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四月は金剛石(一四)
父健吾はまたひと口、コーヒーを啜った。もう会社には遅刻してしまう時間だけれど、そんなことはしょうがなかった。そして、さもなにもなかった風を装って、横長の小さめの封筒を開けてみた。封はされてなくって、上の屋根が下の長方形につっこまれていただけ。厚みが少しあって、なにかが入れられていることは開けるまでもなく明らかだった。
期待してはいなかったけれど、手紙は入っていなかった。
出てきたのはティッシュに包まれたもの。小さいなにか。
そしてティッシュを開いてみた。中から出てきたのはガラス玉のようなダイヤモンドのようなそれ。
はてさてこれはなにがどうして娘のさくらが手にしたものか。高価なもののはずもないだろうとは思うけれど、なぜ娘は自分にこれを託して逃げ出してしまったのか。皆目検討がつかない父健吾であった。




