第十六話
涼と公輝、笹井、小川は、翔子の試合を見学するべく、横並びになっていた。公輝は口に笑みを浮かべつつ話す。
「翔子はどんなやり方するんやろな。やっぱり涼みたいな派手な感じかな。」
公輝はちらっと涼の方を見る。笹井は先ほどの試合を思い出したのか、心底恐ろしいといった様子で涼の話題を出す。
「ほんとに近衛くんの砲撃怖すぎたよ。魔導戦艦と戦ってるのかと思った。」
一見気弱そうな笹井だが、本質はそうでないことは、先ほどの試合で涼は理解している。
「いや、あれだけ冷静に避けてたのによく言うよ。あれだけ打たせたのは笹井のせいもあるから。」
涼のその言葉には、皆同意のようだ。
そう話しているうちに翔子が具足に乗り込む。具足には一挺の魔導砲と、大量の魔導障壁発生器が取り付けられていた。歴戦の猛者の勲章のような、それは一際目を引いた。
相手はスラスターを重視したスピード型のようだ。
谷澤の号令で試合が始まる。
相手の具足が勢いよく、空へ舞う。動き回って狙いを定めさせないつもりだ。
翔子の具足は微動だにせず、魔導砲で狙いを定める。
一条の青い線が空を奔る。閃光はそのまま、相手の具足に吸い込まれ、花火のように散る。
かなりの速度で動く相手に命中させたことに、観衆はどよめく。
相手も負けじと打ち返すが、翔子は最小限の足さばきで避ける。魔導砲の閃光が地面を抉る。
二発、三発と翔子を狙うがいずれも当たらない。
四発目を撃ったとき、翔子は微動だにしなかった。閃光が命中した瞬間、翔子の具足から太い柱のような光が空に放たれた。
それは実際、先ほどの涼のものと比して太くはなかったが、見る者にそれ以上の力強さを感じさせた。
光の柱は、相手の具足を下から突き上げ、撃墜判定となった。
どこか静かな観衆を前に、具足から降りた翔子は、何事もなかったかのように平然としていた。
谷澤が講評をするが、翔子を褒めていたことたけが、涼達の記憶に残った。
翔子は涼たちが観戦していたことに気づくと、そばに悠々と歩いてくる。
「ねえ、私すごくセンスあるかも。」
急に満面の笑みになって得意げに感想を言う。
驚く一同の中で、小川だけが嫌な顔をしていた。
教練場の土は抉られ、舞い上げられた土がまだ少し舞っていた。




