表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【第一章完】からくり始末記~零号と拾参号からの聞書~  作者: 阿弥陀乃トンマージ
第一章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

16/50

第4話(3)藤花襲撃

「お風呂の準備が整いました……」

 宿の者が食事を終えた藤花たちに声をかける。

「……」

「………」

 藤花と楽土が見つめ合う。

「楽土さん、お先に」

「いえいえ、藤花さん、どうぞ」

「へえ……」

「な、なんですか?」

「こういうのは『一番風呂だぜ! ヒャッハー!』っていう類の方かと思っていたので……」

「い、今の今まで、そういう素振りを見せたことあります⁉」

「違うのですか?」

「違いますよ!」

「そうですか、それではお先してよろしいでしょうか?」

「どうぞ」

「では、失礼して……」

 藤花が席を立つ。

「…………」

「あ、楽土さん」

 部屋から出ようとした藤花が楽土に声をかける。

「なんですか?」

「やっぱり一緒に入ります?」

「! は、入りませんよ!」

 楽土が慌てる。

「そうですか」

「そ、そうですよ!」

「それでは……」

「え?」

「覗かないで下さいね?」

「の、覗きませんよ!」

 楽土がさらに慌てる。

「戯言ですよ~」

「……こちらになります」

「は~い」

「ったく……」

 藤花が出て行ったのを見て、楽土は頬杖をつく。

「……ごゆっくりどうぞ」

「は~い、分かりました~」

「何か不都合があればお声がけ下さい……」

「はい」

「失礼します……」

 宿の者が出て、藤花は服を脱ぎ、一糸まとわぬ姿になって、風呂場に入る。

「へえ、ここは外が見える造りになっているんだ、風情があるわね……」

 藤花は体を洗う。

「……………さてと」

 体を流すと、藤花は湯舟につかる。

「あ~」

 藤花はお風呂の気持ちよさに思わず声を上げる。

「生き返ったような気持ちだわ~」

「……死んでいるようなものだものね……」

「!」

 藤花が声のした方に振り返る。緑を基調とした着物を着た女性が立っていた。

「せっかくのご入浴中、恐縮するわ……」

「いつの間に……」

「気配を消していたからね……」

「ちっ……」

「まさかここまで油断してくれるとは思わなかったわ」

「くっ!」

「させない!」

「ぐっ!」

 藤花が髪をかき上げようとするが、緑の着物を着た女が何かを伸ばし、藤花の両腕を一瞬で縛り付ける。女性が笑う。

「ふふん……」

「これは……蔦⁉」

 藤花は自らの両腕に絡まるものを確認する。

「そうよ」

「くっ、こんなもの……!」

 藤花が引きちぎろうとする。

「無駄よ、鉄なみの硬さだもの、下手すれば貴女の腕がちぎれるわよ」

「む、むう……」

「髪から針を飛ばすというのは聞いているわ……でも髪をかき上げないといけないのよね? だから両の腕を縛らせてもらったわ」

「ぐぬっ……」

「それに手の爪も……手癖が大分悪いようだからね……」

「なんの……まだ足が!」

「はっ!」

「ぐうっ⁉」

 湯船から勢い良く飛び出そうとした藤花の両足を、女性が先ほどと同じ要領で縛り付け、藤花の体は風呂の壁に打ち付けられる。

「ふふっ……」

「ぐぬぬっ……」

 女性は藤花の体をまじまじと見つめる。

「……思ったよりも綺麗な体をしているわね」

「……見世物じゃないわよ」

「びた一文払う気はないわ」

 藤花の軽口に女性が冷たい反応を示す。

「あらら? 嫉妬しちゃったかしら?」

「そんなわけがないでしょう……ただ、本当に綺麗ではあるわね。同じからくり人形とはとても思えない……」

 女性が自らの体に手を当てる。

「手入れを怠ってないからね、それに……」

「それに?」

「元々の出来が違うのよ、アンタとは」

「‼」

「怒った?」

「……そうやって冷静さを失わせようとしても無駄なことよ……」

「ふん、確かに冷静ではあるわね。ただし、幾分か詰めが甘い!」

「はあっ!」

「がはっ⁉」

 藤花の首に蔦が絡みつく。女性が頷く。

「すっかり忘れていたわ。首をちょっと振るだけでも髪の毛に仕込んだ針を飛ばせるのよね。危ない危ない……」

「が……がはっ!」

「このまま締め落としてあげるわ……」

「ぐうっ……」

 藤花が苦しげな表情を浮かべる。

「ふん、零号とやらも案外大したことがないわね……」

 女性は拍子抜けしたように呟く。

お読み頂いてありがとうございます。

感想、レビュー、ブクマ、評価、お待ちしています。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ