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熱帯魚

作者: 檸檬

雨の日に誰かを待つ時間はいいものだな


車の中から見える人々の姿


傘を広げ手招きをする


ランドセルの子らが傘から覗き込む


梅雨入りが早い今年の夏


蒸し暑さを思うともう少し


梅雨の合間に隠れていたい気もする


ずっと雨の中できみだけを待っていたい


夏の陽射しには日傘を忘れずに差すわたしは


きみにも傘を差してあげたいよ


ずっとずっと


去年咲いていた紫陽花はドライフラワーとなって雨にうたれて


頷きながら見えなくなっていた


今年も優しい雨傘のような


紫陽花がもうすぐ咲くかな 


雨の中で誰かを待つ時間はいいものだな


傘を差さずに誰かをみつけて走り出すひとが


雨を弾く熱帯魚のように泳いでゆく


黄色の車をみつけたのと





















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雨の中で誰かを待つひとときの、車の中から見える風景や今年の夏へと馳せる気持ち、ドライフラワーとなった去年の紫陽花が、言葉の一つひとつからとても生き生きと伝わってきました。 優しい雨傘のような紫陽花、…
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