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異世界放浪記~ここは異世界テラフォーリア~  作者: ai-emu
【第6章】国境の町へ向けて
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【06-06】嵐の前の静けさ?

指名依頼をすべて終えた私たちは、その足で『氷の女王アルサの息吹』へと向かう。

実は、温泉が開通した際、一番風呂に入る権利を貰ったのだ。つまり、私たち8人が温泉に入らないと、せっかく敷いた温泉を使用する事ができないのだ。

・・・・・・・町中が。

なので、速く皆にも使ってもらうため、何をするにも早く温泉に浸かる事にした私たち『ご主人様とメイドさん』一行である。


”かぽ~~~~ん”


「ああ~~~~、極楽、極楽・・・・・。」

「ほんとにね~~~~。仕事上がりの温泉は、格別ですな~~~ヒカリちゃんよう~~~~。」

「何、老人臭いこと言っているんだい?・・・・・コトリちゃん?」


まずは、体をきれいにしてから露天風呂へ、”れっつ・あ・ご~~~~~”する私たち。

雪景色を堪能しながらの温泉は、とっても素晴らしいですね。くぴくぴと雪見酒をしゃれ込むのもいいのだが、ちょっと湯の温度が熱いので、ここは我慢するところですね。

湯屋蹴るまで入るのが、温泉の正式な規則?です。

のんびりと、出たり入ったりを繰り返して、体の芯まで温まります。

ちなみにここメニューザイに出た温泉は、弱アルカリ性炭酸水素塩泉・・・・・所謂美人の湯と呼ばれている温泉で、乳白色をしている。ちなみにサクラピアスの温泉は、同じ弱アルカリ性炭酸水素塩泉だが無色透明である。

そんな温泉に1時間ほど浸かって外に出る私達女性陣。ちなみに男性陣も、同じくらい温泉に浸かっていた。


どうも私たちは、全員が所謂『カラスの行水』ではなく、『お猿の長湯』らしい。


温泉を堪能した後は、普段着と化しているメイド服ではなく、世間一般のワンピースに着替える。いつもお風呂あがりはワンピースなので、そんなに珍しい服装ではないのだ・・・・私たちにとっては。

お風呂上がりの食堂にて、お酒を交えた夕食を頂く。

「温泉の後はビールだ!」と言わんがばかりに、全員の手にはビールが並々入ったグラスが握られている。

ちなみにこの世界の成人は、何を隠そう15歳(純人族基準であり、他の種族はそれぞれ異なっている)である。15歳まではお酒は控えましょうとは言われているものの、実際には各家庭環境によって10歳以下からでも飲んだくれは存在している。


なお、タバコに関しては一切市場で見た事もないし、それとなく聞いても存在すらしていないようだ。

よくよく調べてみると、タバコの葉っぱ自体は存在しているようだが、産地が魔境の最奥とか、ダンジョンにあっても深い階層にしか生育していないため、そもそも庶民が購入できる値段ではないのだ。

また、そんな場所に生育しているため、たっぷりと魔素を含んでいるため、魔力の少ない者にとっては毒以外何でもない代物である。つまり、お金持ちでも、余程保有魔力がたっぷりとある者以外は、吸う事すら憚られる品物がタバコなのだ。


閑話休題。


「とりあえずのお仕事が終了した事を祝って、かんぱ~~~~い!」

「かんぱ~~~~い!」


ゴクゴクとビールを飲んで、出された料理に舌鼓を打つ私たち。

実は、お酒を飲んでいるのには訳がある。これは、私とコトリ、ハルナ、ミオ、ぺニアの5人で仕組んだ事で、全然手を出してこない我らがご主人様事ナオミチに、酒の力を借りてでも襲ってもらいたいのだ。そのため、昨日の時点ではヨシナリとマキ(バカップル2人)以外は別々の部屋を取っていたが、今日からは私たち6人は同じ部屋になるように仕組んで(事前準備をして)ある。

ナオミチは知らない事だが・・・・・。

5人全員がナオミチ君の事を意識しているのに、ナオミチ自体はゆっくりと攻略しているためとってもじれったくてヘタレ感が倍増しているのだ。なので、ここはお酒の力を借りて、一気に既成事実を作ってしまおうという話になったのだ。

結婚アレの用意もバッチリしていますよ?・・・・・もちろん!


ほろ酔い状態で部屋へと戻り、何の問題もなく”6人で”一緒のベッドに入る私たち。

そうして、大人の階段を昇り始めた私たちなのであった。


~ナオミチ視線~


「ん~~~~~~。」


朝の倦怠感と抱えながら起き俺。何やら両手に伝わる柔らかい感触。


ムニムニ・・・・・。


右手と左手に伝わる感触が多少異なるが、何故かいつまでも揉んでいたい手触り感がある。


「ん、ん~~~。」


両サイドから、女の子のうめき声が聞こえ、生理現象を起こしている息子に伝わる絞めつけられた感じ・・・・・。


ん?女の子の声?


それを意識した瞬間、微睡んでいた意識が瞬間的に覚醒する。しかし、跳び起きようとしても、何やら体にのしかかっている重みで、起き上がる事もできない。

しかたがないので、唯一動く両手を何かを掴んだ状態でモミモミしながら、首から上を左右に動かす。

右を見てみれば、俺の右腕を腕枕にして、すやすやと眠るヒカリちゃん。ちなみにヒカリちゃんは、俺に抱き着いて眠っている。ヒカリちゃんの向こうにはミオちゃんの頭が見え、俺の右手の動きに合わせて呻き声を上げている。左腕も同様で、こちらには、俺に抱き着いて眠っているコトリちゃんと、左手の動きに合わせて呻き声を上げているぺニアちゃん。そして、頭しか見えないが、俺に被さるように眠っているのは、ハルナちゃんだ。ハルナちゃんは、息子の生理現象に合わせて、何やら体をビクビクさせて眠っている。

皆、幸せそうな寝顔で眠っているのを見て、何が起こったのかを悟る俺。


たぶん・・・・・・・。


というか、絶対と言いきれる!


俺(たぶんヒカリちゃんたちにも言えるが)は酒の力を借りて、俺は暴れるオオカミさんになってみんなを襲ったのだろう。6人が同じ部屋(昨日の晩は1人ずつだったはず)で寝ている事を鑑みても、この状況は仕組まれたんだろう。

・・・・・・ヒカリちゃんたちに。

これはあれか?

覚悟を決めないといけないという事か?

そんな事を考えていると、5人の女の子が順に置きだし、朝の挨拶と何故かあま~~~いキスを要求された。そして、第2ラウンドが幕を開けたのだった。


「おはよう~~~~。」


清々しい朝を迎えました。

先ほど窓を開けたら、外はドカ雪が降っております。昨日は晴れていたのにね。この感じだと、何もなければこのまま宿の中に引きこもり決定かな?ああ、冒険者ギルドにだけは行かないといけないのか。


まあ、いいや。


一発やり終えた清々しい顔つきの俺と、ツヤツヤだけど、全身真っ赤な顔をしている5人の女の子。それを見て、ニヤニヤしているヨシナリとマキ(バカップル2人)を見ていると、なんだが無性に腹が立ってくる自分がいる。

ちなみに結婚を前提に、あと2晩5人とラウンドをこなさないといけないが、かわいい奥様が5人もできるので頑張ってみようと思っている。


閑話休題。


朝食後、冒険者ギルドメニューザイ・コロラド支部へと向かう。ここで、前半部分の成功報酬と、今日受けた指名依頼の報酬を貰う。

温泉掘削の方は私は参加していないので、私以外の7人にそのまま渡し、あとで等分に分配しておいてもらう。街中の導水管設置は、私だけが行っていた依頼なので、そのまま全額私の懐に入る。街道筋の除雪魔導具ゴーレムちゃん設置作業については、9等分(パーティの活動資金として1人分プラスして等分している。なお、個人的に(依頼を受けて)貰った成功報酬については、1割をパーティ資金に徴収し、残り9割は各個人の懐へという事になっている。

なお、【アイテムボックス】があるので必要はないのだが、あるととても便利なためギルドカードに銀行機能を付けて、もらった報酬の7割くらいを底に入金してある。多少の現金は、持っていないと不便だしね。

なお、全員が銀行におカネを預けているが、どれくらいの割合で預けてあるのかは、各個人のプライバシーにかかわる事なので知らない。


成功報酬を貰った後、ここで出されている依頼を流し読みするためいいボードを覗いてみる。受ける受けないは、面白そうな依頼が合った場合に考える事にする。


◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇

【依頼番号】F10ー0001

【依頼名】屋根の雪下ろし作業

【依頼の種類】冬期常設依頼

【依頼者の名前】メニューザイ行政区

【成功報酬】1軒1500テラ

【依頼の詳細】

各家屋に積もった屋根の雪下ろし作業です。雪下ろしを担当する家屋については、ギルド窓口で確認してください。

◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇

【依頼番号】F10ー0002

【依頼名】道路に積もった雪の雪かき

【依頼の種類】冬期常設依頼

【依頼者の名前】メニューザイ行政区

【成功報酬】1区画1500テラ

【依頼の詳細】

町の中を通る各道路の雪かき作業です。雪かきを担当する区画については、ギルド窓口で確認してください。

◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇

【依頼番号】F10ー0003

【依頼名】屋根の雪下ろしや道路の雪介護の雪の運搬作業

【依頼の種類】冬期常設依頼

【依頼者の名前】メニューザイ行政区

【成功報酬】半日1500テラ

【依頼の詳細】

屋根の雪下ろしや道路の雪かき後の雪の運搬作業です。指定された区画から雪捨て場までの往復作業になります。担当する区画については、ギルド窓口で確認してください。

◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇


冬場の定番、雪かき依頼だね。

今回私が、除雪魔導具ゴーレムちゃんを街道筋に設置した事で、道路の雪かき依頼は半減したが、路地裏や屋根の雪かき自体はそのままである。冒険者の冬場の大事な収入源なので、必要最低限しか(私たちが受けた)依頼内容には含まれていないのだ。

ちなみに、商隊の護衛依頼は、他のパーティとの合同依頼となっている。そして、その際討伐したスノウウルフやスノウワーム、盗賊さんたちの討伐報奨金に関しては、すでに護衛していた商隊さんたちや、盗賊の襲撃を受けていたあの村から貰っている。

なお盗賊さんの討伐に関しては、村にはそんなおカネはないため、実際にはムハマルド辺境伯からの代理依頼となっている。そのため、村長さんのサインのある臨時発行された依頼書さえあれば、後日最寄りの冒険者ギルドで報酬自体は支払われる事になっている。この時、賞金首がいれば、同時に賞金に貰える仕組みだ。


これと言って面白そうな依頼がなかったため、私たちは引き籠るために『氷の女王アルサの息吹』へと戻り、冷えた体を温めるために温泉に浸かりに行く。

懐も程よくあったまっているので、そうガツガツと依頼を受けなくてもいいのだよ。・・・・私たちは。

なお、当然ながら、そうではない冒険者たちは、朝から街中の雪かき依頼を精力的に行っている。

こうして3日間は何事もなく過ぎ去っていき、無事に私たち6人は結婚する事ができた。


「明日の朝、サクラピアスに戻ろうか。ハルナはオークドカレッジだね。そろそろ年末年始の事を聞きに、それぞれの神殿にいかないといけないしね。」


今日の日付は、10月23日である。

まだまだ10日以上先の話ではあるが、私とコトリ、ぺニアは、聖女としてサクラピアス大聖堂で、年末年始の神事を執り行う事になっている。ちなみに『オークドカレッジの聖女』であるハルナは、その名の通り「年末年始の神事はオークドカレッジで」という事を、すでに打診されている。

そのため、年末年始にかけては、バラバラになってパーティで動く事はないと思っている。


”カン!カン!カン!! カン!カン!カン!! カン!カン!カン!!”


そんな事を話し合っていると、いきなり警鐘が鳴り響く。

3回続けて休み、再び3回続けて休むの繰り返し。

この警鐘は、町に危険が迫っているという合図で、避難を呼びかけるモノだ。


音の鳴る方角から、国境の向こう側、シベリアオス帝国の町の方から聞こえてきているので、今のところこちら側、コロラド王国の町は安全だと言える。

しかし、この警鐘がなったという事は、私たち冒険者にとっては、緊急要請の合図でもある。特段の事情がない限りは、なるべく早く冒険者ギルドに向かわないといけない。

その証拠に、今までまったりと談笑していた冒険者たちが、その鐘の音を合図に即座に行動を開始する。

ある者は部屋へと戻って装備を整えた後に、宿屋から飛び出していく。重装備そのままの者は、机に立てかけておいた武器を持って走り去っていく。


「私たちも準備してから、・・・・・いこっか。」

「そうだね。とはいうものの、私たちは準備といったモノが無いからね。このままでもいいかな?」


確かにそうだ。現在私たちは、普段着となっているメイド服その他の恰好をしている。つまり、普段の戦闘装備そのままである。

なのでこのままの恰好で、冒険者ギルドへと向かう私たち。


「たった今、シベリアオス帝国側のギルドから連絡があった。コロラド王国側の冒険者たちは、このまま国境砦に張り付いて、応援要請に備えよと。」


ギルドマスターの命令で、私たち冒険者は、徒党を組んでメニューザイ砦へと向かい、砦の屋上部分から、シベリアオス帝国側の町を見下ろした。


そうして城門から視えたモノは、町の外壁の遥か彼方から襲いかってくる、暗闇に浮かぶ無数の赤い瞳の群れと、・・・・・・夜空を覆い隠す土埃だった。

そして、上空からもまた、何やら真っ黒な雲みたいな塊が、轟くように押し寄せている光景だった。 

なんだか、オークドカレッジ(当時はオークド村だったが)を襲撃した魔物大暴走スタンピートの比ではない気がするのは、私だけなんだろうか?

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