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異世界放浪記~ここは異世界テラフォーリア~  作者: ai-emu
【第9章】カエデテラスへ向かいます
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【09-05】カエデテラス観光の予定が・・・・・・

カエデテラスには、実は何度も来た事がある。

まあ、来た事があるといっても、それは聖女様としての用事なので、すべて神殿内で完結している。そのため、町自体歩いて観光した事は、今まで一度もないのだが。

今回は冒険者として来訪しているので、目の前に聳える神殿い行く前に、町の観光へと繰り出す我々『ご主人様とメイドさん』一行である。


「まずは・・・・・・なにしようか?」

「・・・・そうだね。せっかくゴンドラもあるんだから、運河観光と洒落こもうか。」


コトリの問いかけに、こう答えを出す私。目の前に船着き場もあり、ゴンドラも停まっているのだ。


「観光するのはいいんだけど、この服装のままだと目立つよね?」


というわけで、適当な裏路地に入り込んで、何処にでもいる町娘風のワンピースへと着替える女性陣。1人だけいる男子事ナオミチ君も、もちろん何処にでもいる服装に着替えている。

そんな恰好で私・コトリ・ぺニア・ハルナ・ミオ・ナオミチ君の6人でゴンドラに載って運河観光を始める。なお、シスターアサミ(私の侍女兼修道女)、シスターアカネ(コトリの侍女兼修道女)、シスターミサキ(ハルナの侍女兼修道女)、シスターハルカ(ぺニアの侍女兼修道女)、シスターノリカ(ナオミチ君の侍女兼修道女)、シスターヨウコ(ミオ付きの侍女兼修道女)の6人は、もともと(旅用の動きやすい)修道服だったので、そのままカエデテラス大聖堂に先触れとして話を通してもらいに行っている。

つまり、今晩から数日間の、(カエデテラスにおける)宿の確保をお願いしたのだ。

元々、街中の宿を確保して泊まろうという考えはなく、ムハマルド辺境伯領にある大きな町ならば、神殿があればそこに泊まる事にしておいたのだ。神殿がなければ、宿の確保に走っているんだけどね。

だって、どうせ、明日の早朝に神殿に赴いて、朝の神事をやらないといけないのだ。というか、2日後、つまり明日の午後から、月初の大祭が控えているのだ。

今回はたまたまカエデテラスにいるので、ここの神殿で月初の大祭に参加する事が、聖女としてのお仕事になる。


そんな聖女様のお仕事は、今は考えたくないので、わざわざ町娘に変装?したのだ。

1日くらいは、羽根を伸ばして遊びたいのだよ。


冒険者ギルドの前を発着点として、ゴンドラは私たち6人を乗せて、網の目のように張り巡らされている運河をゆっくりと進んでいく。

晴れ渡った青空の下、いつもとは違う景色を楽しんでいると、ゴンドリエーレ(船頭)が、話しかけてくる。まあ、観光用なので当たり前なのだが、その内容が当たり前の観光用ではないのだ。


「本日は、ようこそ水の都カエデテラスヘ、聖女御一行様。まさか、北門からご入城してくるとは、我々は思ってもおりませんでした。」


岸から離れて、周囲になにもなくなったところで、ゴンドリエーレからこんな挨拶が来た。ビックリして顔を見れば、そこでオールを漕いでいたのは、年末年始に辺境伯様の護衛をしていた騎士団の団長様ではありなせんか。


「お久しぶりですね。え~~~と、ムハマルド辺境伯領の騎士団団長のマルコフ=ポーロン様でしたか。また、多才な芸をお持ちで。」

「いえいえ、この町はこんな町割りをしているゆえ、騎士の技能の1つとして、ゴンドラの漕船は必修技能の1つですので。ちなみに、観光ゴンドラのゴンドリエーレは、全員騎士団の者が務めております。市内巡回任務を兼ねていますがね。」


そんな裏事情まで挟みながら、軽く挨拶を交わす私たち。


「ところで、私たちに何か御用がありそうですね、そろそろ、本題に移ってはいかがでしょうか?用がなければ、わざわざ騎士団長様が、私たちの乗るゴンドラを漕船する必要はないと思うのですが?」

「そうですね。そろそろ本題に移りましょうか。そうだ。お帰りは、広場の船着き場ではなく、神殿がある島の船着き場でよろしいでしょうか?」

「ええ、それでお願いします。別に裏口からこっそりでも構わないのですが、城門からカエデテラスヘ入城したのは今回が初めてですからね。先触れはすでに出しているので、表の正門から入った方が良さそうです。」


私は、たまたま近くを通っていた神殿を横目に見ながら、そう騎士団長様に答えていく。

神殿の正門付近では、なにやら複数の神官が慌ただしく動き回っているのが確認できた。あまり仰々しく歓待は受けたくないのだが、何事も一番最初はこんな感じなんだろうか?

これから先も、こんな感じに歓待を受けるのなら、先触れは控えた方がよさそうだ。


「あの調子だと、裏口から入ったら顰蹙を買いそうですね。それよりも、その服装であそこを通るおつもりで?」


神殿前の様子を見ながら、苦笑して返す騎士団長様。


「ああ、それもありますね。まあ、その問題自体はどうとでもなるんですが、そこら辺が騎士団長様がこきにいる理由の1つなんでしょうね。」

「そうなりますね。そこで提案なんですが、このまま観光しながらお城に向かってもよろしいですか?城内のの1室をお貸し致しますので、聖衣への着替えはそこいで行えばいいでしょう。どうせ夕刻の礼拝に辺境伯一家が神殿に向かいますので、ご一緒してはいかがでしょうか?」

「そこまで提案ああると言う事は、私共が町の城門を通過した際に、そのような予定が組まれたと、解釈してもよろしいのでしょうか?」

「はい。この予定は、神殿側も了承を取ってあります。」


と言うことで、ゆっくりと船旅を楽しみながら、水の都・カエデテラスを観光をする。

2時間ほどの船上観光を終え到着した場所は、カエデテラス城へと続く正門前の船着き場。そこには真っ赤な絨毯が正門の先まで伸びており、たくさんに騎士さんが絨毯の左右に等間隔で並んでいる。


「あのう・・・・・・、ここまでの歓待は望んでいませんのですが。私たちって、正式な訪問ではないですよね?そもそも私たちって、聖衣ではなく何処にでもいる町娘の恰好ですよ?」


こうなる事は半分解っていたが、少しばかり抵抗してみる私。


「どんな格好をしていても、聖女様は聖女様です。それにここ、ムハマルド辺境伯領領都・カエデテラスへと、理由の如何はともかく正式に城門から入られたのですよ。聖女様の気持ちも理解できていますが、一度はしっかりと歓待しておかないと、我々が他の貴族から顰蹙を買ってしまいます。」


そんな事を言いながら、私たちの乗るゴンドラに近づいてくる辺境伯御一家。そして、超自然にゴンドラに片足を乗せて固定し、私たち女性陣(聖女様御一行)をエスコートして下船させていく。

ここはお言葉に甘えて、歓待を受けるとしようか。貴族の柵もあるし、聖女としての柵もあるからね。


「では、まずはこちらへお越しください。威厳を示すためには、この建物でお着替えをなされた方が得策と考えます。」


侍女さんたち一行が、私たちを案内してくれたのは、船着き場に隣接する騎士団の詰め所だ。よくよく船着場から続く階段の先を見てみれば、真っ赤な絨毯を挟んで黒山の人だかりができている。

この辺り一帯は貴族街なので一般人はいない。一般人はたぶん、神殿の方に集まっているはずだ。つまり、一体で暮らす貴族連中の家族がほぼすべて、この場に集まっているという事だろう。


「では、お言葉に甘えて。」


私たちは、侍女さんたちと一緒に詰所の中へと入って行く。

詰所の奥にある会議室のような大部屋に、急遽作られたドレッサールーム。ちなみに、我らが旦那様事ナオミチ君もこの部屋に入ってきた。もうすべてを見られている中だし、毎日交じりあっているので今さら裸の1つや2つ見られたところで、変な感情は湧いてこない仲である。


「ヒカリ様、コトリ様、ハルナ様、ぺニア様、お待ちしておりました。ナオミチ様とミオ様は、こあちらの席へ。ヒカリ様たち聖女様方は、こちらの席へ。」


部屋に入った途端、私たちの専属侍女であり修道女でもある、シスターアサミ(私の侍女兼修道女)、シスターアカネ(コトリの侍女兼修道女)、シスターミサキ(ハルナの侍女兼修道女)、シスターハルカ(ぺニアの侍女兼修道女)、シスターノリカ(ナオミチ君の侍女兼修道女)、シスターヨウコ(ミオ付きの侍女兼修道女)の6人が、横1列に並んで綺麗なお辞儀をして、ナオミチ君とミオを部屋の片隅へと連れだしていく。それぞれの侍女であるシスターノリカとシスターヨウコ、そして、ここまで私たちを案内してくれていた侍女数人とともに。

ちなみに普段は私やコトリの事をちゃん付けで呼んでいるシスターアサミたちも、よそ行きの言葉で話している。場所が場所だし、双方の立場もあるので、様付け自体は問題はないのだが、余所余所しく感じてしまうのは、普段が普段だからかな。

まあ、いいや。

いつもの事だしね。


さて、私たち4人は、聖女様用の豪華な盛り装タイプの修道服に着替え、軽く化粧を施して髪型を整える。ここまで来るまでにしていた髪型ではなく、聖女様として活動するために決めた髪型の整え、皆が準備が整った事を確認して部屋を出る。

神殿において、不特定多数の前で何らかの神事ないし祭祀を行う。もしくは、正式な手順に則って、領主様や国王様から招待されているのなら、豪華な盛り装タイプの修道服を着用しないといけない。もちろん髪型も、この盛り装修道服に合わせた絢爛豪華なモノにグレードアップする。

今回の場合は、私たち自身が半分お忍びのような感じで、バレるバレないは別問題としてカエデテラスに入城した。結局領主様にバレてしまい、正式な手順ではないけどご招待を受けてしまう結果になった。

別に、正式なご招待ではないので、サクラピアスなどで普段着として着用している聖女様用の簡易修道服(白色と空色を基本色としている)でも構わないとは思うのだが、領主様に威厳を尊重(船着場からお城の正門までの様子も鑑みた)した結果、豪華な盛り装タイプの修道服で招待される事にしたのだ。


他の領地での話ならば、普段着用の修道服で行くとは思うが、ここムハマルド辺境伯領は、私が本拠地ホームと決めたサクラピアスを有する辺境伯領である。

私自身の本拠地ホームを修める領主様には、それ相応の対応をしないとお互いにまずい事になりそうだしね。


さて、今現在私たち聖女様御一行が着用しているこの盛り装修道服は、とても長いトレーン(レース柄があしらわれた引き裾)が付いている。そのトレーンをズルズルと引きずっていくので、この会議室まで真っ赤な絨毯が地面に敷かれていく。

そして、トレーンを持つかわゆい女の子(だいたい5~10歳くらい)が急遽、外にいる貴族令嬢から選ばれ、聖女1人につき4人ずつ付く事になったのだ。


横1列に並んだ、真新しい信徒用の真っ白な修道服(出家しているわけではないので、例え貴族の令嬢でも今回の服装は、バティスティア聖教内における最低限の身分が着用する修道服になる)を着用した16人の女の子たち。その中から代表者の1人が数歩前に出て、ぎこちない淑女の挨拶カーテシーをしてから挨拶を始めた。


「代表して、白の聖女様のトレーンを持たせていただくわたくしポインセチア家の第3令嬢・セリカ=メア=ポインセチアが挨拶をいたします。

ここにいる者たちは、本日聖女様のトレーンを持つ大役を任された者たちです。」


1人1人の名前の紹介は省くが、皆セリカ=メア=ポインセチア様の紹介の後に、ぎこちない淑女の挨拶カーテシーをして、名前のみを名乗っていく。それを、盛り装修道服のまま椅子に座って聞いていく私たち聖女組。

なお、私たちの座っている椅子は、背もたれのない丸椅子だ。

椅子自体は、修道服のスカートの中に入れられている状態で、トレーンを含めたスカートの裾が、大きく花開く感じで椅子に座っている私たちの周囲を覆っている。


「それでは、時間も押している事ですし。早速ですが、このままお城まで向かいましょう。」

「かしこまりました。聖女様。」


私がそういうと、聖女様4人以外からこう淑女の挨拶カーテシーをしながら言葉が返ってくる。ちなみにナオミチ君は、左手を胸にあてた騎士の礼である。


その後私たち4人が立ち上がると、その座に配置に付く少女たち。


「少し失礼します。」


そう断りを入れて、立ち上がった私たちの足元から椅子をすばやく取り去る、シスターアサミを含めた侍女御一行。その際、スカートの裾を捲りあげるのは、当たり前の事なのでどうでもいい事である。

ゆっくりと真っ赤な絨毯が敷かれた廊下を歩き、1列縦隊となって詰所を出る。聖女様用の豪華な盛り装タイプの修道服は、実は結構重たいのだ。装飾品も合わせれば、10~15㎏くらいはあると思う。トレーンを持ってもらっているので、多少の重量は軽減できているが。


「白の聖女様であらせられるヒカリ様、黒の聖女様であらせられるコトリ様、太陽神の聖女様であらせられるぺニア様。そして、オークドカレッジの聖女様であり、治癒神様の寵姫であらせられるハルナ様。おな~~~~~り~~~~~。」


何処か彼聞こえてくる向上とともに、私たちはお城まで続く真っ赤な絨毯の上を、ゆっくりと歩いていくのだった。なお絨毯の左右には、お城に入れない各貴族の家族が、順序良く並んで私たちの通過を見ているのだった。

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