第六話
学園が轟音と共に崩れていくのを少し離れた山中で複数の男女が見ていた。
「お前が学生相手に手傷を負うだなって思ってもみなかったな。」
「俺だって思わなかったさ。」
「それでうまくいったの?」
「俺たちが陽動に回ったんだからもちろん成功だよな。」
「これだ。」
大柄な男が小さな機械を一つ取り出す。
「これが制御ピアスを取り外す装置だ。」
「これが有れば私たちは思いっきり戦える。」
「なぁなぁ早く外してくれよ。」
「まあ待て。それよりも」
大柄な男は共に学園に居た小柄な男に顔を向けた。
「学園にあの制御装置を壊すほどの力を持った学生が居たぞ。」
男の言葉に一同が凍り付く。
「な、なんだって!?」
「それ本当なの??」
「ほう、そんな学生があの学園にいたなんてな。」
小柄な男は鼻で笑う。
「シーラと呼ばれていた。」
「シーラ?そんな馬鹿な、あいつは学園で一番の落ちこぼれだぞ」
「だが事実だ、その落ちこぼれが学園をあんな姿にしたんだぞ。」
大柄な男は崩れ落ちた学園を指さした。
「・・・・・一度様子を見る事にしよう。俺は学園に戻る。お前らはその装置を持って本部へ行け。今は学園に眼が向いているがちんたらしていると脱出が困難になるぞ。」
「それじゃぁ俺は行くよ。」
「またね。」
二人はさっさと姿を消す。残ったのは大柄な男だった。
「尻尾を出さないよう気をつける事だ。」
「誰に言ってんだよ。」
「もちろんお前だ。ではな。」
大柄な男も姿を消した。
「俺でも破壊する事が出来なかったこのピアスを破壊するだと・・・面白い、俺が直々にその姿見てやるよ。」
小柄な男はニヤリと口元を笑わせ姿を消した。
あぁ・・・・昔もこんなこと有ったっけ・・・・
シーラはゆらゆらした世界にいた。
あの時、私はセフィーを傷つけてしまった・・・・また今度もサーシャを守れなかったのかな・・・・
「・・・・・ラ・・」
誰?誰か何かを言っている・・・・
「・・・・シー・・・・シーラ・・・シーラ!!!!」
名前を呼ばれ、シーラは眼を見開いた。
目の前には天井が広がり、どこかで自分が横になっているのが判る。
ただ体中が痛くて身動き一つ取れない。
「シーラ!!!眼を覚ましたの!?」
「サー・・シャ?」
シーラののどはからから渇いていて思ったように声が出なかった。
「そうだよ。私、サーシャだよ!!よかったぁ」
サーシャの瞳から涙がこぼれ落ちる。
「サーシャ・・・怪我は?・・・大丈夫??」
「何言ってんの!!私よりもあんたの方がよっぽど重傷!!一週間近く眼を覚まさなかったんだよ。心配したんだから!!」
「一週間・・・・うちそんなに眠ってたの?」
「そうだよ。本当によかった!!」
サーシャは泣き続ける。
「サーシャ・・・」
「何?シーラ。」
「うち、サーシャを守れた?」
「・・・うん!?シーラは私を守ってくれたよ。」
サーシャはシーラの手を優しく握った。
「うち、少しだけ心が強くなれたかな。」
「うん。うん。」
「ありがとう・・・・」
そう一言つぶやいてシーラは再び眠りに就いた。穏やかな表情で。
ひとまずこれにて一段落を付けます。ただまだネタとか書きたい事はたくさんあるので、時間があればまた更新するかも知れません。回収してないネタばっかりなので(笑)
ここまで読んで下さった方。ありがとうございました。