第一話
150年前、人間と魔術師の間で大きな戦争があった。
後に人魔戦争と呼ばれるこの大戦で世界の地形は変わり、人間、魔術師ともに大きな被害を出す事となる。
結局戦争は人間が勝利でその幕を閉じ、そののち人間と魔術師は共生の道を求め、ある一つの都市を創設する。それが魔術都市“ソルシエール”である。
「シーラ!これはどういうことですか!?」
女性教師の声が実験教室中に響く、教室内の彼女の席の辺りは何か得体の知れない緑色の物体が周りにまき散らされていた。
「すみません!」
シーラと呼ばれた少女は教師に頭を下げる。
シーラの唇は震え顔色は白くそして羞恥心からかピアスが付けられた耳は赤くなっており、その様子をクラスメート達が冷たい眼で遠巻きに見ている。
「まったくあなたは、何度私に同じ事を言わせるのですか。初めて行う調合ならまだしも、この薬品は一年生で習う調合ですよ。なぜこの様な基礎ができないのですか?あなたはもう三年生ですよ。わかっているのですか!!」
「本当にすみません。」
シーラは手をぎゅっと握りしめた。
「あなたも魔術師の端くれなら今の自分にもっと危機感を抱きなさい。やり方を考えなければ成長はありませんよ。わかりましたか?」
「はい。」
教師は大きくため息をついた。
「もうよろしい。さあ皆さん教室を移動しますよ、ここでは授業になりません。シーラは後でこの教室の掃除をしなさい、良いですね。あなたが汚した教室です。あなたが責任をとりなさい。」
「はい。わかっています。」
シーラは声が尻つぼみに小さくなりながら顔を俯かせた。