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月を詠む  作者: 都合
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決意2

正直、来てほしくなかった。


辛いだろう、理解に苦しむだろう、悲しいだろう。




私の肩を掴む手が、震えて体温を落としている。それをどうにか温めたくて、強く抱きしめてしまう。こんなに細い体で、何も知らない囲われた世界から、突き刺さるような真実を受け止めなくてはならない。


知るだけでも辛いのだ。見届けるなど、その感情は計り知れない。それでも、知りたいと、見届けたいと泣きながら願う彼女の儚さに、強く強く惹かれてしまう。




だから、せめて。どうか、彼女の支えになれます様に。







襲撃された場所から廃病院までは距離があり、父の乗っている車の後ろに付いていく形で向かっていた。私とツクヨミ様は隣り合って座り、重なり合った手を繋いでいる。見届ける、そう決めてはいるが恐怖心はある、不安にも思う。話が通じなければ、最悪のことだって視野に入れなくてはならない。覚悟を決めるように、繋いだ手に力を入れた。


「ツクヨミ様、その、私は何があっても最後まで見届けます。なので、父がもし、その…」


話始めた言葉は途中でしぼんでしまう。話が通じない、どうしようもない、そうなった時、私は即座に判断できる自信がない。でも、それを、その責任を任せてしまってもいいのだろうか。私が背負うべきものではないのだろうか。


「思っていることを話してみろ」


ツクヨミ様は背中を丸めて私に視線を合わせてくれる。その視線が優しくて、考えずにそのまま言葉を流す。


「父がもし、話が通じないとなったら、最悪の事も辞さない、その覚悟もしているつもりです。ですが、その判断は私にできるとは思えなくて、自信がなくて…」


止まったはずの涙がまたあふれ出してしまう。


「できる、と言い切れないのです…」


あぁ、私はこんなにも泣き虫で意気地なしだったのだろうか。こんな大事な場面で、大事な判断を「できる」と言えないなんて。自然と視線が下がってしまう。すると、頬を流れ落ちる涙を温かい指が拭った。


「その判断は、私に任せてもらえないだろうか」


涙を拭った指が頬を撫で、大きな掌が添えられる。そして落とされた言葉に、また涙が出てしまう。視線を上げると、力強い視線が私を捉える。任せてもいいのだろうか、その言葉に甘えてもいいのだろうか。欲しかった言葉のはずなのに、いざ言われると本当に受け取っていいのか困惑してしまう。


「判断も、責任も、月華一人に背負わせたくない。だから、二人で共に」


どうして。どうしてツクヨミ様は、こんなにも優しいのだろう。こんなにも強いのだろう。どうして、どうして。私の気持ちをこんなにも理解してくれるのだろう。不思議に思う、そして、隣にいるのがこの方で良かったと、心からそう思った。

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