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三月は藍玉(六)

阿久愛は湯船から出ようとして、こう言った。

「あっち向いててよ。」

「いいじゃない。妹だよ。オバケだよ。」

「イヤダ!」

「減るもんじゃなし。」

そうは言いながら毬鈴は両目を両手で覆うようにした。阿久愛はそそくさと髪を洗い、身体を洗い、大急ぎで湯船に戻った。

「そんなにイヤ?」

「一四歳で成長が止まったアンタとは違うのよ。」

「いいなぁ、一八歳の女のカラダ。」

阿久愛は毬鈴にお湯をかけた。しかしお湯はオバケの身体を通り抜けた。


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