第3話
「その為には、君が名前を取り戻す必要がある」
「名前?そんなの知ってますよ。私の名前は…」
私の、名前は…
私の、名前は…?
私ノ、名前ハ…?
ワタシノ、ナマエハ…?
「…私の名前って…何ィ…⁉︎」
はぁ、と(自称)神は溜息を 吐く。
「君の記憶から、自分の名前が抹殺されているんだ。これで分かったか?」
そういう(自称)神に私は言う。
「じゃ、どうすりゃいいっての?」
(自称)神は超面倒くさそうに言う。
「少しの間でいいから黙って聞いておけ。
君は、電脳化した身体でとりあえずだれかのスマホまたはケータイにお邪魔する。
まぁ、取り敢えずの"家"としてな。________そこから、君の親しい友人のスマホ・ケータイにいき、君の名前を聞く。
ちなみに、ひとり訊くごとにこのゲージにチカラが溜まっていく。5人分揃えたら、君は元の世界に戻れる」
え、それって…。
私が電脳化、えっと二次元化して友達に名前訊けばいいんでしょ?
え、超簡単じゃん。
私の友達側に立つと、昨日まで一緒に喋っていた人の名前をいうって事でしょ?
うん、二次元になっても顔とか、そんなに変わんないしね?
喜びに浸る私に、しかし(自称)神は言った。
「あ、そしてだな。もちろん姿は全くもって変えてもらうぞ。
その姿でおりられるとルール的に困るのだ」「何だよそのルール」
私は思わずツッコミを入れてしまった。
「しょうがないだろう。神だって大変なのだ」
んなもん知るか。
とかツッコミを再度入れつつ、私は尋ねる。
「じゃ、私は名前、変わって再度元のところにもどるの?」
「いや。君のことは既に世界から消えている。いわば君は元の世界では抹殺された存在なのだ。ちなみに、電脳界での君の名はクウだ。」
「いやじゃぁさちょい待て。そしたら私の友人5人は私の名前を教えてくれないじゃんッ!」
私の叫びに(自称)神は言う。
「その点は大丈夫だ。ご友人達は話している間に思い出す。何せ、君に近しい人ばかりだからな」
わかりました。でゎ。
「じゃあ私の外見は
"足には白黒のボーダーのニーハイ、太腿の半分くらいまでを覆っているやつを。体は茶色のニット、だいぶ暑そうな服を。でも暑くないように。でも、ワンピース型の癖に大ぶ短いやつで〜♪んで、顔は美少女。肩くらいの銀色の髪、銀色の目!日に当たった事がないような透き通るような白い肌色"
てな感じで。
あ、現実世界に戻るときは銀色の部分を暗めの茶色にしてください」
「君…流石に注文をつけすぎだとは思わないのかい?」
「あー、私誰のせいでこんなことになっちゃったんd「わかった。最善を尽くす」
そして、(自称)神が何かを唱えると。
「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ………⁉︎」
私が願ったように、銀色の髪の毛が私の横で踊る。
ずい。
と、無言で(自称)神が手鏡を押し付けてきた。
…なかなか気がきくじゃん。
私が手鏡を覗き込むと。
ちょい待て。ちょー可愛い子がこちらを覗き込んでいるのだが。
いや、それは私なんだけど。
でも。やっぱ自分自身とは思えない。
可愛い。
…だめだ、ナルシストみたい。私的には、違う子をかわいいって言ってるのと一緒なんだけどなぁ。
「では、取り敢えず君を君の今からの"家"におくるぞ。因みに、君が知らない人の携帯かスマホだからな」
神は私に呆れたように言った。
「はーいっ」
私は超・いい子返事をした。
すると、(自称)神は私に掌を向けた。
すると、私の身体は銀色の光に包まれた。
私は、意識が一瞬でブッとんだ。
________………。
あ、なんかついたぽいかも。そう思って、私はそうっと目を開けた。
目を開けたとこにいたのは…
「ひ…いえ、初めまして、御主人。」
ちょっと待って。なんでここに冬部がいるんだ。
そう、画面越しに私の目の前にいたのは、私が好きな人の冬部雩介だった。
間違えて、久しぶりって言おうとしちゃったじゃん!
「ごッごごごごごご御主⤵︎人⤴︎⁈」
なんかイントネーションおかしくなってるし。うん、変わんないな。…少し微笑みたくなった。
冬部は何故か頬を抓った。意味のわからん行動だ。
「どうかされましたか?…あ、申し訳ありません、自己紹介が遅れました、私クウと申します。しばらくお世話になります」
私は、できるだけ初対面に接するように言った。
ぺこり、と律儀に頭を下げる。
「あ、俺は冬部雩介と言います。________それで、暫く世話になるとは?」
私は少し俯いて話し始めた。
「私、本当の名前を取り戻せたら其方の世界に戻れるのです。そちらの世界で友達だった人が5人選ばれていて、その人達に私の名前を聞けたら戻れるのです。
それまで、こちらのスマホが私の家となるのです」
「へぇ…そうなんだ。ま、特にそこまで困ることはないと思うから、どうぞ〜」
私は0と1の空間で少しの回想をして、
少し笑った。