お外の光
朝、日光をあびることで自立神経が整います。また、適度に紫外線をあびる必要があります。
でも、紫外線は皮膚のシミや老化、日焼けの原因にもなります。
日光は身体にいいのか悪いのか。
その森ではナナカマドの木が赤い実をつけていた。
小さなタヌキくんと、頭に王冠のようなものを乗せた白いおサルさんがいる。
二人の間にあるお皿には、ぼたもちが乗っている。
皿の横には湯気のあがる湯呑も置かれていた。
「んとね、白猿さん。紫外線って、浴びると身体によくないよね?」
「子狸くん。紫外線を浴びすぎると、日焼けをしたり、皮膚のシミや肌の老化を促したりすることがある。強い紫外線を長時間浴びるのは、できるだけ避けたほうがいいな」
「じゃあ、紫外線は悪者なのかな」
「そう単純な話でもない。人間の身体には、ある程度の紫外線も必要なんだ」
「え? 必要なの?」
「紫外線を浴びると、皮膚でビタミンDが作られる。ビタミンDには、食事からとったカルシウムを身体に吸収するのを助ける働きがあるんだ」
「あ、それ聞いたことあるの。でも、紫外線で直接カルシウムが増えるわけじゃないのね」
「その通り。『紫外線を浴びる→ビタミンDが作られる→カルシウムの吸収を助ける』という関係だな」
「じゃあ、まったく日光に当たらない生活もよくないんだね」
「そういうことだ。もちろんビタミンDは食事からもとれるし、必要な日光の量は季節や場所、肌の状態などによって違う。だから『たくさん日焼けすれば健康になる』という意味ではないぞ」
「なるほど。浴びすぎてもよくないけれど、まったく浴びないのもよくないの」
「何事も程度が大切だぜ」
「んとね。そもそも、紫外線ってどういうものなのかな?」
「光にはいろいろな種類があって、それぞれ波長が違う。虹の七色を想像してみると分かりやすいぞ」
「んとね。虹は上から赤、オレンジ、黄色、緑、青、藍、紫の順で並んでいると思うの」
「そう。人間の目に見える光の中では、赤い光のほうが波長が長く、紫色の光のほうが短い。そして紫色よりさらに波長が短いところにあるのが紫外線だぜ」
「だから『紫の外側』で、紫外線なんだね」
「そのイメージでいいぜ。紫外線は人間の目では見ることができない」
「見えない光なのに、日焼けするの?」
「そうなんだ。目に見えなくても、皮膚に作用する力を持っている。紫外線には種類があって、日焼けや皮膚への影響に関係するものもある。一方で、紫外線には殺菌に利用されるものもあるぞ」
「見えないのに、いろいろな働きがあるの」
「そういうことだ」
「んとね。紫外線の逆で、『赤外線』もあるよね?」
「あるぜ。赤外線は、赤い光よりもさらに波長が長い光だ。これも人間の目には見えない」
「赤外線は何に使われるの?」
「身近なところでは、リモコンなどにも利用されている。それから赤外線は物体の温度とも深い関係がある。赤外線を利用して、温度を測ったり、熱画像を作ったりすることもできる」
「んとね。赤外線ってきくと温かいイメージがあるの」
「そうだな。赤外線を含む電磁波は、物体に吸収されることで熱として作用することがある」
「そういえば、赤外線の力で身体を癒やす『リカバリーウェア』という服があるってきいたの」
「そういう製品もあるな。繊維にセラミックなどの素材を練り込み、身体から出た熱を利用して赤外線として反射させる、と説明されているものがある」
「すごいの。赤外線が身体を治してくれるんだね」
「そこは注意が必要だ。製品によって仕組みや表示されている効果が違うし、服そのものの保温性や着心地など、赤外線以外の要素もある。『赤外線だから必ず身体が回復する』と単純に考えないほうがいいぜ」
「なるほど。名前に『赤外線』と書いてあっても、それだけで効果が決まるわけではないんだね。一歩間違えると誇大広告かも」
「まぁ、名前やイメージだけで判断せず、どういう仕組みなのかを確認することが大切だ」
「ところで、紫外線や赤外線は人間には見えないと言ってたけど、他の動物はどうなの?」
「それを感知できる生き物もいるぞ。ただし、『見える』と『感じ取れる』は少し区別したほうがいい」
「え? どういうこと?」
「例えばヘビの仲間には、目とは別に赤外線を感じ取る器官を持つものがいる。顔にある器官で、周囲の動物が出している熱を感じ取ることができるんだ」
「そっか。エサになる小動物が隠れていても、体温を手がかりにして見つかりそうなの」
「そう。種類によっては、視覚だけでは分かりにくい獲物の位置を、熱を感じ取ることで把握できる」
「すごいんだね。じゃあ、紫外線はどうなの?」
「昆虫や鳥などには、紫外線を感じ取ることができる種類がいる。人間には同じ景色に見えていても、彼らには紫外線を含めた別の見え方をしている可能性があるぜ」
「そういえば、花の模様で、紫外線で写した写真をみたことあるかも」
「そう。紫外線だと違うイメージになるな。昆虫にとって花は、紫外線を含む光によって人間とは違った目印を示していることがある。花粉を運んでもらう植物にとっては、虫に見つけてもらうための大切な仕組みの一つだな」
「動物によって、同じ世界でも見えているものが違うんだね」
「そう考えると面白いだろう?」
「んとね。タヌキとか犬や猫は、暗い夜でも目が見えるの。これは赤外線が見えているのかな?」
「いや、それは赤外線とは別の話だぜ」
「え? 違うの?」
「犬や猫の目には、人間より少ない光でも効率よく利用できる仕組みがある。それに、目の奥には光を反射する部位があって、入ってきた光を利用しやすくしている」
「だから暗いところでも、人間よりよく見えるんだね」
「そう。ただし、完全な真っ暗闇で何もないところが見えるわけではない。あくまで、わずかな光を利用するのが得意なんだ」
「じゃあ、夜にタヌキの目がピカッと光って見えるのも……」
「目の奥が光を反射して、こちらに戻ってくるからだ」




