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月を詠む  作者: 都合
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対話2

私はツクヨミ様よりも半歩下がって、少しだけ重なり合う距離で隣に立つ。話始めた父の表情は、これまで見たことのない、気色の悪いものだった。


「全て話すと言ったのはそちらだ、話せ」


媚びを売るような父を、低く、思い声色で一喝する。それに怯んだのか、肩をびくりと上げて、すぐさま話し出す。


「これはですね、里長様にも利のあるお話でして、その娘の血は利用価値が非常に高いのですよ」


両腕を広げて、演説をしているような身振りをしながら話し出す。本人の話しぶりを聞くと、盛大な話をしているように思えるが、話の内容は滅茶苦茶だ。


「ほう、それは何故」


ツクヨミ様は冷静に、それでいて威圧感を残したまま問う。その手は強く握られていて、怒りを感じた。


「私たちは業を改良する研究を行っておりまして、色々試した結果、その娘の血が一番効果が高いことが分かったのです」


帰省をしてから父が私を引き留めていた理由が分かった。検体は他にもいるから、私を嫁がせることに問題はないと思っていたが、実際にいなくなって効果が判明したということだろうか。


「今はまだ改良途中ですが、これが成功すると従順な軍隊だって作り放題です!そしてそれを売り出したら…。とんでもない利益になりますよ!」


恍惚と話をする父。あぁ、そうか。この人は、利益にしか興味がないのか。話が通じないのではなく、価値観が違うとはこのことか。その価値観もかけ離れすぎていて、私には理解ができない。


「その娘を差し出していただけるのなら、里長様にもその利をお分けしますよ!財はいくらあっても困りませんでしょう!?」


利益にしか興味のない父には、とても良い話に思えるだろう。でも、違う。ツクヨミ様はそんなことは思わない。そんな人ではない。


「いらん」


一言、ばっさりと切り捨てる。瞬時に帰ってきた返答に、父は理解できないという表情をした。


「な、なぜです?こんな良い儲け話、他にはありませんぞ!?」


父はこの話を心から良いものと思っているのだろう。それ故に、断るツクヨミ様が理解できない様子だった。


「里長として、私がやるべきことは民の安寧の維持。それに必要な営みはすれど、それを脅かしてまで持つ利はもはや災害である!」


ツクヨミ様の右手に淡い光が集まる、再び刀を出した。その峰を父に向けて、里長として言葉を放った。そして。


「それに、彼女は私が守ると決めた唯一の伴侶だ。例え、父であろうと容赦はしない!」


私の伴侶としての言葉を放ってくれた。

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