく歩く事10日。
この世界に来てからだと・・・・・・・。
あれ?何日経過したっけ?記憶を遡るが、うまく思う出せないなあ・・・・・。
そういえば、この世界に来てから5日目くらいで、・・・・・と、私は少しこの世界に来てから今までの事を思い出していく。
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【異世界転移1日目】
スキー研修に行く途中、関越トンネル内で起こった『次元の歪み』に巻き込まれて虚無にある世界にバスごと転移してしまう。この時、たまたま隣の席に座っていたヒカリ(本名:今宮光莉)とコトリ(本名:天璋院寿李)は、虚無の世界に存在する惑星テラフォーリアの大地に生えている大木の1つにある、遥か高みにある枝の上に不時着する事になる。
なお、2人以外この段階では、クラスメイトを含め、次元の歪みに巻き込まれた者全員の生死は不明であった。その後、様々な状況証拠?を積み重ねて、『異世界転移』の内、『何かに巻き込まれて転移した』という結論に至る。
なお、謎果物『神々の至高の果物』を初日で発見できたため、食糧問題の9割をクリアーできた。
その後、自分たちが何ができて、何ができないのかを確認する事にし、現状でもできそうな魔術をと英会えず放ってみる。結果、魔術自体の発動は成功したが、威力の下限という新たな問題ができる。
夜寝る前に私は、【空間創作時空収納空間】という魔術を使って時空収納空間と呼ばれる、空間収納系の魔術空間を創り出す事に成功した。
【異世界転移2日目】
各々の保有する魔力属性や戦闘能力、生活能力を確認しがてら、最初に不時着?した大木を拠点に生活を始める。1日である程度できる事・できない事の把握を済ませた後、その日の最後にコトリに対し、【魔法付与術】というスキルの中にある『魔導書作製』を使用して、直接コトリの体内に時空収納空間を刻み込む。
その後5日間、最初に不時着?した大木を拠点に森の中を彷徨って、いろいろとやっていた。
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【異世界転移8日目】
拠点にしていた大木を乙にして、森の中を水辺を目指して歩きだす。登山だったら山の稜線を目指すところだが、今回は食糧問題もあるし、戦闘訓練もしていかないといけないので、谷間に向かってある事にした。
なお、現在地は森の中。地面が苔むしているため、それなりに湿度は高く、夜になると結構冷え込む寒暖の差が激しいため、冬仕様のセーラー服はありがたかったり、そうでなかったりする装備となる。
昼間は常夏一歩手前の気温になるため、アンダーとして着ているハイネックタイプの黒いインナーは脱いでいるが、冬仕様のセーラー服は、スカートの下の黒色の防寒タイツも踏む目て脱ぐ事ができない。森の中なので、なるべく地肌を見せて歩きたくないから。
ちなみに、現在の私とコトリの服装は、鷺宮学園指定の女子制服であるセーラー服のセット一式、冬バージョン。
セーラー服は、全体が白色の生地で、黒色のセーラー襟とカフス。両方とも3本の白線入り。スカーフの色は、2年生の学年色である赤色。セーラー服の下は、学校指定のハイネックタイプの黒いインナー。
これに膝丈サイズの冬用スカートを履き、黒色の防寒タイツを履き、歩きやすい踵の低い黒革のローファーを履く。踵の高いタイプの靴で森を彷徨い歩けば、きっと大変な事になっていたので、踵が低い靴なのは幸いしている。
ちなみに、数少ないセーラー服のポッケに突っ込んであった小物類は、初日に行った紐なしバンジーの結果、何処かに散乱して発見できずじまいだ。そのためすでに、それらが何処にあるのかも、探す事自体放棄していたりする。
これ1着しかないため、着た切り雀状態だ。そういえばお風呂も入っていない。
その日の夜、拠点作製と際にお風呂も作って入ったのは言うあでもない。
【異世界転移9日目】
森の中を彷徨い歩くと、巨大なウサギさんの群れを発見。巨大生物との戦闘訓練を積むため、突貫をかける事にした。初めから群れに突撃る事はせず、1匹だけの状態で戦闘を行ったが、手加減をする程度がうまくいかずに半日ほどの長時間戦闘になってしまった。
その後、5日間かけて手加減できるようになる。
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【異世界転移15日目】
私の生理がやってきて、魔力の質が不安定になる。そのため魔術の行使が困難になったため、仕方なくいつものように大木の中に作った拠点で、私の生理が終了するまで暮らす事にする。体調不良?の中、無理して移動する必要はないのだ。だって、安全はある程度確保できているのだから。
なお、私の生理が始まってから3日後に、コトリも整理が始まってしまう。私と同様に無理する必要はないとの判断で、その場に10日間暮らす事になった。
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【異世界転移26日目】
コトリの生理も無事終了し、森の探検を再開する。道中にである動物は、可能な限り戦闘訓練と手加減訓練と称して突貫し、これを殲滅していく。
そういう事をしながら、のんびりと森を彷徨い歩く事10日。・・・・・・・現在に至る。
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という事は、今日はこの世界に来て36日目という事になる。結構長い時間森の中にいたんだな~~~と、変に感慨深い気持ちがこみあげたが、逆に言えば、36日間も、人里離れた何処かの秘境で、文明の『ぶ』の字も感じないほどのサバイバル生活を満喫していた事になる。
人間、やろうと思えば、なんだってできるんだと、変な事を考えてしまったほどだ。
そしてもう、地球の暦で1ヶ月以上経過したわけだが・・・・・。
この世界の暦では、・・・・・・、1ヶ月経っているのか経っていないのか、そこらへんはどうなっているのかは解らない。
1日が何時間なのかも、全く理解できていないのだから。
毎日の始まりは、日の出とともにスタートし、毎日の終わりは、日没ととともに終わる。
そんな生活が、現状の私たちの生活サイクルなので、今日が何月何日という事は、現状あまり関係のない事だったりする。もちろん、現在時刻が何時何分なのかも、今の生活サイクルでは必要ない事である。
こんな事は、何処かの人里に行けば、放っておいても判明する事なので、いちいち暦を確認するための行動は起こさない事にしているのだ。日に日に現在地が変動する今の生活において、暦を正確に割り出す事は困難なのだ。それをしたかったら、最低でも数年間、同じ場所にとどまって、何かを起点にして観測しないといけないのだ。
「ヒカリちゃん?何考えてたの?」
ルーチンワークのように、今しがた戦闘を終えた縞馬に様な体毛を持つ5mほどの熊を【アイテムボックス】の中に放り込んでいた私に、コトリが不思議そうな顔をしながらこう聞いてくる。
「いやね、今日で、この世界に来てから何日経ったのかな~~~~って、そんな事を考えてたのよ。」
「そう?それで、何日経過してた?あたしは数えてなかったから、そのあたり事とは無頓着なんだよね。」
「今日で36日目だよ。という事は、セーラー服のまま着た切り雀になったのも36日目という事になるね。毎自治洗濯はしているけど、いい加減他の服を着たいよね。」
「もうそんなに経ったんだ。・・・・・・。」
「そう、もうそんなに経っているんだよ。まあ、毎日日記を書くわけじゃないけど、数十日間隔で、こうやって思い出しては、記憶の片隅にでも記録していくつもりで入るよ。何処かの人里に着いたら、筆記用具を購入して日記を書き始めるかもしれないけどね。」
「そういえばヒカリちゃんって、毎日日記付けてたね・・・・・地球では。でもあの日記はそごかったな~~~~~。だって、毎日そこに書かれている文字が違っていたからね。」
「コトリだってそうだったじゃん。例のゲームの影響で、地球上の文字は、すべて問題なく使用できたからね。すでに廃れてしまった古代文字さえも。それらを使って、毎日日替わりで違う文字を使って日記を書くって、結構楽しかったんだよ?」
そんな事を話しながら、戦闘した場所を立ち去っていく。
戦闘した場所は、たくさん血が流れている。そんな場所に長く滞留していたら、余計な戦闘を行う可能性が高くなる。いくら、戦闘訓練と手加減訓練を行っているとはいえ、こちらの準備もなく戦闘を行うのは避けたいのだ。
実際は血抜きを行い、ある程度解体してからこの場を立ち去るため、その所管内にtの匂いにつられてきたオオカミとかと戦闘する時はあるんだけどね。
でも、オオカミとかイノシシとかは、今の私とコトリでは、解体の傍らに殲滅できてしまうほどに弱い生き物でしかない。また、今では手加減も十分できているため、針の穴を通すほどの正確さで、一撃で止めを刺す事も可能だ。もちろんそうなった場合は、血など一滴も出さずに討伐できる。
そうして、どんどん森の中を突き進み、夕方前に小さな水の流れを発見する。
その小さな流れを遡っていけば、その流れは洞窟の中へつ続いており、1㎞ほど入ったところで小さな湧水となっていた。とても神秘的な空間であり、とても清浄で、何もかもが洗われていくような雰囲気を漂わせている。・・・・・そんな空間だった。
そしてどうもここが、なんというか知らないが、川の源流の1つであるみたいだ。
そして、この場所がさらに神秘的に見えたのは、その湧水を取り囲むように、何かの木の根が絡みついていたからだ。
まるで、空飛ぶ巨木に護られた朽ち果てた城の中心にある、あの巨大な水晶の様に・・・・・。
「ここに神様がいても、全然不思議に思わないよ・・・・・あたし。」
「・・・・・・そうだね。というか、ぜったここって、神域みたいなモノの1つだと思うよ?」
あまりの神秘的な光景に、神様の1柱や2柱、目の前に現れたとしても、これっぽちも不思議には思わないだろう。
『神域』という単語が、頭によぎる細に神秘的で、なんだか素いった霊的な気配すらも漂っている。そんな空間なのだ・・・・・・ここは。
本当に、この絡みついている根っこが、神樹だとか、世界樹だとか、そういった者だったといっても、何の疑問も感じる事無く受け入れてしまう。
そんな神秘的な空間に、私とコトリは、・・・・・・・・・今いるのだ。
そうしているうちに、何かに呼ばれているかのように、その湧水に絡みついている根っこの元へと、知らずに歩きだす私とコトリ。そして、湧水が溜まっている水溜りの中に入っていく。
セーラー服を着たままの状態で腰まで水に浸かり、そのまま根っこのある中心部までを歩いていく。不思議な事に、腰まで水に浸かった後は、平坦な道が続いているのだ。
そして、根っこのある場所まで歩き・・・・・・・・。
根っこに片手を差し出し、隙間に腕を差し入れる。
すると、私とコトリは、どこか別空間に・・・・・・・。
それぞれの、意識を持っていかれる感覚に陥ったのだった。