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月を詠む  作者: 都合
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プロローグ

世界を疑うような、世界から疑われているような。


雪解けをした春の暖かさ、緑が深くなる夏の暑さ、空が突き抜ける清々しい秋の涼しさ、一夜にして銀世界に染まる冬の凍てつく寒さ。


自分の感じた感情を、こんなにも虚無に思うなんて。

知らなかった、知りたくなかった。

自分の何もなさに、涙を流すことしかできない。



月明かりは、私を照らさない。



【月を詠む】



時は大正、大日本帝国。帝都、東京。


この国には古くから人間と妖が存在しており、住まう地域を分けて生活をしていた。互いに見かけることはあっても言葉を交わすことはなく、『ただそこに在るもの』として受け入れていた。


その均衡が崩れ始めたのが10年前。人間でもなく、妖でもない。言葉では言い表せないような存在が現れた。それらは、夜になると人を襲い、妖を襲い。小さな里であれば一夜にして無くしてしまう。そんな存在だった。後に「業」と名付けられ、人々からは恐れられる存在になってしまっていた。


その状況を打破するべく、政府は特殊対策軍「解脱隊」を結成し、夜の安寧を守っていた。しかし、それもつかの間、業は急激に進化を繰り返し、硬く、速く、強く。特殊対策軍では手に負えない状態になってしまい、万策尽きてしまっていた。


万策尽きた政府が次に考え出したのは、妖との共闘であった。妖力を使う妖は人間よりもはるかに強く、長寿ゆえ聡明だ。その力を借りよう、というのが政府の考えたこと。これ以上手はなかった。


妖側にこれを拒否されるとなると、この国はじわじわ滅ぼされるのを待つのみだった。

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