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異世界大戦 チート魔力量で、兵器を操り無双する  作者: 針時計
士官学校編

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11/20

第九話

 士官学校のカリキュラムは、一般的な高等学校と同様の教養科目と、士官学校独自の軍事科目に分けられる。

 涼のクラスでは、主に午前が教養科目で午後が軍事科目だった。

 入学後初の軍事科目、魔導具足の授業が始まろうとしていた。

 教室から見えた、金網に覆われた教練場に一組の生徒が集まっていた。一同は黒いジャージを着ている。この科目を担当するのは担任の谷澤だった。

 谷澤は年に似合わぬ大砲のような声で号令をかける。まだ整列にまごつく生徒達であったが、なんとか形になった。谷澤の後ろには黒い魔導具足がクラスの人数分、40機並べられていた。

 上背は3m程度、丸みを帯びたフォルムで、背部に背負う大きなスラスターが、前からも確認できる。

 既に陸軍では退役した85式が練習機となるようだった。涼はどうしても逸る心が抑えられない。

 谷澤は敬礼する生徒たちを見回し、公輝に目をつけた。


 「大川、敬礼をするときは左手を横にしろ。右手が下がり過ぎだ。」


 涼の右に並んでいる公輝は入学以来、度々服装や所作で注意を受けていた。本人はあっけらかんとしており、全く気にした様子はない。谷澤はなおれの号をかけ、直立不動の生徒たちに告げる。


 「魔導具足は非常に危険なものであり、些細な不注意が大怪我につながりかねない。しかし、使いこなせれば君達の何よりも勝る力になる。」


 左に並ぶ翔子が、涼を横目で見て少し笑った気がした。そんなに喜色が顔に出ているだろうか、と涼は疑問に思う。


 「まずは着脱と歩行の練習を行う。最後に1人ずつ射撃をしてもらう。言うまでもないが、逸れて人にあたれば、肉片も残らないから注意するように。」


 西方諸国における大戦で、激戦の中、多大な戦果を挙げた谷澤が言うと、脅しには十分なようだ。

 ついに涼は魔導具足に乗り込む。胸部の装甲が開き、腕と足を具足に差し込むと、自動で装甲が閉まった。

 システムが立ち上がり、具足の内面がモニターとなり、外の映像を映し出す。歩行や着脱は思ったよりも容易であった。生身で歩くときと同じ塩梅で体を動かせば、具足もそれに伴って動く。

 少しバランスを取るのには手間取ったが、一度慣れればなんら支障がなかった。

 

 「全員、慣れてきたようだから射撃訓練に移る。安全のため、1人ずつ前に出て、前方の標的に射撃しなさい。まず、出力の加減を学ぶために最小火力から、順に最大火力まで試す。内蔵コンピューターの指示に従い、それぞれの魔力量を鑑みて調整できるから安心しろ。」

 

 それぞれの魔力量に応じて、最大火力が決められるようだ。

 1人目の生徒が前に出る。

 伏せた体勢になり、教練場の金網の切れ間から、前方の大きな禿山の中腹を狙う。これなら外しても、問題なさそうだ。

 轟と腹に響き、光弾が放たれる。着弾した前方の山では大きな土煙が上がった。

 最小火力でこれなら、確かに肉片も残らないと納得する生徒達だった。数発撃って交代していく。

 次は翔子の名が呼ばれた。

 最小火力から徐々に火力を上げていくがなかなか終わらない。5発、6発と撃っていき、10発目を超えるころには山は大きく抉れていた。15発ほど撃ってやっと交代となる。


 次は涼の番だった。涼の首には佐藤からもらったネックレスが下げられていた。

 伏せて撃つと、想像していたより遥かに大きい反動で、魔導具足が振動する。モニターには25段階の火力が表示される。

 翔子の15発を観ていたこともあって、涼の背には冷たい汗が流れる。

 10発を超え、15発、20発と続くにつれて、衝撃はすさまじいものとなる。もはや狙いなどを意識する余裕はなく、ただ前方に光弾を放つだけだった。


 25発目が終わったところで、涼は全身の痺れと汗に濡れたジャージの不快さに気づく。防音機能付きの具足の中だったが、耳の聞こえも悪い気がした。


 谷澤は涼の射撃をみて、末恐ろしい心地がしていた。教官の間でも涼の魔力量で話題になっていた。この年で、既に魔力量は陸軍の中でも屈指だ。

 かつて戦場を共にした、一人の男を思い出す。持ち前の魔力量で、指揮官ながら前線で部隊を牽引し、指揮する鬼のような男を。

 涼の射撃が終わり、射撃の後をみると禿山は疎らに抉れていた。魔力量にばかり気が向いていた谷澤は、それ以外はずぶの素人であることを思い出し、思わず笑ってしまうのだった。

 その次に公輝が10発ほど撃ち、その後も生徒たちが続いた。


 その授業が終わり、更衣室に向かって、涼と翔子、公輝は歩いていた。翔子も公輝も、涼に対してどこか羨望の眼差しを向けていた。

 涼はむず痒いような、誇らしいような気がして、逆になんともないような冷静を装っていた。


 「涼、お前すごすぎるな。魔力量どうなってるんや。毎年、士官学校のトーナメント見てるけど、あんな射撃見たことないで。」


 いつの間にか公輝は、涼を姓名の名で呼ぶようになっていた。近衛と呼ばれるのにまだ慣れていない涼にとっては願ったりかなったりで、いつの間にか、涼も公輝と呼ぶようになった。


 「私もかなり魔力量多い方だけど、近衛くんのは桁違いね。一体どれくらいなの。」


 端的に25000と答えた涼に、両名は驚きを隠せない。そのまま男女で更衣室に分かれた。

 涼は着替えながら痺れる身体に触れる。なんだか少し誇らしく感じるのだった。




 



題名を少し変えてみました。

PV伸びたりしないかなと思いつつ……。

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