表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/11

4 その後のことは知らない

師匠には本当に感謝している。

あのとき師匠に助けてもらわなければ、俺はあそこから動きもせず、死んでいただろう。

死んでしまえば、やつらに復讐もできはしない。


師匠に拾ってもらい、生きる術と剣術と魔法を教わった。

そして改めて、俺の背中を指し、俺が勇者であることを教えてもらった。

つまるところ、あの惨劇はすべて俺が原因なのだ。


それからは俺はただ復讐のために生きた。

勇者だからとか、世界の平和のためとか、

すべてどうでもいい。

むしろあの惨劇の原因となった「勇者」という肩書きに吐き気を覚えた。


俺は俺の為だけに魔族を殺し続けた。


幸い、探さずとも魔族は俺を狙って襲いかかってくる。

師匠の見えないところでは、魔族をどれだけ残酷に殺すかを追求するのに余念がなかった。


あの日を思い出して、死にたくなる時もあったが

両親の言葉がおれを支えた。


強くなり、生き抜いて、復讐する。


その後のことは知らない。



師匠と旅を続けて数年後

師匠が引退して、おれは一人で旅を続けた。

大勢の人が、俺の旅に同行したいと懇願し、

「勇者様!一緒に魔王を倒し、世界に平和を!」みたいなことを言ったが

俺の目的はあくまで復讐だし、俺が魔族に好き放題拷問するのを見られるのも面倒くさいので

丁重に断った。

むしろ、俺よりあなた達の方が、よっぽど勇者の心をお持ちなので、称号を差しあげましょうか?という感じだ。


ただ魔族を殺していっただけなのに

いろんな人々から感謝され、「勇者」の知名度はどんどん上がった。

ある国では王女と結婚しないかとまで話を持ちかけられた。

こんな殺戮しかできない男に王女様を嫁がせるのは不憫なので、これも丁重に断った。


そんな感じで旅を続けていると

俺は俺の村を襲った2足歩行の豚をみつけた。

正直、あの豚共の顔を覚えている訳ではなかったが、自分から姉や両親がどう死んでいったか暴露してきたので、確定した。



これまでにない 残酷な方法で 奴らを殺し尽くした。



俺は自分が人間なのか魔族なのか分からなくなった。





1つの復讐は終わった。

あの日の惨劇を、豚共を殺してからあまり思い出さないようにした。

そして、俺は拷問をやめた。魔族を片っ端から斬りつけるだけにした。

俺は早く終わらせたかった。疲れていた。

魔王に復讐をして、終わらせたかった。

何を?何を終わらせたいんだろう。俺は。


聖剣を手に入れた。

これで、魔王が殺せる。はやく終わらせよう。はやく・・・

俺は魔王城へ向かった。







魔王城の魔族は、やはりそこらの魔族と違って強かった。

聖剣を守っていた魔族ほどではなかったが、数が多く、一気に俺に襲いかかった。

しかも、魔王が近くに居るせいで、回復も早く、苦労したが

時間がかかっただけで、今の俺の敵じゃなかった。

もうすぐ魔王を倒せるという高揚感で、疲労が麻痺していたとも言える。


敵の数こそ多いものの、特に罠や仕掛けもなく

俺は自分で思っていたよりもあっさりと魔王がいるであろう仰々しい扉の前についた。

すぐに扉を開けようと手にかけたところで

ふと おれは魔王とはいったいどんなやつかと想像した。


魔王は、その存在そのものが魔族の源となるため

根城である魔王城から出ない と言われている。


そのため今代の魔王がいったいどんなやつか知るものは居なかった。

その片腕であるロキという魔族は、翼種族であると聞いたことがあるが

魔王についての情報はなかった。

今までの魔王は、その姿が天井まである獅子の姿であるとか、床を埋め尽くす蛇の姿であるとか

様々な姿で伝記には残っているが、すべて一様性がなく、遥か昔の情報である為

おれは途中で魔王について調べるのを放棄した。

そんなものは、会って確かめればいいと。


そして今が、その時だ。

この扉を開けて見えるのが、天井までの獅子でも、床を埋め尽くす大蛇でも、冷静に判断し行動する。

そして奴に復讐を。


(まぁその前に、片腕のロキってやつがいるかもな)


そう一息ついて、ゆっくりと重い扉を開いた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ