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痴漢冤罪の勝ち取り方~大学教授編~

作者: 西田三郎

 まず最初に申し上げますのは、この文章はあくまでわたしの想像と妄想に基づくものであり、現実生活の利益や損失にはなんら寄与しないものであることをご理解ください。


 以下のとおりにことを進めたところで、あなたがどんな被害を蒙ろうとも、それは一切わたしの関知するところではありません。


 もし、万が一、あなたが妄想と現実を区別する分別を持ち合わせることなく、この文章を真に受け、わたしがここに書き記すような破廉恥な行為に手を染めたとしても、それはわたしの責任ではありません。

 

 

 自己責任です。

 いい言葉ですね、自己責任。


 この文章を見て、何を感じるか、それはあなた次第です。

 そして、その後どうするかもあなた次第です。



 あくまで、自・己・責・任に基づいて、お読みになることをお勧めします。






 わたしの職業は大学教授です。

 何処の大学に籍を置いているかは、ご勘弁ください。




 先日、通勤電車の中で、乗り合わせた女子高生に痴漢行為を働いたかどで逮捕されました。

 わたしは無罪を主張しましたが、一審、二審ともに有罪判決が出たため、高裁まで争いました。

 


 そして、晴れて無罪を勝ち取ったわけです。



 『疑わしきは、被告人の利に』という法の原則に基づいた、正しい判決だと思います。

 わたしの疑いは晴れ、汚名は挽回され、それまで休職していた職場にも近々復帰する予定です。



 

 さて、件の『被害者』である女子高生ですが、たいへん大人しそうな、少し頭のトロそうな、普通のお嬢さんでした。


 最近街でよく見かけるような、極端に短いスカートを履いていたわけでもありませんし、いわゆるギャル系の雰囲気をかもし出していたわけでもありません。

 世間の皆さんはよく勘違いをされるようですが、べつに痴漢に遭う女性は、極度に露出の多いファッションを着ている傾向も、過度にナイスなバディを強調しているわけでもないのです。

 

 

 まあ、そういう場合もありますが、基本的に痴漢に狙われるのは、『頭のトロそうな女性』です。


 なぜならそういう女性は、痴漢に触られても、ショックで頭が混乱すれば頭が真っ白になって具体的な抵抗は何もできなくなり、その間、痴漢たちは思う存分、彼女らの身体を弄くりまわすことができます。



 その女子高生さんは・・・わたしを痴漢と誤認されたその女子高生さんは、そうしたこと以外にも私にとって、いや痴漢にとって大変好条件な要素を兼ね備えておられました。



 まず、背が165センチくらい、と比較的高めであったということ。

 これは物理的な条件ですが、あまり背が低い女性は、お尻を触りにくいのですね。



 それにその日、彼女は学校カバンに加えて部活用の大きなスポーツバッグを提げていました。

 右手にカバン、左肩には大きなスポーツバッグと、荷物が多くて手が塞がっている。

 そうなれば、必然的にお尻を触られていることに気づいていても、抵抗しにくいのです。



 これらは物理的見地から見て、わたしにとって、いや痴漢にとっては大変すばらしい条件です。



 また、これは一般的な痴漢とされる人々の嗜好の問題ですが、彼女はその身長とともに、少しふくよかで、全体的に丸っこい体型でした。

 といっても、わたしは彼女をデブであると揶揄しているわけではありません。


 

 デブではだめです。

 まあ、最近はあまり使わない言葉かもしれませんが、グラマー系とでもいいましょうか。



 全体的に、少しふくよかで、身長が高い。


 それがわたくしども、いや、わたしくではくて痴漢の皆さんの好む女性のタイプです。

 なぜならそういう女性のお尻は触り心地がたいへんよいからです。


 わかりやすいでしょう?




 また、そんなに世間一般の人が思われるほど、女性の顔のつくりは問題ではありません。

 いえ、こだわりが無いと申しますとウソになりますかね。


 まあ美人であればそれに越したことはないのですが、得てして美人というのはそんなにボンヤリしていないものです。

 極端にかわいらしい容姿の女性も同じく、常に自分の容姿が男どもの目に晒されていることを意識しておりますので、決して無防備ではない。



 どちらかというと、そうですね・・・何か草食動物を思わせるような、どこかしら愛嬌のある、ちょっと白痴的で、大らかそうで、お尻を触るくらいのことは許してくれそうなタイプの女性、そうした雰囲気こそが、痴漢が女性の容姿に求めているものです。


 でもまあ、顔はそれほど問題ではありません。

 身長と、体型と、見た目の性格の特性さえ兼ね備えていれば、ブスでも問題なしです。



 さて、こうした要素を兼ね備えていたその女子高生さんは、わたし(と彼女が言い張っている男)に、スカートを捲り上げられ、その柔らかく、深く握ればかすかに奥底に芯を感じられる尻肉を下着の上から捏ねまわされたあげく、果ては下着の中にまで手を入れられたといいます。



 そのときの彼女の心情を想像してみてください。

 


 世間では何のかんの言われてますが、はっきり言って現役の女子高生のほとんどは男性経験などありません。

 特に、痴漢に狙われるタイプのような女子高生の皆さんは。



 その彼女が、いまだ誰にも触れさせたことのない、自分の身体の中でもっとも恥ずかしい部位を・・・たまたま電車に乗り合わせただけという見知らぬ男に、すきなように弄くりまわされるのです。


 なんという屈辱感、なんという理不尽でしょうか。


 しかも痴漢は、破廉恥にも、パンツの中で彼女の快楽のスポットを探し求め、彼女の性感をほじくり出そうとします。


 なんと、その顔も知らないような汚らわしい男は、満員電車の人ごみの中で、性的な刺激を彼女に与えようとしているのです。

 

 彼女の頭が真っ白になります。

 全身から汗が噴出します。

 何とか周りの人に知られぬように、腰をよじります。


 そうして左右に踊る腰が、痴漢にはまるで、さらなる快感を求めるためのおねだりのように映り、ますますその情欲を掻きたてられます。

 緊張と恐怖感とは裏腹に、彼女の意思とは関係なく分泌される屈辱の蜜が、痴漢の指を濡らします。



 「・・・・やめて・・・・やめて下さい」



 ほとんど聞き取れないような声で、彼女がつぶやくのも、わたし、いや痴漢にしてみれば燃え盛る欲望の炎にくべられる劣情の薪でしかありません。


 そしてわたし、いや痴漢は、彼女のまだタンポンすら受け付けたことがない(であろう)密かな入り口に狙いを定め、ゆっくりと・・・



 「んんんんっ・・・・・」



 彼女が肩をすくめ、待ち受けるさらなる辱めに耐えるための体制を整えるのを眺めながら、さらに痴漢は・・・・

 




 万が一、標的とした女性の性格に読み違えがあったとします。


 『この人、痴漢です!!!!』とやられたとしましょう。




 それでも、基本的に痴漢のような性犯罪は親告罪です。


 これはどんな痴漢も理解していることですが、これをやられた場合は、『どんなに被害者の女性が“てめえが痴漢だよ”』と言い張っても、それを認めないことが鉄則です。


 駅長室には絶対行かない。

 できることなら振り切って逃げろ。


 これは、あまたの痴漢冤罪問題に取り組む、まともで良心的な弁護士の先生方も仰ってることです。



 それでも振り切れないときは、常にカバンに忍ばせておいた消毒用濡れティッシュで、どさくさにまぎれて丹念に指をふき取りましょう。

 これは指先に、被害女性の衣服の繊維や、マン汁、いや分泌物などDNAを残さないようにするためです。



 完璧ではありませんが、裁判になったときに重要な客観的証拠とはならないくらいにまでには、証拠を消すことができます。




 それでもなお、被害女性の意思が強く、これが刑事事件に発展したら、あとは開き直るまでです。

 こうした時に必要になってくるのが、普段からの人徳と、社会的地位と、友人の多さです。




 “まさかあの人が、そんな破廉恥なことをするわけがない”




 そう思われるような人生を送ることが何より大切です。

 そうすれば、勝手にあなたの無罪を信じた友人や家族たちが、長くつらい裁判の間もあなたを支えてくれます。



 警察の冤罪に対して批判的な弁護士の先生方も、あなたの戦いに協力してくれるでしょう。


 

 それに・・・そこまで強い意志を見せれば、ドン臭そうな16、7の小娘の主張と、仮にも大学教授であるわたしの主張、世間はいったいどっちを信用するでしょうか?



 世の男性諸君のほとんどが、痴漢冤罪をわが身にいつ降りかかるかもしれない災難として恐れているこの風潮の中で?



 最終的には、わたしが、いえ、痴漢がその女子高生にしたことが、客観的に立証されなければ、無罪となるのです。

 実際に痴漢行為があったか否かは、問題ではありません。



 現にわたしはそれで、最高裁まで戦い、無罪を勝ち取りました。




 こうしたわたしの戦いは、世間の痴漢冤罪を恐れる男性諸氏、そして実際の痴漢の皆さんに大きな勇気を与えたことでしょう。


 わたしが、みなさん同士の方に言いたいのは、ただこの一言です。


 

 「とにかくシラを切りとおせ。今、世間は我々の味方だ」



 以上、最後までお付き合いありがとうございました。


 【完】

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