第1話
「ねぇねぇ御主人!明日、クウも部活のあとの遊びに参加したいです!いや、鞄の中におとなしくいときますから!」
「お前がおとなしくするって行った時に限ってなんかやらかすんだろっ⁉︎やめろ、そん時は大人しくパソコン中にいとけ!」
俺は、スマホの画面に怒鳴りつける。他所からみたら"アカんパティーン"の人だけど、なんかのアプリと会話してんじゃない。悪質なウイルスだ。
俺のスマホのなかで、肩まで伸ばした銀髪を揺らして拗ねているのはクウ、という。
茶色のニットに、モノトーンのボーダーのニーハイ。パッと見たらラノベから出てきた人の様だ。
________そう、こいつは結構可愛い。というか、だいぶ可愛い。
俺だって、最初ここに来た時はドキドキしたもんだ…
。。+゜゜。。+゜゜。。+゜゜。。+゜゜。。+゜゜。。+゜゜。。+゜゜。。+゜゜。。+゜
「お、メールか…?L◯NEじゃない…誰だ?」
家でぼーっとしていた俺は、メールのアプリを起動させる。
「…う、最近開いてなかったから、すぐに差出人が出てこないのか…。」
俺は、メールんとこをタップする。
ぴかーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
いきなり、俺のスマホの画面が銀色に光り始めた。
「おい、まじかよ…これって悪質なウイルスとかそういう奴だよなぁ……」
俺はため息をついた。
キラキラに光っていた画面には、いつの間にか箱が提示されていた。よくある、プレゼントボックスみたいな奴だ。
これをタップしろ、ってことだろうなと思いつつ、一応ホームボタンと電源を触る。
「駄目だ、電源すらおちねぇ…」腹を決めた俺は、プレゼントボックスをタップする。
キラキラキラ、と銀色の光が箱から溢れでる。
それはだんだん人の形になっていっている。
足には白黒のボーダーのニーハイ、太腿の半分くらいまでを覆っている。体は茶色のニット、というんだろうか?だいぶ暑そうな服を着ている。でも、ワンピース型の癖に大分丈が短い。健全中学男子には辛い。本当に。
________顔は、
やべ、美少女だ。どーしよ。肩くらいの銀色の髪、閉じられている一重の瞼、日に当たった事がないような透き通るような白い肌色。
その少女はパチり、と綺麗な亜麻色の目を開けて言った。
「ひ…いえ、初めまして、御主人。」
「ごッごごごごごご御主⤵︎人⤴︎⁈」
なんかイントネーションおかしくなった。…いや、しょうがねえだろ。男子の皆、考えてみろ!いきなりスマホにやってきた美少女が御主人呼びしてくるんだぞ!というか、試しに頬をつねってみたんだが起きんぞ!どーいうことだ、これは…。
「どうかされましたか?…あ、申し訳ありません、自己紹介が遅れました、私クウと申します。しばらくお世話になります」
ぺこり、と律儀に頭を下げられた。
「あ、俺は冬部雩介と言います。________それで、暫く世話になるとは?」
クウは少し俯いて話し始めた。
「私、本当の名前を取り戻せたら其方の世界に戻れるのです。そちらの世界で友達だった人が5人選ばれていて、その人達に私の名前を聞けたら戻れるのです。
それまで、こちらのスマホが私の家となるのです」
「へぇ…そうなんだ。ま、特にそこまで困ることはないと思うから、どうぞ〜」
。。+゜゜。。+゜゜。。+゜゜。。+゜゜。。+゜゜。。+゜゜。。+゜゜。。+゜゜。。+゜゜。。+゜゜。。+
何処が、そこまで困ることがない、だ。
現に俺は困りまくっている。
「何が何でも行きますよ!御主人の学校の姿を知るのです!御友人さんも気になるのです!」
「もう、名前聞きに行ってこい!というか、3日経つのに1人も名前聞きに行ってねーじゃんか!」
「あ、忘れてました」「お前、当初の目的忘れんなよ⁉︎というか、3日でどんだけ態度が崩れるんだ…」
少しゲンナリしている俺に、嬉々としてクウは告げる。
「だって、宿題手伝ってあげたら意外に御主人が馬鹿だったのでw」
「今地味にwつけただろ、というかお前いくつだ⁈」「中2ですぉ」「なんでお前そんなに賢いんだ。脳みそ半分譲れ」
「あ、絶対嫌ですw」