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一月は柘榴石(一)
蕗子の白い肌には柘榴の指輪が良く似合った。ルージュというよりも「どす黒い赤」といった表現が似合う柘榴の色した、細かな粒が三つほど集まったようなそのリングは、彼女のほっそりした人差し指を際立たせ、すれ違う者の目を惹いた。しかも彼女はそれを意図せずにやって見せた。中途半端なセミロングの髪も、むしろ華奢で女性らしさからは程遠い身体つきで、身のこなしで、肌の露出さえも少なめな上、とびきりの香りを漂わすでもないけれど、少女ではない、明らかな女性であるにも関わらず、その左手の人差し指のリングだけで、居合わせた人々の目を惹きつけた。
「魔女」と呼ばれても過言ではなかったであろう。