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一一月は黄玉(一〇)
翌日、ようやっと里見は出勤した。希依は特に里見と話をする機会がなかった。その翌日も、翌々日も里見と話すことがなかった。化粧室で手を洗っていたところへやって来た里見は、そこに希依がいるのを認めてどこかへ行ってしまった。希依は里見に避けられていることを悟った。いや、里見ばかりではない。職員室全体?生徒たちも?なんだか皆に白い目で見られているような気がしてきた。
里見はどうしたものか、誰もなにも言ってくれないので訳が分からず躊躇した。とある夕方、里見が社会科準備室へ一人で入っていくのを見かけ、ついて行った。