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四月は金剛石(一二)
健吾は自分も音とたててコーヒーを啜ろうとしたが、思いの外音を立てるのは難しく、むしろコーヒーは喉のおかしなところへあたり、むせてしまった。
「だいじょうぶ?」
さくらは席から立ち上がって健吾の背後へ周り、背中をさすった。
「ん、もう大丈夫。」
健吾は不自然なほどに精一杯の爽やかな笑顔を作って見せた。さくらは自席にもどり、また健吾と差し向かって座り、平然を装ってカプチーノをまた一口飲もうとして…笑ってしまった。慌ててカプチーノをガチャガチャと音を立ててソーサーの上に戻した。健吾もつられて笑ってしまった。周りの人は少しおかしな感じでチラリチラリと視線を投げていた。
「ワッハッハ。」
「フフ、フフフ。アハハハハ。」
いまや二人は人の目線など気にせず、大きめの声で笑ってしまっていた。




