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月を詠む  作者: 都合
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気持ち

「話してあげて。きっと喜ぶから」




そう言ったアマテラス様は「近々また来るわね~」と陽気に自分の里へ帰っていった。その陽気な様子を見たツクヨミ様は不思議そうにしており、首をかしげていた。


その後は、ツクヨミ様のお仕事を少し手伝って、部屋に戻りツツジと過ごす。窓の外を眺める癖は抜けないが、ツツジは一緒に眺めて話をしてくれる。一日が過ぎるのは早く、気が付けば夜も更け、寝る支度をする。


寝ようかと思い、寝室に向かっていた時に思い出す。


「話してあげて。きっと喜ぶから」


お昼に言われた、アマテラス様の言葉。この気持ちが何なのか、話をするにも内容がまとまっていないけれど。もし、もし。この話をすることでツクヨミ様が喜んでくれるのなら。


そう思うと、自然と足が動いていた。







空は色濃く変化して、昼間よりも一段空気を落としているような静けさが広がっている。何故かそれが落ち着いて、私にとって心地の良い時間帯になっていた。進める足は迷いなく、目的の場所まで向かう。


途中で空を見上げる。ひと際月明かりが眩しいと思っていたら、どうやら今日は満月らしい。欠けのない、綺麗な月が夜を照らしている。これが太陽の光を反射しているというのだから、不思議なものである。


「どうした?」


前方から床の軋む音と共に聞こえてきた声は、目的の場所にいるはずの人物だった。寝る前だからか、浴衣姿でその前は少しはだけている。いつもは見えない肌が見えていて、目のやり場に困る。肩には、いつものを羽織を腕を通さずにかけている。


「あ、あの…。少し話したいことがあって…」


心構えの前に話が始まってしまったので、しどろもどろになってしまう。思わず俯くと、横の髪がはらはらと流れ落ちる。


ツクヨミ様は目の前まで来て、その流れ落ちた髪を掬って私の耳にかける。わずかに触れた手の暖かさ。それをもっと、と思ってしまう自分がいた。


「そうか、中庭でもいいか?」


手が離れて、それを追うように視線を上げる。私は大きく頷いて、歩みを進めたツクヨミ様についていく。

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