始めるための回想
「そろそろいいかな……」
キョウスケはそっと入り口から顔を出す。
先程の女の子がまだいて、同じ目に合わないようにするためである。
「まったく…、むこうも災難だろうけど、こっちもたまったもんじゃないよ…。こわい目にあわされるしさー、わざとじゃないのにサー」
ぶつぶつと愚痴をこぼしつつ、上半身あたりを植垣から出したときである。
「わざとじゃなかったら何なのかなー?」
「へ?」
怒りを抑えようとして、抑えれていない声が聞こえてきた。
と、キョウスケの顔のサイドにズドンと勢いよくなにかが降ってくる。
「ひゃおぅぃ!」
驚きのあまり変な声が出てきた。
というか何?何がふってきたの!?
キョウスケは自分の顔の横を見やる。そこには白くきれいな、少なくとも野郎ではないと思わせる脚があった。キョウスケはそのまま仰向けになるようにして体をひねる。見えたのは阿修羅のごとき顔、というよりはそれ以外気にできないほど顔がすごい。
「さあ、言い訳を聞かせてもらおうか…。そしてお前の罪を数えろぉ!」
キョウスケから見て左側にある足が上がり、そのままキョウスケの顔めがけおろされる。
「言い訳聞いてくれな、ぶっ!」
痛恨の一撃。キョウスケは瀕死のダメージを負った。
キョウスケは逃げようとした。しかし、逃げられなかった。
女の子は逃げようとするキョウスケに対し、馬乗りになる。
「どこ行くのかな~?」
「待って、ほんと待って、言い訳言うまで待って、ともかく待って!」
「なら三行で説明してね」
今までこんな怖い笑顔を見たことねえよ…。
「出てくる
前向く
君がいる、OK?」
「つまり…」
「つまり?」
女の子が拳を高く振り上げる。
「あんたは有罪だぁ!」
「情状酌量をー!」