決意
そのまま手を引かれて、ツクヨミ様の隣に座る。まだ手は繋いだまま、離したくなくて少し強く握ってしまう。馬車はゆっくりと動き始めた。胸の中を占めるのは、底知れない恐怖だった。父の考えていることが全く理解できない。
事実から推測、推測から予想、頭の中がごちゃごちゃと騒がしい。それを無理やり洗い流すかのように、大粒の涙がとめどなく溢れてくる。理解ができない、これが何より辛くて、そして、その相手が父というのが私の心を荒立たせる。
「月華」
繋いだ手が離れていく、それと同時にふわり、と体が浮いてツクヨミ様の膝の上に乗せられる。そして、そのまま強く抱きしめられる。肩口に顔を埋めて抱きしめ返す。安心する、でも涙は止まらない。
「月華、無理に来なくてもいい。このまま里に帰ってもいい」
優しい言葉をかけられる。きっと、ツクヨミ様なら一人でも解決できてしまうのだろう。むしろ、私がいることで足を引っ張ってしまう可能性の方が高い。でも、それでも。
「私は、最後まで自分の目で見届けたいです」
埋めていた顔を上げて、ツクヨミ様と目を合わせる。まだ涙は止まらなくて、溢れっぱなしで、声も震えて情けない。けど、それでも。
「足を引っ張ってしまうことは承知しています。ご迷惑をかけてしまいますが、連れてって欲しいです」
最後まで逃げない。って、決めたから。
ツクヨミ様は少し目を見開いて、悲しそうな表情になる。
「本当に行きたいのか?」
再度、確認する。
「はい」
涙を流したまま、震えた声で、できるだけ力強く返事をした。




