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月を詠む  作者: 都合
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対話

周りの景色は、建物が立ち並ぶ様子から、森林が目立つようになっていた。道は所々舗装がひび割れて、端の方は破片が転がっている。前を走る車は、その道の悪さに車体を揺らしながら走っていた。


しばらくすると、車は脇道に曲がる。それに続いて曲がると、木々の間から少し大きめの建物が見えてきた。これがアマテラス様の話していた廃病院なのだろう。


「いいんだな?」


馬車から降りる前、ツクヨミ様は最終確認をしてくる。ここを出たら、もう後戻りはできない。怖くない、と言えば嘘になる。底知れない恐怖心、今だって指先は冷えたままだ。でも、それでも。


「はい」


その手を差し伸べてくれる、貴方がいるなら。本来なら、私が背負うべき責任を、「二人で共に」と言ってくれた、貴方がいるなら。不安で涙の止まらない私を、力強く抱きしめてくれる、そんな貴方がいるのなら。


この恐怖を抱えたままでも、きっと受け止めきれるのです。


「ツクヨミ様となら、大丈夫です」


差し出された大きな手を取り、馬車を降りる。父と医者は廃病院の入り口に立っており、私達が来るのを待っているようだった。




廃病院の中は、薄暗く進む先は見えない。廊下の壁や床などの状態から、長い年数放置されていたのだろう。薬品の瓶やガーゼ、書類などがそのまま残っており、落ちたものはそのまま放置されている。ツクヨミ様が私達の周りに淡い光の球を放ってくれているため、足元を確認しながら進むことができた。


少し進むと、鉄でできた扉があり、医者が鍵を入れて扉を開ける。鈍い音を立てながら開いた扉から、重量があり、この先に大事な物があることが想像できた。2人に続いて、私達もその先に進むと、ばたんと自重で扉が閉まる。


中は手術室のような少し広い空間になっていた。他の部屋や廊下とは違い、部屋の中も備え付けられた設備も新しい物に思える。きっと、ここで私の血を使って業を進化させているのだろう。


「里長様はどこまでご存じなのでしょうか?」


父と医者、私とツクヨミ様で向かい合って、ついに話が始まった。

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