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月を詠む  作者: 都合
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残った痛み

目が覚めた。私は自室のベッドに寝ており、背中の痛みは幾分和らいでいた。


「気が付いたか」


私が微かに動いた気配に気が付いたのか、ツクヨミ様が声をかけてくる。寝ているままでは失礼に値すると思い、体を起き上がらせようとする。しかし、ずきりと鋭い痛みが走る。顔をしかめると、肩を押さえられ、起き上がることを制される。


「痛みは?」


「動かすと痛いかもしれません」


嘘を言ってもツクヨミ様には通用しない。そう思い、正直に今の状態を伝える。ツクヨミ様は「そうか」と返事をする。


「あの、ごめんなさい」


私は謝罪する。こんな騒動になったのも、私が部屋を勝手に出て、妖達の前に姿を現してしまったからだ。あのタイミングでツクヨミ様が帰ってきたのだから、ツツジが対応していた方が良かったのかもしれない。きっと、私の姿を見せることで、妖達の怒りを増長させてしまったのだ。


「謝らなくて良い、お前は何も悪くない。俺がもう少し早く帰っていれば良かった。すまない」


そう言われた瞬間、ぽろりと涙がこぼれた。私の涙を見て、ツクヨミ様は目を見開く。


怖かった。敵意、怒号、暴力。どれも人から向けられたことのない感情だった。怖かった。経験したことのない痛みだった。ツクヨミ様が帰って来なかったら、私は死んでいたかもしれない。怖かった。とてもとても、怖かった。


「…怖かった、です」


ぽろり、ぽろり。涙は次々と溢れてきて止まらない。こんなに泣いたって仕方がないのに。ツクヨミ様は私の頭を優しく撫でる。泣き顔を見られたくなくて、布団を引っ張り顔を隠す。


「すまない」


違う、ツクヨミ様に謝ってほしいわけではない。決して、責めたいわけではない。


「助けてくれて、ありがとうございます」


安心したのだ。この人が来たから、もう大丈夫。そう思えたから。私のお礼を聞いたツクヨミ様は、少しだけ苦しそうな表情をしていて。なんで、と考えたけど、どうにも分からなかった。

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