7. その日は過ぎて、今日も過ぎて
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「あれから数か月ちょっと経ったね」
「そだなー」
町がドラゴンに破壊され、勇者がもう一度ドラゴンに勝利して早くも数か月がたった。
町は早くも建物が並び始め、人々はなんだかんだ元気に暮らしていた。
「それで、今日はどうする?」
「ごめん、やっぱりまだ怖い。家の中に居てほしいな」
「ん、了解」
そして勇者たちも、これまで通り家で過ごしていた。
「ところで、ひとつ相談があるんだけど、聞いてくれないか」
「何でも言って。なるだけ頑張る」
「いや、頑張るほど頑張らなくてもいいぞ。相談ってか報告だからな」
「なるほど。むむ……分かった。あの日の祭りがようやく開催されて、そこでリーリが演説するんだね」
「心眼か?」
「リーリの考えていることはわかる。というか酒場の会話が聞こえた」
「盗み聞きじゃねぇか」
要するに、延期された祭りの開催に関するお話だ。今回は、ドラゴン撃退記念もかねて、ドラゴン肉の燻製も出てくるそうでちょっと楽しみだ。
その日は是非、ラステリカもともに祭りに参加したい。
「それじゃ、また演説の練習をしないとね」
「そういうこと。またひと月ちょっとよろしく頼む」
「うん、あ、でも、ちょっと原稿を修正しないと」
「そうだな。ドラゴンの話も入れなきゃいけねーし」
「違うちがう。それもそうなんだけど、前の修正もしたくてさ。ペン貸して」
ラステリカは最近、昔の仲間からもらった本をもとに文字の勉強をしている。
はじめは読めないところばっかりで泣いていたけれど、最近はめっきり泣かなくなった。いろいろ成長しているらしい。
「にしても、前の部分で変えるところなんてあったか?」
「ええっと、ううーんと、あ、ここだ」
ラステリカはしばらく文字とにらめっこした後に、どうにか修正する部分を見つけて、そのうえに拙い字で修正を入れた。
リクィアはそれをみて、なるほど確かにと納得した。
うん、どう考えたってそのほうがいい。
「じゃあ早速練習しよう」
「待て待て、ドラゴンに関することも考えてからな」
それから、お昼ご飯を一緒に食べて、二人で昼寝をした。まあ、ドラゴンの話はこれからかけばいいだろう。
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演説の中でその勇者は強く言った。
「私には仲間がいる。だからこれからも戦っていける」
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