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月を詠む  作者: 都合
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三人目

黒い手が伸びてくる、走っても逃げ切れない。そのうち息が苦しくなって、足も動かなくなって。腕を握られて転んでしまう、振り向いた先には、私がいて。息切れと、恐怖で、悲鳴も上げられない。何もできない。私は私の腕を離さない。一歩、近づいて、私の頬に触れて、渇きを満たすように抱き着いてくるのに。何も、できなくて。




「おい!」




声が聞こえて、目が覚める。それと同時に止まっていたような呼吸が再開される。胸が上下するほど、呼吸が荒く、苦しい。


「あぁ、いやっ…」


やっと声が出る、体が動く。拒否して、黒い腕を払う。しかし、それそこで気が付く、あれは夢だと。上半身を上げて周りを確認すると、いつもの自室で、私の肩に手を乗せるツクヨミ様が居た。どうやら、私を目覚めさせたのは、ツクヨミ様の声だったらしい。


「はっ…、ツクヨミ、様…」


まだ呼吸が整わず、汗が首筋を伝って流れ落ちる。私が完全に目が覚めたのを確認したツクヨミ様は、私の肩から手を離して近くの椅子に座る。


「ひどい悪夢の気配がした。勝手に入って悪かった」


息切れで上手く声が出ない。首を横に振って、返答をする。


「…来てくれたんですね」

「あぁ」


しん、と部屋が静まり返る。それもそうだろう。昨日は、話の途中で里に業が出現した。そして、その出現を持って、真実を知った。




業が進化した理由。

ツクヨミ様が私を嫁として、夜の里に連れてきた理由。




私の血を使って、業は進化していた。

ツクヨミ様達は、進化の元になっている私を探していた。

「共闘」の代わりと理由づけて、「嫁」として私を連れ出した。






「根源」は私のことだった。






「私は3人目ですか?」


まだだ。まだ、私は知らないことがある。もう、ここまで来てしまった。知るなら最後まで、今更だが、泣くのはそれから。考えるのもそれから。


私の問いにツクヨミ様は驚いた表情をする。一瞬目を伏せて、小さくため息を吐く。


「業の進化からみると、おそらくそうだろう。それに、お前の扱いを見たが、あれでまともな名前を付けるとは思えん」


私の、扱い。また疑問が出てくる。今までの私の生活は変だったのだろうか。私の顔を見て、また目を逸らす。そして一言。


「お前は、あの屋敷から出たことがないだろう」

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