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Episode.8 みんなで評価課題対策!

今週、花織(かおり)は放課後にシンシア会に通っていた。

水曜日、金曜日は休んだが、それでも花織への影響は大きかった。

シンシア会の上級生は何にでも一生懸命だった。


今日は土曜日。3年生みんなが教室に集まり、迎えに来た4年生に連れられてグループごとに別教室に移動した。

花織たちシルバーは6年生の教室に集まった。

6年生の教室は、5人にしては広い教室であるはずなのだが、ところせましと並んでいる本のせいで少し窮屈さを感じた。


教室には、3年生6人、4年生3人、5年生2人。

6年生の沙夜(さよ)の姿はなかった。

美咲によると、6年生は先生の手伝いに駆り出されているという。

5年生にグループをまとめさせる機会を与えるという意図もあるのだろう。


美咲(みさき)が評価課題について説明を始めた。



「今回の3年生の評価課題は、ドッジボールと意見文と面接だね?意見文は、まあ、夏休みの絵日記くらいの文章しか書かないから心配しなくていいかなー……。」



由梨(ゆり)が続けた。



「あ、でも、ちゃんと教えるから大丈夫だよ。

午前中のうちに意見文と面接の練習して、午後からドッジボールやろっかー。

出来れば、沙夜ちゃんがこっち来たときに面接見てもらいたいね。」



3年生はなんとなくうなずいた。

由梨は3年生を見て、美咲の方を見た。

美咲は明るい声で言った。



「よし、はじめちゃおっか!」



3年生は、4.5年生5人に教わりながら、意見文と面接の対策を頑張ったのだった。



___________________________



「ごめん!遅くなっちゃった!」



息を切らして沙夜が教室に入ってきた。

3.4.5年生全員が彼女の方を振り向いた。

沙夜は壁に寄りかかると、午前の活動を報告するよう由梨に言った。

由梨は、意見文と面接に関しては一通り教えたこと、午後からドッジボールを練習すること、面接の練習の成果を確認してほしいことを沙夜に伝えた。

沙夜は、うん、うん、と相づちを打ちながら、先ほど3年生が書いた意見文に目を通していた。


由梨の話を聞き終わったところで、沙夜は一言、



「6人同時に」



と言うと、教室の隅にあった丸椅子を持ってきて姿勢良く座った。

4年生は、3年生の使っていた机を後ろに持っていき、5年生は少し緊張した様子で沙夜を見つめた。

沙夜は、3年生1人ずつと目を合わせた。



「6人同時にしゃべってくれるかな?…………

では、………学校、グループ名、名前を教えてください。」



沙夜の指示通り、3年生が同時に声を発する。

数秒間の沈黙の後、沙夜は由梨の方を振り向いて、



「まあ、いいでしょ」



と言った。

沙夜は3年生の方を向き、普段通りのにこやかな顔をして言った。



「大丈夫、意見文も面接も頑張れそう!

でももし不安な人がいたら、明日以降、声かけてくれれば、私が見てあげるから、ね。」



沙夜の優しさいっぱいの一言に、3年生は緊張がゆるんだような顔をした。


ちょうどいいタイミングでお昼のメロディが鳴った。沙夜に続いて「おつかれさまでした」と言うと、それぞれはお弁当を取りに行った。


___________________________



昼食はグループごと…なのだが、今日5.6年生に用事があったので3.4年生で一緒に昼食をとった。

昼食を食べているとき、3年生の工藤 百愛(ももえ)がこんなことを言い出した。



「なんかさー、沙夜ちゃんってテキトーじゃない?いいのかな?あれで…」



3年生はみな彼女の方を向いた。

悪口が始まるのは気まずかった。

その様子を見て、彼女はうつむいた。



「でも、見てくれるって言ってたじゃん、沙夜ちゃん。」


「うーん、でも、正直私も不安だな……差がつきそうで。」


「だよね、まずは4年生になるときに残らなきゃいけないんだからさ!」



3年生が口々に自分の考えを述べていると、4年生が話し始めた。



「沙夜ちゃんは、いい人だよ、相談したら話聞いてくれるし。」


「けど、なんかさ…ね、こっちから行かないとダメなんだよね。」


「そうなんだよねー。私たちに関心ないのかなって思っちゃう。」


「へぇ………。」



4年生の話を聞くと、やはり不安が募ってきた3年生。

箸が止まって、ぼーっとしている。

(私は6年生まで残りたい。もらえるアドバイスはもらっておかなきゃ。)

花織も不安を抱えていたが、それでも持ち前の

意欲では誰にも負けまいと必死だった。


同じように考えていた人はいたのだろうか…。

昼食時、それ以降は誰も声を発しなかった。


___________________________


昼食をとり、小ホールに集合したシルバーの3年生は、4年生に教わりながらドッジボールの練習を始めた。

花織はドッジボールが苦手ではなかった。

2年生のときにクラスでドッジボールが流行っていたときには、積極的にボールを当てにいったものだ。

もちろん今日も………



「花織ちゃんのボールすっご!」



4年生の安野 可奈(かな) が嬉しそうな声をあげた。

同じく4年生、高田 悠妃(ゆうき)は花織のボールを鮮やかに避け、さっと体の向きを変えた。



「えぇぇ、なんで当たんないのー?」


「4年生なめてもらっちゃ困るって!」



花織の、まだ幼さが残る声。

3年生3人、4年生1人のチーム戦。

同じチームの加奈が言った。



「花織ちゃん、外野にすぐボール回して!」



指示に従ってボールを投げる花織。

加奈はすぐに相手チームの3年生に当ててしまった。



(すご…頭脳戦じゃん……!)



花織が関心している隙に、相手チームの3年生にボールが回った。

彼女が投げるボールをカットしようとしたが、失敗。

逃げるタイミングを逃し、あえなく当てられてしまった。



「どんまいどんまい!よし、当ててこ!」


「みんな!こっちのペースに乗せてやろ〜!」



両チームの4年生がそれぞれのチームにポジティブな言葉をかけた。



「3年生もほら!声かけてこー!」


「ナイス!」

「やったあ!」

「いいよいいよー!」



3年生も、4年生の雰囲気に乗せられて楽しそうな声をあげた。

4年生の指示に従って投げられたボールは、力任せでない、取りにくいボールだ。

花織は何度か失敗しながらも、すぐに投げられるよう、積極的にボールを追いかけた。



(なにこれ…超楽しいっ!)



時間の許された限り、ドッジボールを堪能した3、4年生たち。教室に戻る前に、可奈は提案した。



「来れる人だけでいいからさ、シンシア終わったら北山(きたやま)公園でもっと練習しない?」


この一言に反対する者は誰もいなかった。



____1週間後は、初めての評価課題だ。

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