第三話
「あー今日はめっちゃ楽しみ。」
「うちも、街に出るってあんまりないしね。」
サーシャとシーラは朝、寮の食堂へと向かっていた。今日は休日、
おまけに出かけるためか二人とも私服に身を包んでいる。
「あれ、なんか今日騒がしいね。」
「ホントだ、なんだろう。」
サーシャが一足早く食堂に入ると女生徒達が騒いでいるのが見えた。
「あぁ、私わかったかも。多分リーでしょ。原因は」
「リー?あの成績優秀でみんなに王子様って呼ばれてるあのリー??」
「いっつも学校だろうと休みだろうとさっさと朝食済ませてどっか行くのに珍しい。」
「だね。」
二人は女子の遠巻きから外れたところで朝食を取ると
さっさと街へ出かける事にした。
「さてシーラ、今日はなんの日か知っているかね。」
「さぁ?なんか特別な日だったっけ?もしかして誰か誕生日??」
「ちっがーう!!今日は巷で大人気なアイテムショップ、ウィズの特売日よ。このチャンスを活かさずにいつ買い物するの。さぁ、いざ女の戦場にいくわよ!!」
「え、ちょまってー」
サーシャに引きずられるようにシーラは歩き出した。
数時間後、大量の袋を持ったシーラとサーシャの姿がカフェの片隅にあった。
「いやぁ買った買った。」
「これだけ買ったらしばらく買い物しなくても良いんじゃない?」
「何言ってんのシーラ、来月の売り出しも行くに決まってるじゃない!」
「すごいパワーだね。」
サーシャの熱気にシーラは思わずに苦笑いする。
「そう言えば聞いたか?」
二人の耳に突如声が届く
「最近反政府組織がまた活発化してるみたいだな。」
「あー、なんだっけ?ストレーガとかいう名前だっけか?」
「まぁ基本的に人間の街で暴れてるらしいからココは大丈夫だろ。なんせほとんど魔法使いしかいないんだからな。」
「そりゃそうだ。ははは」
二人の男性を席を立ち店を出て行った。
「学園でも噂になってたね。」
サーシャは突如口を開く。
「へ?あぁ反政府組織について?」
「そうそう、だいたい奴らが掲げてる魔術師の本当の自由ってのもよく判らないのよね。今だって別に自由じゃない?学校はあるし制御用ピアスの装着は強制はされてるけど、戦争もないしこうして友達と買い物にだって好きなときに行ける。これが自由じゃなくてなんなのよ。」
「確かにそれはうちも思うかも。別に不自由って感じてはいないしね。」
「でもあれだね。これだけ反政府組織が活動してるとなるともしかしたら首都から何か動きがあるかも?ほら基本的に魔術師はソルシエールにしか居ない上にその組織って魔術師が多いみたいだから学園の卒業生も結構参加してるだろうし。」
「今までと違って制限されたりするのかなぁ。」
「どうだろう、中央の考え方一つじゃないかな?とりあえずこっちにしてみたら良い迷惑だよ。現状に満足してるのに余計な事されて自由がなくなるかもしれないだなんて。」
「それは・・・・ちょっと嫌だな。」
「まぁ、今のところはなんともないんだし、平穏な日常を送れば良いのよ。さ、シーラは何食べる?」
「じゃぁ、紅茶とベリーのタルト。サーシャは?」
「私チーズケーキ。すみません!オーダーお願いします。」
「で、今回はどうするんだ?そろそろ一度攻撃するんだろ?」
街の寂れたバーに数人の男女が集まっていた。
「攻撃って。ただ攻撃するんじゃないわよ。問題はあれを手に入れること。首輪を付けられたままじゃ私たちの力なんてたかが知れてるわ。」
「で、今回の作戦は?どうすんだ、ん?」
奥からもう一人、多少小柄な男が出てくる。
「まずは陽動だ、学園から注意を引き離す。そのために攻撃するのはココだ」
男は壁に掛けてあった地図の一点を指さす。
「ほう、政庁を狙うのか。」
「学園への警戒は強い、とくに我々が行動を起こしてからは一層ピリピリしている。だからこそ政庁を攻撃して一気に注意を逸らすぞ。」
「「「「あぁ。」」」」