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3 俺は生まれた時から勇者だった

※残酷な表現があります。ご注意下さい。

俺は生まれた時から勇者だった。


なにか良くわからない、大昔の女神サマだかがつくったという紋章が

背中に痣のように刻まれて生まれただけだった。

ただそれだけ。

それは古くから伝わる伝承の通りだったらしい。

くそくらえ。


山奥の小さな村で生まれ育ち、俺を生んだ両親は、

俺を魔の手から守ろうと心に決めて、姉と分け隔てなく愛し、育ててくれた。

村全体が家族のような小さな村は、村人も協力し、ただ俺を守る為に外との交流を一切断った。

そして村全員で俺を、育ててくれた。


俺はそのとき、自分が勇者だなんてことは知らなかった。

だから村の外に行ってみたいというと、みんなが鬼のように怒るのが全く理解できなくて

ときどき勝手に村の外に抜け出しては、見張り台のおっちゃんに捕まっていた。

その度に両親は、いまにも倒れそうな真っ青な顔をして怒りながら抱きしめてくれたのを覚えてる。


あの時の俺を全力で殴りたい。おそらく死ぬだろう。




10歳の時

何度目かの脱出の末、連れ戻された次の日

突然村が襲われた。


気づいた時は周りは火の海だった。


「勇者はドコだぁ!」

「勇者をサガセ!!殺セ!」

「昨日ミツケタやつダ!魔王石が反応シタとロキ様ガ!」


二足歩行の豚のような魔族が次々と火をつけながら叫んでいた。

次々と村の人が襲われていく。

俺は村の一番奥の自分の家でその情景をただ見ていた。

全身がガタガタ震えた。


昨日?

きのう?

おれ の こ と?

ユウ シャ?


「リツカ、ユウシャってなに?リツカ・・」


ガタガタ震えながら、2つ上の姉リツカの腕を掴むと、

リツカはこんな状況なのに、もう片方の手で俺の頭を優しくなでた。


「心配しないで。あんたは私が守るから。」

「リツカ・・・なん・・で・・・」

リツカ なんでおれのふく きてるの


その後ろで、両親がなぜか泣き笑いのような顔をしてこっちを見ていた。


「強くなれよ」

「生きるのよ」


そう父と母が言った後、急に俺の足の下から強い風が吹き

リツカを掴んだ腕が離れた。



気づくと、俺は、村から離れた山奥に一人立っていた。






死に物狂いで山を駆け下り、村に辿り着いたとき、すべては終わっていた。


そこは、人の死体がゴロゴロ転がる墓場だった。


ふらふらと村に入る。

女の人はみんな犯されたのか、裸にむかれて転がっていて

男の人は、丸焦げの炭になっていた。


一番奥、自分の家に向かうと、半壊した家の中に3人は居た。

父は黒こげになって原型がない

母は裸ではなかったが、全身に矢が立っていて、顔から目が飛び出ていた。

姉は、裸にむかれ、両腕両足がなくなっていた。


俺はその場で吐きつづけ、言葉にならない声をあげた。

その後は覚えていない。

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