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第89話 バージョンアップ

 カワルヨ王国もコノツギと同じように漁業の盛んな国として有名らしい。

 まあ、海沿いにある国だから当然といえば当然かもしれないけど。

 それでも王都ビフォアフはカワルヨの中でも内陸地にある為、コノツギ王国の王都コレカラのように潮の香が強くするようなことはなかった。

 でもやっぱり魚屋は多いね。コレカラに入ってからタマちゃんがずっとそわそわしてるよ。


「おあずけ!」


「にゃん!」



 簡単な身分証明と滞在許可を申請。

 身分証明はギルドの冒険者証で出来るので簡単に王都に入ることが出来た。

 そうして入国の手続きを済ませた俺たちはゆっくりと街中を馬車で進む。

 ロリ様がいるので騒ぎになるのではと危惧していたんだけど、どうやら2人は身分証を偽造していたようだ……。

 とはいえ、コノツギ王国が正式に発効した偽造身分証なのでバレることはなかった。


「これはお母さまがすぐに準備してくださいました。お父さまは何か言いたげでしたけども」


 ……大丈夫かあの国?

 正式に偽物を発行すんなよ。

 そして相変わらずの国王の立場の低さよ。


「さすがにコレカラに比べるとこじんまりとした都市ですね。ただ……人はかなり多くて賑わってますし、街全体の雰囲気もちょっと変わってますけど」


「ははは!タイセイ殿はタブンナから来られてますから、特に変わっているように感じられるのでしょうな」


 それは街行く人の顔触れ。

 人族だと分かる人よりも、獣人の姿をした亜人種の人の方が多くいるように思える。

 あと、冒険者風の恰好の人たちもかなり見かける。


「ここはソレカラに近い国ですから他種族の人たちが多く住んでおります。それにドーレ神殿がありますので、転職を目的にここを拠点に活動されている冒険者も多いのですよ。まあそれは冒険者だとというわけではありませんが」


 タマちゃんやポチさんのように見た目がほぼ人族のハーフらしき人から、はっきりと亜人と分かる風貌の人まで、バックスさんが言うように多種族国家といった感じだ。


「ああ、別に冒険者だけが転職するってわけじゃないですもんね。普通に手に職をつけようとする人にとっては、ここで転職条件を満たす方が早いってことね」


「ええ、そうなんですよ。しかし各職業の転職条件は不明なので、それが必ずしも良いというわけでもないんですがね」


 バックスさんは小声でそう言った。

 前にタマちゃんにも聞いたことがあるけど、各職業に転職出来る条件はレベルとステータスだと言われている。言われている――というのは、全く同じ条件になったとしても転職できる職種に違いが出たりと、結構な個人差があるからだ。


 おそらくは数値に現れていない経験値、つまりそれに必要な技術値が必要なのではないか?もしくは自身の置かれている状況なども考慮されるのではないか?生まれつき転職出来る職業が決まっているのではないか?そんな様々な考察がされてはいるのだが、その真相は未だ不明らしい。


 しかし、駄菓子屋店主から騎士を目指した事で騎士見習いに転職出来たバックスさんの例を挙げて見ても、その考察はある程度正しいのだと思う。

 冒険者として剣技を磨けば剣士になって、剣士として騎士道を学べば騎士になる。

 ゲームなら当たり前の事かもしれないけれど、ステータス上の職業と実際の職業がイコールではないこの世界では、自分が望んだ職に就いたからといって必ずしも成功するとは限らないのだ。

 だからこそ転職した職業である程度の実績が残せるためにも下積みのような経験が必要になるのが転職条件なんだと思う。そしてそれでも生計を立てる為に他の仕事をやっている人たちもいる。


 そして生まれつき就くことが出来る職業が決まっているかどうか?については何とも言えない。

 ロリ様みたいな特殊な職業は無理だとしても、騎士くらいなら鍛錬を積めば誰でもなれそうな気もする。


 そうすると、ここで1つの疑問が発生する。


 何したら『泥田坊』になれんのよ?



「タマキ様はどのような職が示されるでしょうね?『弓兵士』の上級職というと『狩人』とか『弓騎兵』とかいろいろありますけども」


「昔、私に弓を教えてくれた人が『狩人』でした。めちゃめちゃ木の生い茂った森の中でも、師匠が矢を外したのを見たことがないくらい凄い技術でしたよ」


「タマちゃんの命中率だって結構なもんだと思うよ?それに威力だって凄いと思うけど?」


 森で動物を狩猟するレベルじゃないし、それこそ一狩りいけそうな威力だと思う。

 いや、実際に魔物倒してるんだけど。


「あれは……スキルに頼っている部分がまだまだ多いです。基本的な技術をもっと上げないとスキル本来の力を発揮しきれませんよ」


 その発揮した力が俺に向きませんように……。


「そういう向上心があるのは良いことですなあ。力に溺れた結果、無謀な戦いで命を落としたという話は珍しくありませんからな。タマキ殿のように謙虚に自分の力を把握できているというのはとても素晴らしいことですぞ」


 バックスさんの言葉は俺の耳にも痛かった。

 俺は本当に過去のことを生かせているんだろうか?どこかでまた慢心しているんじゃないだろうか?

 自分の力を正確に把握して立ち回っていれているだろうか?

 それはいくら考えても答えが出ることではないんだろうなと思う。

 これも数値で見れたら良いのに。


『アップデートの希望を受理しました。最新バージョンにアップデートします』


 え?なんて?最新バージョン?


『完了まで数日かかります。この間はステータスが表示されなくなります』


 ステータスのバージョンアップってこと?

 確かにウインドウ、ではあるけども……。

 ОS換えたら前の方が良かったとかにならないと良いけどね。


「タイセイさん?またぼんやりしてますけど……。何かありました?」


「ん?ちょっとね……」


「悩み事あるなら話聞きますけど?」


「えっと――タマちゃんは98から2000になった時ってどう思った?」


「え?98?2000?……何の話ですか?」


 それこそこっちの話というやつだ。



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