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一一月は黄玉(八)
希依はどう答えていいものか、返す言葉を見つけられなかった。
「あたし、聞いてみるわ。」
「なにをですか?」
「そうね…、生徒と校外で会ってませんかって。」
「…あぁ、それなら、差し支えなさそうですね。」
「相手が先生となると仕事やプライバシーを理由にされるかもしれないし、保護者の方となんて唐突に聞けないですもんね。」
「そうよね。生徒とって聞くのが一番自然よね?」
「…ええ、ええ、そう思います。」
希依は自分のことをずるいなと思いながら、里見に探りを入れてもらうことに同意したのだった。